活動ニュース

11月15日「いい遺言の日」に、教育のない世界で生きる子どものことを考えてみる

教育のない世界で生きる子どもたち

この地球上には、いくつもの国があります。人々が生活を営むまちなみがあり、身を寄せ合って暮らす家族が無数に存在します。
その片隅に、私たち国境なき子どもたち(KnK)が保護し、教育機会を提供し、健やかな成長を願う子どもたちが生きています。彼らは複雑な家庭環境に置かれていたり、そこから飛び出して路上生活を始めたり、さまざまな背景があります。生き延びるために犯罪に手を染めたことのある子どもも存在します。
親から愛情を注がれ、温かい環境で育てられた経験の乏しい子どもには、親代わりとなる大人の手助けや将来自分の力で生きていくための教育機会が必要です。

屋台の焼き鳥を物欲しそうに眺めるストリートチルドレン

途上国の子どもたちに遺せるものは?遺贈や相続財産からのご寄付が増加

身寄りの無い途上国の子どもたち、困難な状況にある彼らのために、KnKは1997年より教育を中心とした支援を提供しています。この活動を支えてくださるのは、日本の市民、企業からのご寄付や公的助成金です。
KnKのようなNPOへの「遺贈」や相続財産からのご寄付が年々増えていることをご存知でしょうか。寄付白書2017によると、2割の人が遺贈寄付に関心を持ち、NPOに関心があるご高齢の方は56.1%にものぼります。2016年の個人寄付総額は7,756憶円とされていますが、その内、遺贈寄付の割合は10%強であろうと推定されています。

「いい遺言の日」とされている11月15日、教育のない世界で生きる子どもたちに対して、私たち大人ができることは何か、遺せるものは何か、考えるきっかけとしていただけたら幸いです。

勉強することで自分の将来を考えることができる

いい遺言とは?

遺言執行者としてのご実績を多数お持ちの遺言コンサルタント、柴田純一先生にお話を伺いました。

KnK:途上国の子どもたちの未来、教育に遺産を役立てたい場合、「遺言書」は必要でしょうか?

柴田先生:「遺言書をすすめることは死を暗示していて失礼だ」という考えがまだ根深く残っているかもしれません。しかし、いざ遺産相続が発生したときに、「遺言さえあれば…」、といったケースが多々あります。ご本人が遺産の一部を社会に還元したい、恵まれない状況にある子どものために役立てたいと考えていたとしても、遺言書に残しておかなかったばかりに、希望を叶えられないことは多々あります。そればかりかご遺族に不要な争いを巻き起こさせてしまうこともあります。悲しい思いを家族にさせないために、遺言はご遺族への最後の愛情、思いやりともいえます。

相続は金銭や権利関係が絡むものであり、相続問題がこじれてしまうと、仲の良かった家族間でさえ協議が難航するという事態に陥ってしまう事もありえます。家族間にヒビが入るような種をまかないように、きちんと事前にご自身の希望を「遺言書」として明文化し、対応策を考えておくことが大切です。

KnK:不動産を遺贈したいというご相談を受けることも増えてきました。NPOに不動産を遺贈したい方、また相続した不動産をNPOへ寄付したいとお考えの方が気をつける点はありますか?

柴田先生:不動産をNPOなどに遺贈寄付する場合、後から寄付された側(NPO)が税負担等の対応に追われることがありえます。団体によっては不動産の寄付は受けないと決めているところもあるので、寄付先への事前確認や場合によっては売却して現金化した上で遺贈する形を検討することが求められます。KnKは遺贈で不動産寄付は受け入れていますか?

KnK:不動産のご寄付をご提案いただくこともありますが、現時点では「現金化した上でご寄付いただけるとありがたいです」とお答えしています。今後、ご依頼やご提案が増えると思いますので、不動産寄付に関する受け入れポリシーを整えようと内部で検討しているところです。
ところで、「遺言書」を書く上で最も大事なポイントは何でしょうか?

柴田先生:注意すべき点は多数ありますが、法的に有効な「遺言書」の作成や執行には、専門家に相談し信頼のおける遺言執行者を指定した上で、破棄や紛失、偽造のおそれがなく保管される「公正証書遺言」を作成されることをお勧めします。また、NPOへの遺贈寄付という点では、寄付先団体名や団体所在地を「遺言書」上に正しく書くことが大切です。
遺言相続の専門家として、「遺言書」を作らず子どもの代で解決されない相続紛争を多数見てきました。仮に相続争いで揉めつづける土地が国や県の道路計画に引っ掛かると、もはや一個人の私的揉め事レベルでは済まなくなります。NPOへの遺贈に限らず、首都圏にお住まいで不動産をお持ちの方は、相続税がいくらかかるかをあらかじめお調べすることをお勧めします。
また、実際には裁判所での相続争い件数は相続税がかからない事例が圧倒的です。骨肉の争いになる相続財産は「2百万円」と言われています。円満な相続のためにも、ご自身の想いを貫くためにも「遺言書」作成が最も有効です。

KnK:貴重なお話をありがとうございました。

柴田純一先生(プロフィール)

遺言コンサルタント。

1950年生れ。青森県出身。中央大卒。金融機関を定年退職後、遺言相続専門行政書士として独立。

https://www.yuigonsyo.biz/

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*認定NPO法人である「国境なき子どもたち(KnK)」への遺贈や相続財産からのご寄付は、税制上の優遇措置を受けられます。

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