2021年にカンボジアにおいて取り組んだ活動内容と、担当者からのひと言!をお届けします。
青少年の教育・自立支援、収入創出活動および若年層女性へのエンパワメント事業、青少年の就労支援に取り組みました。
1.青少年の教育・自立支援、収入創出活動および若年層女性へのエンパワメント事業
■ 実施地域:バッタンバン州
■ 裨益者とその数:15歳から30歳までの子ども・青少年 約150名
■ パートナー・関連諸機関:公益財団法人日本国際協力財団、ヘンケルジャパン株式会社、寺田倉庫株式会社、株式会社モルテン、WorldFut TSUKUBA、カンボジア社会福祉・退役軍人・青少年更生省、内務省バッタンバン支局、保健省バッタンバン支局など
■ 自立支援施設「若者の家」の運営
・6名の新規来所者を含む計21名が生活を共にしました。2名が大学進学を果たし、4名が高校を卒業(大学進学予定者が3名、職業訓練校への進学予定者が1名)、計6名が「若者の家」を卒業しました。
・前年同様、休校中の「若者の家」では、カンボジア政府が提供するオンライン授業で学習時間を確保し、学習の遅れの回避に努めました。外出を自粛していましたが、「若者の家」のみでの生活によるストレスが少しでも緩和できるよう、スタッフによる日常的な声掛けをより多く行い、また敷地内でのスポーツ、ゲームなどもあわせて行いました。
■収入創出活動および若年層女性へのエンパワメント事業
・計11名が縫製と絹織物の生産活動に参加し、巾着やバッグ、動物のオーナメントなどの小物製作を行いました。
・「若者の家」敷地内のショールームのほか、バッタンバン市内の小売店2店舗で販売を行い、製作した商品の販売活動を拡大しました。
・現地ニーズに合わせ、洋服の仕立てなどを行う洋裁の職業訓練を開講しました(訓練期間:2020年6月~2021年4月)。計7名が訓練を修了し、5名が個人開業、2名が職場実習に参加しました。
・洋裁の職業訓練を2018年より開講し、2021年までに訓練を3期に渡り実施しました。2021年4月の3期目の訓練修了をもって一区切りとし、2021年下半期より活動のふり返り・評価活動を実施しました。2022年上半期の内に、活動評価のまとめと本活動の今後の方向性を固めていきます。
■ イベント実施と地域への開放
・ロックダウンや行動規制・制限解除後には、遠足イベントや、日本の学生団体WorldFut TSUKUBAの協力でサッカーイベントを開催しました。また、コミュニティへも「若者の家」を少しずつ開放し、「若者の家」と地域の子どもたちが敷地内でサッカーやバレーボールなどスポーツを楽しむ姿がありました。識字・英語クラスも再開しました。
パイリン州、コミュニティ・ラーニング・センターの質向上を通じた青少年の就労支援
■ 実施地域:パイリン州
■ 裨益者とその数:13歳から25歳までの職業訓練受講者約311名、インストラクター13名、CLC運営委員会約25名 計349名
■ パートナー・関連諸機関:日本国外務省、パイリン州ノンフォーマル教育(NFE)課、
パイリン州各コミュニティ・ラーニング・センター(CLC)運営委員会
◇本事業について◇
パイリン州内にあるコミュニティ・ラーニング・センター(CLC)を拠点として、これまで支援が行き届きにくかった若者へ支援の場を提供し、より安定した就業につながる職業スキルを適切に提供し、貧困状態からの脱却を目指しています。
■ コミュニティ・ラーニング・センター(CLC)の利用環境改善
・バヤカ、クラチャブの 2 ヵ所に新しいCLCを建設し、サラークラウのCLCの修繕を行いました。また、前年に建設したオードンターのCLCと合わせて計4ヵ所のCLCに対し、必要な資機材や職業訓練資機材を提供しました。
■ 支援プログラムの強化
・2021年前半は新型コロナウイルス感染症の拡大により職業訓練を一時中断する状況となったものの、各CLCにおいてそれぞれ3つの新規コースと、前年にも訓練を実施したプノンコイにて2コース、計14コースの職業訓練を開講することができ、合計311名が訓練に参加しました。
■ 就業支援
・職業訓練を受けている訓練生に対し就職のアドバイスを行うワークショップやジョブフェアを開催しました。
・訓練修了生に対し、より条件の良い就職先のマッチングを行い、合計59名の就職サポートを実施しました。一方で、親元を離れ働くことに慣れず早期退職してしまう若者も多く、就職後のフォローアップにも力を入れました。
■ セーフティーネット構築(ネットワーク会議 / ケース会議実施)
・支援を必要とする全ての若者にリーチできるよう、関係諸機関全体で「パイリン・セーフティネット・グループ」を組み、オンラインで定期的なミーティングを実施しました。若者に関する全般的な問題・課題や、個別の若者の情報共有を行い、貧困や家庭内暴力などで苦しみ支援が必要な若者の発見から解決までの流れを構築することを目指しています。
プロジェクト・コーディネーター:倉持 真弓
2021年はカンボジアでもコロナ感染が拡大し、学校や州境の閉鎖など、私たちも現地での活動が大幅に制限されました。その中で出来る事を模索しながら、大変な時こそ成長できるんだと言い聞かせ、カンボジア人スタッフ達と一緒に1年間の活動を終える事が出来ました。2022年は、人々の生活が通常に戻りつつある一方で、長期のオンライン授業で学力が低下していたり、国境が開いたので隣国に出稼ぎに行ってしまう等、カンボジアの若者たちを取り巻く環境の変化にも不安はたくさんあります。若者たちが本当に必要としている事は何か、直接見て、聞いて、感じて、考えて、さらに多くのアクションを取っていきたいと思っています。