活動ニュース

フィリピン、1年間で台風被災地の子どもら約3千人を支援

2015/03/03
報告:KnKスタッフ 久野 由里子

2013年11月8日にフィリピンで発生した大型台風の被災地支援事業を終了しましたのでご報告します。

事業期間:2013年11月22日~2014年12月16日(調査ミッション含む)
裨益者数:約3,000人
事業地:レイテ島タナワン、サマール島バサイ、マラブット

2013年11月8日に発生した台風ハイエンにより、フィリピンでは1,400万人以上が被災、死者・行方不明者数は8,000人を超えると言われていました。
KnKは、被災前からドロップアウトする生徒や、児童労働の対象となる子どもが多いと言われていたレイテ島、サマール島の3地域で大型テントを用いたチルドレンセンターを運営しました。同地域は、主な生計手段である漁業やココナッツを使った産業(ココナッツオイル、石鹸、シャンプーなど)が台風により大きな被害を受けたことから、家庭の経済状態がより逼迫し、子ども・青少年が働かざるをえないなど通学の継続や、復学が困難になり、人身売買や児童労働などのリスクが高まることが懸念されていました。活動は大きく2014年7月までの第一フェーズと7月以降の第二フェーズにわけられます。
2013年11月に実施した事前調査をもとに、2014年1月からレイテ島タナワン、サマール島バサイ、マラブットの3地域にチルドレンセンターを設置しました。
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特に第一フェーズでは、被災した子ども・青少年の心理的ストレスの発散を目的とした絵画や作文などの自己表現活動、通学の継続・復学を目的とした教育資材の配布や補習授業を実施しました。また、家庭訪問などを通し子どもたちの状況を把握し、深刻な虐待などのケースについては保護した上で関係機関への紹介を行いました。家庭内で起こる虐待は社会とのつながりなしでは発見、問題解決がされにくく、子どもたちにとっては学校に行くことが社会との接点を保つことになると活動を行う中で感じる日々でした。特に家庭環境が不安定になりやすい災害時には、非公式教育を含む教育への参加が、物理的、心理社会的な意味で子どもたちを保護することにつながると考えられます。KnKでは新学期が始まる2014年6月を目指し復学・進学を後押しした結果、第一フェーズにセンターの活動に参加した子ども・青少年968名のうち86.9%の子どもたちが復学・通学を継続しました。
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7月に第一フェーズの振り返り、評価を行い、その内容をもとに第二フェーズを開始しました。第二フェーズでは、虐待などの件数が多いものの、地域住民が問題を表に出したがらない地域状況を鑑み、補習授業や自己表現活動に加え、保護者向けの啓発活動を実施しました。計334名の保護者が子どもの権利や育児、体罰の否定的側面などについてのセッションを受講しました。

KnKフィリピンスタッフ、リチャードへのインタビュー

2013年11月に実施した調査ミッションから事業に関わり、事業終了まで約1年間レイテ島、サマール島に駐在したKnKフィリピンスタッフのリチャードにインタビューを行いました。

Q.最初に調査ミッションで被災地に入った時はどんな気持ちでしたか?
よくその質問を受けるけど、言葉にならなかったとしか言いようがない。表現できなくて、でも調査ミッションだから、ただただ「数字」で表すようにしていった。亡くなった子どもを抱きながら歩く父親の姿を見て、自分も子どもがいるから気持ちを重ねて吐いてしまったこともある。

センターでワークショップを行うリチャード

Q.どんなことが事業で難しかったですか?
レイテ島、サマール島ではフィリピン公用語のタガログ語ではなくワライワライ語で話すため、地域の方の話すことを理解するのが難しかった。
スタッフ同士で日々感じていることなどをシェアしてストレスを抑えるようにしたけれど、それでもじんましんや頭痛がでたり、数えきれないほど下痢を体験したりした。

 

Q.一番印象に残っているのはどんなことですか?
自分の人生を彼らとシェアして、同時に彼らからも多くのことを学んだ。
事業終了前にクリスマスパーティーをしたんだけれど、スタッフはみんな泣いていて、ただ「ありがとう」としか言えない人もいた。
子どもから”Through KnK, I learned how to live again.”と言われたのが印象的。彼らは被災直後、笑うことも忘れていた。だけど、KnKの活動を通してどうやって自分の力で生きていくのか、知恵や強さを身につけられたんだと思う。

大きな喪失を経験した子どもたちですが、将来に夢と希望を持って再び歩いていく子どもたちにまた会える日を楽しみにしています。
改めまして、皆さまからのご支援に深く感謝申し上げます。

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※この活動は、認定NPO法人ジャパンプラットフォームからの助成と皆さまからのご寄付で実施しました。

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【KnKフィリピン活動概要】

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