2015/05/15
報告:KnKスタッフ 熊本 晃順
国境なき子どもたち(KnK)は、イラクで発生している国内避難民の子どもたちへの支援事業として、4月からサッカーやバレーボールなどスポーツアクティビティの提供を開始いたしました。
昨年12月イラク北部クルド人自治区エルビルにて調査を行い、ISIL(イラク・レバントのイスラム国)から逃れてきた避難民たちが教会敷地内や公園、建設中の建物に設置されたテントやキャラバンで避難生活を送っているということがわかりました。
また言語の違いや急変する事態に調整が進まず、避難民の子どもたちが学校に通えていないこと、厳しい生活によるストレスが暴力行為や軽犯罪、精神的な悪影響を受けていることなどもわかりました。
この調査を受け、KnKは現地の教会関係者とパートナーシップを組み、国内避難民の子どもたちの心のケアを目的としたスポーツアクティビティの提供を行うことを決定しました。12月以降調整を進め、ついに4月末より事業を開始することができました。
現在3カ所の避難所から子どもたちを集め、現地のスポーツセンターを借りサッカーのクラスを実施しています。
すでに約160人の子どもたちがこのクラスに参加しており、今後もより多くの子どもたちが「子どもらしい時間」を過ごせるよう、事業を進めてまいります。
2014年末時点で、国内避難民となったイラク人は200万人以上とされ、総人口の6%以上が影響を受ける事態に発展しています。またクルド人自治区には約75万人が流入しているとされ、避難民であるイラク人も受け入れ側であるクルド人側にも大きな影響が及んでいます。
このような事態下では、子どもたちが武装勢力に勧誘される、人身売買の被害を受ける、早期結婚を強制されるなど、子どもの権利が大きく侵害される危険性があります(1)。
スポーツアクティビティの事業は、7月末で一度終了する予定となっており、その後の継続は現在調整を進めております。
住む場所を追われた子どもたちの「心のよりどころ」となる本事業を一日でも永く継続できるよう、皆さまからのご支援を心よりお願い申し上げます。
(1) UNOCHA, IRAQ:Humanitarian Dashboard (as of 28 February 2015)
※イラク国内避難民の支援事業は、ウエストフランス・ソリダリテからのご寄付ならびに日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。
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