報告:プロジェクト・コーディネーター 崎元 大志
11月18日(日)に、ヨルダン川西岸地区ジェリコ市の子ども支援センターでオープンデーを開催しました。
子ども支援センターとは、日本でいう児童館のような施設です。地域の子どもたちが放課後や休日に訪れ、センターの職員が子どもたちに対して様々な活動を提供しています。KnKでは、ジェリコ市にあるこの子ども支援センターでの活動を充実させることも、パレスチナ事業の一環として行っています。具体的には、音楽・演劇・心理ケアなどを提供する職員を新たに採用し、センターへ訪れる子どもたちに、より幅広い活動を提供できるようサポートしています。
今回のオープンデーは、普段からこのセンターに通っている子どもたちだけでなく、これまでセンターへ来たことのない子どもたちや、しばらくの間センターへ来ていなかった子どもたちが気軽に訪問できる機会を作ろうという目的で開催されました。今回のオープンデーをきっかけに、より多くの子どもたちに子ども支援センターのことを知ってもらい、また今後も気軽にセンターへ遊びに来てもらえるように、様々な活動を行いました。
KnKの事業で新しい職員が働き始めたのは今年の夏からで、それ以降で初めてセンターへやってくる子どもたちにとっては、新しくなった子ども支援センターの活動を体験する機会となりました。音楽の時間には、普段、楽器に触れる機会の少ない子どもたちが、特に興味津々になって、音を楽しんでいました。誰かがピアノを弾き始めると、ピアノの周りにたくさん子どもたちが集まって音を楽しんでいる姿は印象的でした。その他にも、楽器だけでなく、例えば机や紙コップなどといった、普段身の回りにあるものを叩いたりして、音を出しながらみんなでリズムを楽しんでいました。
演劇の時間は、子どもたちが身体を動かしながら活動に参加していました。また、動き回るだけでなく、演劇で大切なポーズ(静止)の練習も行われていました。子どもたちが部屋の中を自由に動き回る中で、子ども支援センターの演劇職員が「フリーズ(止まれ)!」と合図をかけると、子どもたちが一斉に動きを止めて、身体を静止させる練習です。その他にも、例えばボールをリンゴに見立てて食べる演技をする活動などもあり、子どもたちは誰が1番上手に演じられるか、競い合いながら活動を楽しんでいました。KnKでは、これらの活動を通して、子どもたちが自分自身をより表現できるようになって欲しいと考えています。
心理ケアでは、「パラバルーン」という道具を使った活動が行われました。パラバルーンは、直径3メートル程の大きさで円形をしたカラフルな布です。円いふちに沿って子どもたちがパラバルーンを囲み、みんなでパラバルーンのふちを持って、一斉に上下させたりして遊ぶレクリエーション遊具です。パラバルーンは1人で遊ぶことはできず、大人数で協力し合う遊具であるため、子どもたちの協調性やコミュニケーション能力を養うなど、心理的な効果があると言われています。この日は、たくさん子どもたちがこの活動に参加し、パラバルーンをみんなで羽ばたきながら楽しんでいました。途中から職員がパラバルーンの上にボールを乗せると、子どもたちはパラバルーンを羽ばたきながらも、ボールがよそへ飛んでいってしまわないように、みんなで声をかけ合いながらパラバルーンを楽しんでいました。
この日集まった子どもたちの中で、約3人に1人は新たに子ども支援センターへ来た子どもたちや、しばらくの間センターへ来ていなかった子どもたちでした。これからも、子ども支援センターの活動をより充実させていくとともに、もっと多くの子どもたちにこのセンターへ来てもらえるようにセンター職員とともに、より一層励んでまいります。
※本事業は、外務省・日本NGO連携無償資金協力の助成と皆さまからのご寄付で実施されます。
子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています