活動ニュース

2021年の活動報告と担当者からひと言!~ヨルダン/シリア難民支援~

2021年にヨルダンにおいて取り組んだ活動内容と、担当者からのひと言!をお届けします。

新しい写真プログラムの実施は、子どもらしい日常生活の様子をうかがい知ることができる貴重な機会となりました。

1.ザアタリ難民キャンプ内の学校におけるシリア難民への教育支援

■ 実施期間:2013年3月〜継続中
■ 実施地域:マフラック県ザアタリ難民キャンプ
■ 裨益者とその数:女子シフト:5年生~10年生 男子シフト:5年生~8年生
女子:1月~8月(遠隔授業)71名、9月~12月(対面授業)653名
男子:1月~8月(遠隔授業)65名、9月~12月(対面授業)446名
■ パートナー・関連諸機関:ヨルダン教育省、ユニセフ、宗教法人真如苑

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■オンラインでのメッセージ配信

・1月から8月までは学校が閉まっていたため、WhatsApp(ワッツアップ)というメッセンジャーアプリを使い、男女別のシフトごとにKnKのヨルダン人教員、シリア人教員が交代で週3回、生徒へのメッセージ配信を継続しました。
・男女別に配信内容を変え、音楽、演劇、作文といった科目に関連する動画やメッセージに加え、9月の新学期、対面授業再開の前は、1年半の学校閉鎖を経て子どもたちが再び学校に戻ってくるよう励ましや心構えを送るなど、教育の大切さやKnKの教員からのサポートがあることを重点的にメッセージに込めました。

■対面授業の再開

・9月の半ばから対面授業が再開した当初、学校側の生徒登録作業や授業の開始に混乱が見られたものの、10月には男女シフト共に落ち着いて授業に取り組む様子が見られました。
・KnKも1年半ぶりの対面授業となるため、教室で生徒同士が互いに気持ち良く過ごすため相手を尊重する大切さや人間関係の築き方、登校の再開による生活リズムの整え方や衛生面での注意喚起を行いました。

再開した対面授業を受ける生徒たち

・KnKの授業は、演劇、音楽、作文、テーマを設けた講義のほか、クイズなどの楽しい時間も持ち、学校再開を喜ぶ子どもたちの意欲を維持できるよう努めました。

■写真プログラムの実施

・2021年に取り組んだ新しい写真プログラムは、キャンプの子どもたちに身近な「スマートフォンを使って身の回りの写真を撮ること」について、より自由に写真を通じて様々な表現方法を学ぶこと、表現ツールとしての写真の魅力を知ってもらうこと、また、子ども自身が撮った写真や彼らが考えたキャプションに添える言葉をそのまま発信することで、難民キャンプという環境下で暮らす子どもたちが見ている日常や物事の捉え方について、広く日本の支援者にも理解を深めてもらうことを目的に実施しました。
・計10回、テーマごとに被写体の選び方、遠近法や光と影の使い方などを学び、子どもたちは試行錯誤しながらもプログラムの活動を楽しむ様子が見られました。実施したスタッフにとっても、参加した子どもたちの生活の様子を知る機会になると共に、子どもたちが丁寧に生活を営もうと心砕く姿や、子どもらしい楽しみや喜びを見つけられている様子をうかがい知ることができ、貴重な機会となりました。

アンマンにおける教育支援 JICA草の根技術協力事業

2.社会性育成を主眼に置いた特別活動実践と体制構築事業

■ 実施期間:2018年6月~2022年1月
■ 実施地域:アンマン県
■ 裨益者とその数:公立校12校、生徒7,870名
■ パートナー・関連諸機関:独立行政法人国際協力機構(JICA)、ヨルダン教育省、マルカ教育局、カサバトアンマン教育局

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■本事業について

2018年より開始した本プロジェクトでは、アンマン市内のシリア人生徒の多い公立学校12校に日本式教育活動の「特別活動」を試験的に導入しました。対象校において学校生活のルーティンとして取り入れやすい朝の会や日直当番、学級内の問題を解決するための話し合いや実践、振り返りを行う学級会などの活動を実施し、教員が自立的に実施できる実践モデルの構築を目指しました。

■ヨルダンの公立学校における日本式教育活動の導入
・2021年の活動も引き続き、新型コロナウイルス感染症対策を活動の中に取り入れながら、遠隔教育に対応した活動形態を作ることで、できる限り学校の抱える課題に対応できるようにしていきました。また、遠隔教育において、特に低学年に対し、理解をより促すためにビデオ教材などを作成しSNS上で共有するなど、遠隔教育に合った活動への変更など、臨機応変に対応していきました。

星形のワッペンは日直の印

特別禍都度に参加した女子生徒

・2018年から開始したプロジェクトの最終年度であったことから、ヨルダンの学校で今後、特別活動が実施できるよう、ヨルダン式特別活動の指針や概要を記した指導要網(ガイドライン)、実施方法について詳細を記した教員用ハンドブック(指導要領)の編纂や視聴覚教材の制作に取り組みました。その内容については、対象校12校での実践の学びを反映させ、教育省とともに確認、最終化への取り組みを行いました。

・12月には総括報告会を開催しました。対象地域の2教育局と対象校12校の校長や活動のコーディネーターを務めた教員ら計33名が出席し、各校の実践や成果の発表を通じて、互いに学びを深める機会となりました。

・対象校の生徒からは、「特別活動実施前と後ではクラスの雰囲気が変わり、生徒同士が助け合い、協力する場面が増えた」、「クラスメイトについてよりよく知ることができた」、「活動内のタスクをやり切ることで自信がついた」、「人前で恥ずかしがらずに話せるようになった」、「友だちが増えた」といった声が聞かれるなど、協調性、他者理解、責任感に変化が見られました。

・ヨルダンではこれまで、教員は学校の目的を勉学のみとする傾向が強かったが、教員対象の各種アンケートや報告会の発表からは、教員が活動を通じて自己開示することで、生徒が教員について知る機会が増え、教員に対する見方が変わりました、また反対に教員が生徒をより深く理解する機会となった事例も見られ、教員と生徒の関係構築や学級経営にも良い影響が生まれたことが確認できました。

1年半ぶりの対面授業開始に伴い、公立学校では久しぶりに登校した子どもたちの様子から、生活リズムが崩れ、言動が荒れていることへの危機感を抱いていました。そのような授業運営などのマネージメントが困難な中でも、特別活動が生徒の社会性育成だけでなく、対面授業での生活習慣の立て直しにも積極的に活用できることに着目した事例も見られ、2018年から開始した日直や学級会という取り組みが対象校に根付きつつあることを確認できました。

シリア難民支援事業総括:松永 晴子

ザアタリ難民キャンプの教育支援事業は、2021年前半のコロナ禍、写真プログラムや子ども新聞の配布など、制約や不自由さがあったからこそ生まれたプログラムを実施。コロナ禍を経て1年半ぶりの対面授業が再開できた2021年9月には、本当に多くの生徒が嬉しそうに学校へ登校している様子を見て、ずっと継続して事業をやってきたありがたみを感じました。ですが、コロナ禍の学習の遅れ、何年も前に逆戻りをしたような早期結婚や児童労働などの多さが課題となっています。2022年はそれらの課題と向き合うとともに、子どもたちがより学校に愛着を持ち、教科の勉強以外でも大切なことに気づき、学べる学校環境を作っていきます。

海外事業担当/ヨルダン:佐々木 恵子

2021年は2018年から取り組んだアンマンの公立学校での特別活動の導入を支援する事業の総まとめの年でした。日直当番や学級会、異学年交流活動など、ヨルダンの学校にとっては新しい試みに、先生や子どもたちが関心を持って試行錯誤しながら挑戦してくれたことを嬉しく思います。子どもたちは楽しみながら、各活動に参加し、自分自身や友人の新しい一面を知る機会となりました。また、取り組みを通じて学校を前より好きになったと答えた子どもも多く、印象に残っています。特別活動を実践してみたいという他の学校からの要望もあり、2022年は活動の対象を広げていく予定です。

プロジェクト・コーディネーター:大竹 菜緒

世界的な価格高騰の流れに、ヨルダン国内も少なからず影響を受けています。ソーシャルメディア上では、政府がこれまでの鶏肉の価格規制を撤廃し、値上がりしたことへの抗議として、鶏肉や卵の不買運動キャンペーンが世間を賑わせていました。ガソリン価格も、2022年4月頃まで1Lあたり0.85ディナール(約163円)だったのが、6月は1.18ディナール(約226円)まで上がっており、9月まで毎月価格が上昇するとの報道もあります。KnKにとっても非常に厳しい状況ではありますが、だからといって教育に待ったをかけることはできません。2022年も、ヨルダンに住む子どもたちが将来、人生においてひとつでも多くの選択肢を選べるような活動を続けていきます。

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