2014/07/14
報告:KnKスタッフ 清水 匡
ジャパン・プラットフォーム助成事業
被災地で新たに分かってきた問題
2013年11月に大型台風ハイエンがフィリピン諸島を襲いました。被災地のレイテ島とサマール島にチルドレンセンターを立ち上げてから半年が過ぎ、新たな問題が分かってきました。KnKスタッフに家のことを相談する子どもが増え、家庭内暴力や性的虐待などの問題が浮き彫りとなりました。KnK活動地には地域全体が知り合いのような小さな村もあり、家庭の事情を相談しにくい環境でもありました。6月に入り公立学校が授業を再開しましたが、元々貧しい地域でもあり、親の仕事を手伝うなどで学校に行けない子どもも多く見られました。こうした事情を踏まえてKnKチームは家庭訪問で子どもたちの調査を開始しました。
10歳で漁師になり家計を支える少年
セイジー君(15)は漁師の息子。5年前に学校を辞めてしまいました。その理由は弟と妹を学校に通わせるため。セイジー君は当時小学校5年生。弟と妹が学校に通う年になりましたが、父親ひとりの収入では子ども3人を学校に通わせる余裕はありませんでした。そこでセイジー君が父親と海に出ることになったのです。今では父親と別の船に乗って漁をしています。
昨年の台風で家が崩壊しましたが、木材などをかき集め自力で小さな家を建てました。しかし、危険地域ということで本来居住は許されていません。生活は苦しく、船の使用料などを差し引くと一日の収入は100ペソ(250円程度)にしかなりません。そんなセイジー君に夢を聞くと「学校をちゃんと卒業したい」と小さくつぶやきました。
セイジー君同様、崩壊した多くの家屋は住民たちの自力で再建されています。しかし、本来海岸から40m以内は危険地域ということで再建は認められていません。さらに移転先がまだ決められておらず、仮設住宅の数も十分でないため、住民は危険を承知で元の場所での生活を始めています。
「仮設住宅の方が快適なの」
ジェニーメイちゃん(13)は仮設住宅に住んでいます。父親はトラック運転手で家にはほとんど帰ってきません。この日は体調を崩して学校を休んでいました。4畳半ほどの部屋に5人で暮らしています。いま雨季に入ったところでこの前大雨が降ったときは仮設住宅が揺れてとても怖かったそうです。それでもジェニーメイちゃんはこの仮設暮らしが好きだと言います。「だって、この家は電気が通ってるんだもん」父親が家を立て直す計画をしているそうですが、海が近い元の家には戻りたくないそうです。