スタッフ日記 認定NPO法人国境なき子どもたちブログ

「聞く/聴く/訊く」技術、待つ時間の過ごし方

こんにちは、カンボジア事業担当をしております三喜です。

今年が終わってしまうことへの焦りを感じてしまい、できていないことの多さに現実逃避したくなってしまいますが、一応、2022年を振り返ると海外出張を再開できたことが一番嬉しかったことかなと思いました。

今年は2月、4月、6月、8月の計4回出張に行かせていただきました。それ以前がコロナ感染の拡がる直前の2020年の2月だったのでほぼ2年ぶりの海外出張となりました。今年最初の出張では日本、カンボジア、共に検疫措置が厳しいものでしたが、回を追うごとに緩和されていき以前と同じように渡航ができるようになっていきました。

テクノロジーが発展し、色々なコミュニケーションツールがあるため、海外渡航が難しい時期でも現地と連携する術は色々とあり、事業ももちろん進めることができたと思っていますが、それでも、現地に直接赴いて子ども・若者を始め、スタッフ、そして色々な人と出会い、話しをできる経験に勝るものはないと個人的には思いました。また、現地の事業の進捗をこの目で確かめられ成功や課題を把握できたのも大きかったです。

 

各事業の活動内容は過去の記事をご覧ください:

「若者の家」事業:https://knk.or.jp/khm181204/

若年女性のための収入創出活動:https://knk.or.jp/khm190510/

コミュニティ・ラーニング・センター(CLC)の質の向上を通じた青少年の就労支援事業:https://knk.or.jp/khm201223/

また、それぞれの事業の成果や課題については別途報告させていただければと思いますが、今回は出張時に活動をしている中での状況を少し共有させていただければと思います。

 

簡単なようで難しい「聞く/聴く/訊く」技術

事業を進めるにあたって大事なことの一つに、人に話しを聞く、があるかと思います。漢字で見てみると「聞く」以外にも「聴く」、「訊く」もありますね。いつ、どこで習ったのか、それとも読んだのか忘れましたが、個人的には基本としてこの3つの「きく」を意識して使い分けるようにしています。特に、「聴く」、「訊く」は現場において重要でしょうか?どう違うのかは漢字の部首にその心が隠されていると思いますが、、、ネットにもいっぱい書かれています。

自分自身が意識するのと同時に現場のスタッフにもこの点を意識していただくように今年は特に取り組んだつもりでいます。漢字を書いて説明できればいいのですが、そこはカンボジア人と仕事をしているわけで、クメール語を母語とし、僕とスタッフ間は英語でコミュニケーションを取ります。漢字についてではなく、あくまでコミュニケーション方法についてチームで話し合いますが、説明こそ難しくないものの本当に理解してもらえているのか不安になることもあります。

では、全く伝わっていないかというとそうでもなく、こういう話しをチームでしたことで意識をして少しずつ改善しようと努力するスタッフや、既に直感的にできていたが意識して実践することを心掛けるようになったスタッフもおり、それが結果に繋がってきているのが見られました。例えば、これまで単に「職業訓練に参加しない?」という聞き方では真に相手が必要としていることを読み解くことはできませんでしたが、相手の置かれている状況や周りの環境を訊くことで本人のニーズと合致していることをより説得力をもって示すことができるので、若者本人の訓練参加への意欲が高まり、訓練修了まで継続する意志を持たせてあげることにもつながったのかなと感じました。

スタッフ自身も「きき」方の工夫が実を結んだと実感したのか、上手くいったことを報告してくる様子を見れた時に、スタッフが成長を感じたんだなと、こちらも「良かったね」と思えるのが嬉しい瞬間でした。上手くいかなかった後にも「次はこうしてみるよ!」と次の手を考えているのを見るのもまた、若者のことを真剣に考えているのだなというのが伝わるので喜ばしかったです。

進路相談をするスタッフ

家庭訪問の様子

地域の方々への説明

 

「きいた」後は待つ時間も大事

残念ながら僕自身はクメール語を話せないので若者とは通訳を介してでしかコミュニケーションを取ることができないのがほとんどなのですが、そこは同じクメール人であるスタッフで十分だと思いますし、そのスタッフをサポートするのが今の自分の役目なのかなと考えています。

ですので、家庭訪問などに同行する際にはスタッフがどのようにコミュニケーションを取っているのかを観察することや、たまにこちらの質問を通訳してもらって情報収集をすることなどに自分自身は努めています。また大事にしたいのは「きいた」後に答えや結論を急がないことかなと思います。善かれと思い、こちらが先に「○○じゃない?」と答えを誘導すると相手もこちらが欲しいと思っているものを言ってしまい、本心を引き出せなくなってしまう可能性もあります。ですので、待つ、こともとても大切なことではないかと思います。

たまに、スタッフと若者との会話が弾み、何を話しているのかわからないので通訳してもらうまで待つ時間が結構あるのですが、カンボジアでは特に退屈することはありません。

なぜなら動物がたくさんいるからです。待っている間、足元を雛が通りすぎたり、凄く小さいカエルが跳んできたり、くしゃみが止まらない牛がいたり、そして檻の中でずっとバク転をしているお猿さんがいたりします。余談も余談ですが、お猿さんは通常は放し飼いにされているそうでこの時は飼い主が一時的に檻に入れていたとのことで、お猿さんも少しストレスを抱えていたのかなと思いました。

単発では難しい?

起承転結の転を意識してみましたが、本題に戻りますと、当たり前ですが活動を行う中で一番大事なのは若者にとってよりニーズに合ったものをこちらが提供することで、これを実現するためには若者が何を必要としているのかを知る必要性があります。当たり前と書きましたが、関係性、双方のコンディション、周りの状況やこちらの言い回し次第でも相手のリアクションが違ってくることもあり、出てくる情報も変わるものなのでとても難しいことでもあると思っています。その中でスタッフも日々向上意欲を持って子ども・若者をはじめ、保護者、現地行政の方々、その他にも色々な関係者と日々より良いコミュニケーション目指し、向上意欲を持って取り組んでいる姿を見ることができたのが今年の出張で一番大きな収穫だったかもしれません。全てはより良い支援を子ども・若者に提供するため、ですが、引き続き現地スタッフと共に僕自身も向上心を持って頑張っていきたいと思っています。暖かく見守っていただければ幸いです。

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