報告:広報/支援者対応 岡田茜
いつもお世話になっております。今回は、前回のバングラデシュ視察報告の続きとして、「ほほえみドロップインセンター」に通って来る女の子たちと、ドロップインセンターの女子支援の取り組みについてお伝えします。
ドロップインセンターにおける女子支援の取り組み
「ほほえみドロップインセンター」では、男の子だけでなく、路上で暮らす女の子たちもセンターに通いやすくなるよう、女子支援の強化に2024年辺りから本格的に取り組んでいます。この目標実現のために女性ソーシャルワーカーを増員し、現在活躍しているのが前回のウェブニュースでもご紹介したシャミマです。この他、女性スタッフは教育係のファルザナと料理担当のジェスミンがいます。
女子支援の強化を目標に掲げるようになったのは、2023年にセンター周辺の路上で過ごしている子どもたちの実態調査を行ったことがきっかけでした。この調査で、路上にいる子どもの男女比がほぼ変わらないことが明らかになり、コロナ禍以前より、「女子の路上生活者が増えているかもしれない」と言っていたスタッフたちの肌感覚が証明された結果となりました。ですが、当時の子どもの来所者数は、一日あたり全体で約40人に対し、女子は1,2人程度しかおらず、センターの支援が女子にまだまだ届いていない状況が続いていました。
そういう背景がありましたので、私が2025年10月にセンターを視察した際、部屋に6、7名の女の子たちが来ているのを目にした時は、この1,2年の変化に少し驚くと同時に、スタッフが有言実行で、女子支援に力を注いでいることがよく分かりました。そして気付いたのは、男の子が単独でもセンターに通って来るのとは対照的に、女の子は下のきょうだいと一緒だったり、自身の赤ちゃんを連れて来ている子もいることでした。中には臨月を迎えた10代の女の子もいて、その子はお腹を抱えて路上でうずくまっているところを、定期的に来所している別の子が見つけて、彼女をセンターまで連れて来てくれたそうです。その後、シャミマが妊産婦検診など病院に付き添ってお世話をしていると聞きました。
センターでの女子の過ごし方について
来所した女の子たちの過ごし方ですが、男子と同じように、まずはシャワーや歯磨きなどして身なりを整えた後、食事をしたり、読み書き計算のクラスやレクリエーションなどに参加します。疲れている時は、女子専用の小部屋があり、そこで横になって休むこともできます。加えて、生理の時のナプキンの使い方や、路上でのさまざまな危険、例えば薬物や性的誘いなどをどう断るか、どう自分の身を守るかといったことをスタッフから教わる時間もあります。

髪に櫛を入れて身なりを整える女の子
長年センターを利用するジェンナは、よく私に話しかけてくれたおしゃべり好きな女の子ですが、読み書きの時間には、一点集中して、ゆっくり丁寧に文字を書いている姿がとても印象的でした。「見て!」と書き終わったページを私のほうに見せてくれた時、その文字の綺麗さに正直ほれぼれし、ジェンナだけでなく部屋にいる皆の内なる可能性を感じたのを今でも覚えています。

読み書きの時間、真剣に取り組んでいたジェンナ

綺麗に書けたノートの1ページを見せてくれました。
女の子たちは、路上でどのように過ごしているか。
ところで、女の子たちはセンターの外ではどういう時間を送っているでしょうか。正直にお伝えすると、彼女たちから話を聞きだすことはベテランのスタッフでもかなり難しく、分からないことがまだまだ多いのですが、2019年、2023年、そして2025年と過去3回の視察を経て知り合った女の子たちから得た情報を整理してみたいと思います。
まず生きていくための日銭を得る手段として、「男の子たちと同じくショドルガット港の水売りのグループに所属して乗船客へ水を売る」、「金銭や食べ物を求めて物乞いをする」、「ナッツやチョコレートを売る」、「野菜の露店の前に落ちた野菜くずを拾い集めてそれらを売る」といったことを聞いたことがあります。
また寝起きする場所については、女性は公営のナイトシェルターなど施設を利用しやすいものとばかり私は思っていましたが、今回出逢った女の子たちから聞いたこととして、シェルターを利用するにも規則が厳しく実は「行きたくない」と思っていて、男子と同じように、ショドルガット港の待合所のベンチだったり、チケットカウンターの中(内側から鍵をかける)だったり、野外では港近くの公園だったり、そういう場所で過ごしていることが分かりました。夜は日中よりもさらに危険で気が静まらず、落ち着いて眠れることはほとんどありません。常に睡眠不足の状態が続き、身体的、精神的に悪影響を及ぼしていることは、ご想像いただけるのではないかと思います。
2023年からセンターに通って来るタニアは、自分が女子であることを周りから悟られないよう、髪の毛をバッサリ切って男の子のように刈りあげ、服装も男性ものを着用しています。自分の身を守るために自分で考えて決めたことだと言っていました。彼女は以前、センター近くのスラム地区で家族といっしょに暮らしていましたが、父親が港での大人同士のケンカに巻き込まれて命を落としてしまいました。その後、一家は収入を失い家賃を払えなくなったため、家族で路上暮らしをしているそうです。「路上生活から抜け出すことが私の夢」と、切実な想いを語ってくれたことがあります。
自分の身を守る手段として、ナイフを携帯していた女の子もいました。その子は、センターの子どもたちにもナイフを向けたことがあったそうです。過去形なのは、シャミマが彼女ととことん話し合いを重ね、もう半年以上、ナイフを持たない時間を過ごせているからです。ナイフを所持しないことは当たり前、普通のことかもしれませんが、危険と隣り合わせの時間を送っている本人のことを想像すると、とても勇気のいることだったのではないでしょうか。実はお腹に赤ちゃんがいる子をセンターに連れて来てくれたのは、この女の子だったとシャミマから聞きました。

女の子たちは、センターの部屋でよくヘナアートを楽しんでいます。
今回の視察中に出逢った女の子たちの日常を知り、日々直面している事ごとを想像するだけで圧倒され、私がうちのめされそうな感覚になりますが、彼女たちの日々を支えるスタッフたちは忍耐強く、子どもたちの前では笑顔で、「悩みや困りごとがある時は、遠慮せずスタッフに共有しよう」という約束を交わし、子どもたちをあるがまま受け入れています。そういうスタッフたちの姿勢が、子どもたちに「自分は守られている」という安心感を与え、定期的な来所や皆の笑顔につながっていると信じます。
最後にシャミマが語ってくれた言葉をここに綴ります:
センターの子どもたちを愛し、大切にし、彼ら彼女たちをやる気にさせたら、きっと社会のために貢献する良い人になると信じています。私が親身になって話を聞いてあげ、子どもたちを愛することで、精神面の充足感を満たしてあげたいです。

みんなで行った遊園地で、女の子たちと写真撮影を楽しみました。
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