私はサラ・イリカトといいます。
パレスチナのアブディース村に住んでいます。
KnKの「希望の家」で、パレスチナ現地代表のアシスタント兼通訳として働いています。
私たちの活動のゴールは「子どもたち」です。私たちの努力は、子どもたちが幸せで歓迎されていると感じられ、さらに個人の能力や個性を伸ばすために費やされます。
パレスチナの子どもたちは、イスラエルによる占領に加えて、困窮した経済状況や試験勉強に追われる学校生活からくるストレスにさらされています。このような子どもたちのために、「希望の家」のドアはほぼ毎日開かれています。
子どもたちが幸せを感じ、政治的情勢や学校生活で行き詰る毎日から受けるストレスを少しでも発散し、さらに個人の能力を伸ばせるようにと、私たちは新しいことを教えたり、彼らの話し相手になったりします。
時には、友だちと会うためだけに子どもたちが「希望の家」にやってくることもあります。
私自身、子どもたちが喜ぶ表情を見るのをとても嬉しく感じます。それが私の担当するパレスチナの伝統刺繍のワークショップであれば、なおさらです。
パレスチナ刺繍は伝統的なデザインと手法ですが、子どもたちの興味を引くように、それをブレスレットや小さなクッションなど、モダンな形に仕上げる工夫をしました。
ワークショップを始める前は、伝統的な刺繍なんて子どもたちには難しすぎるし、つまらないだろうから、すぐに飽きられるだろうと思っていました。
ところが、子どもたちに刺繍を教え始めてみると、みんな喜んでワークショップに参加しましたし、女の子だけでなく、男の子も刺繍を楽しんで学んでくれたのです。これは私にとって大成功でした!
ワークショップに参加した子どもたちの中に、アブドゥルラフマンという名前の男の子がいました。
最初はこの子に刺繍を教えても、刺繍は女性のやる事だからと言ってまじめに取り組んでもらえないだろう、教える私が苦労するに違いない、と、思っていました。しかしワークショップが始まると、驚くことに彼は年長の子どもたちよりも早く刺繍の刺し方を覚えてしまったのです。
この経験から、私はどんな人であろうと見くびってはいけないということを学びました。それが例えアブドゥルラフマンのように小さくてかわいらしい子であっても、です。
刺繍のワークショップが終わってから、もう一度刺繍のワークショップをして欲しいという要望が子どもたちから寄せられました。
夏休みが終わってから、また彼らに教える機会を作ろうと考えています。