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シリアの戦禍で失われた「学ぶ機会」/カリドさん一家(後編)

2017/4/18
報告:KnKスタッフ 清水 匡

(前編:シリアの戦禍で失われた「学ぶ機会」/カリドさん一家)

後編はカリドさんの子どもたちをご紹介します。

おいしそうにご飯を食べているのは次男のモハマッド君(13歳)。

彼はヨルダンの公立学校に通う5年生。毎週土曜日はKnKが実施している補習授業にも参加しています。シリアの学校には3年生まで通っていました。授業に出始めたころは英語が全くできませんでしたが、まじめに勉強を続けているため成績が上がったと英語の先生が話してくれました。

「KnKの補習授業のいいところは勉強の合間に色んなアクティビティがあるところです。おかげでヨルダン人の友だちもできました」と語るモハマッド君。

妹のマラー(11歳)とアブラル(9歳)も、毎日元気に学校に通っています。カリドさん一家がヨルダンに逃れてきたのは5年前。2人は幼かったのでシリアにいた頃の記憶はほとんどないそうです。しかし恐ろしい爆撃のトラウマで最近まで夜泣きがひどく、毎晩大変だったとお母さんが話してくれました。

ご飯の後片付けをするアブラル(左)とマラー(右)

大好きなモハマドお兄ちゃんと宿題をするアブラル

次女のアヤさん(16歳)は学校に通っていません。シリアから逃れてきて最初に住んだイルビットという町では学校に通っていましたが、アンマンでは学校の近くに引っ越してきたにもかかわらず、定員オーバーが理由で通学を拒否されてしまったのです。学校に行っていないので友だちもできず、一日中家にこもっている毎日です。

口数が少なくおとなしいアヤさん(右)

お母さんの手伝いをするアヤさん

妹のマラーと後片付けをするアヤさん

最後は長男のユシフ君(仮名/17歳)。彼はヨルダンに来てから一度も学校に通っていません。体調の悪い父親に代わって家計を支えるために働いていたからです。

去年、近所の青年が仕事をしているところを警察に見つかりシリアに強制送還されてしまいました。ユシフ君はそんな恐怖を感じながら家族を支えてきました。シリア難民はヨルダン人よりも安い賃金で長時間労働を強いられるケースも少なくありません。ユシフ君もマーケット、レストラン、コーヒーショップなど点々と職を変えながら家族のために働いてきましたが、現在は仕事がない状態が続いています。

「もしシリアの戦争が起きていなかったら、僕と妹は今でも学校に通っていたでしょう。しかし学校をあきらめ毎日恐怖を感じながら働いてきました。この失われた5年間は、僕にとって何の意味もありません。これは、どうしようもできない現実なのです。せめて弟たちが進学できることを願っています」

子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています


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8,000円で、シリア難民の子ども1人がKnKの補習授業を受けられます。
(スクールバスの運行と軽食の経費が含まれます)
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。

※ヨルダンにおけるKnKのシリア難民支援活動は、日本の皆さまからのご寄付と認定NPO法人ジャパン・プラットフォームの助成により実施されています。

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