活動ニュース

カンボジア女性の挑戦:自立への布石

報告:カンボジア事業担当 三喜 一史

カンボジア・バッタンバン州で2000年より「若者の家」事業を継続しています。開始当時から、支援が行き届きにくい15歳以上の未成年を主な対象者として学校への復学や職業訓練機会の提供などを行ってきました。同時に特に女子・女性向けの職業訓練機会が当時少なかったことや就職先の選択肢も限られていたことから2006年より縫製や機織りの職業訓練から雇用に直結する収入創出活動を実施してきました。そして2016年には訓練後の段階的な自立を目指した若年女性のためのエンパワメント(Young Women Empowerment, YWE)事業を開始しました。詳しくはこちらも参照ください(「職業訓練、そして女性が収入を得るまで」

「若者の家」敷地内にあるショップ

「若者の家」敷地内にあるショップ

「若者の家」敷地内にあるショップで販売されている絹織物

小物やバック、生地などが販売されている

職業訓練から収入創出活動への参加を通して、縫製技術などハードスキルの向上だけに留まらずコミュニケーション能力や勤労観などライフスキルといったソフトスキルも習得されたことが確認できました。その後カンボジア社会においては事業を開始した2006年当時より縫製工場他、女性の就職先の選択肢が広がったこともあり、YWE事業を離れて一定の収入を確保できる女性が増え、このような状況の変化に合わせてKnKとしての生産活動を2022年に終了しました。そしてYWE事業は生産者たちを中心にKnKから独立し、企業体として活動を継続実施していくこととなりました。ただ、経営的にもまた特に心理的にもすぐの完全独立はハードルが高いと女性自身が感じたこともあり、マーケティングのサポートや販売収入でカバーしきれない人件費などのコスト分については1年くらいを目途にサポートしていくこととなりました。

前置きが長くなりましたが、2023年初頭にYWE事業が独立してからのこれまでの活動状況を簡単にご紹介します。

まず、YWEという会社名で企業として登録しました。公式に行政での登録をしたのでもちろんYWEで税金も納めなければなりせん。それまで以上に社会的な責任が増えました。マーケティングに関しても、日本でご支援いただいてきた皆様からお声がけいただき日本で商品を販売させていただくことができましたが、そこも彼女たち自身でマーケティングを担い、現地で販売収入を増やすことに注力してきました。マーケティングについては元生産者であった職員2名にYWEコーディネーターとしてサポートしてもらい、販売先店舗と商品製作の話し合いなどのコミュニケーションを担ってもらっています。話し合いなどはこの2名による注力が大きいところも正直あったのですが、今少しずつ生産者にも店舗との話し合いの場に参加してもらい生産者主導でマーケティングに対応できるように促しています。

販売先店舗のオーナーと打合せするYWEコーディネーター

販売先店舗のオーナーとの打合せ

店舗内で陳列されているYWEの商品

店舗内で陳列されているYWEの商品

店舗内に置かせていただいているYWEの活動についての紹介文

YWEの活動についての紹介文も合わせて置かせていただいている

この様に一歩一歩ですが、完全独立に向けて歩みを進めることができており、この1年半で販売先店舗の数は3店舗から13店舗に増やすことができました。商品の販売先が増えたことによって少しずつコストを販売収入で賄えるようになってきました。独立当時はコストの2割程度しかカバーできていませんでしたが、2024年3月時点では8割までカバー率が増加しました。

現在11名の生産者が引き続きYWEにて勤務しています。引き続き彼女たち主導で運営を促すと共に、新たな仲間を受け入れ更なる販路の拡大を狙っていきます。

 

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5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。

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