スタッフ日記 認定NPO法人国境なき子どもたちブログ

ある日の難民キャンプの授業

こんにちは!ヨルダン事務所でインターン中の井藤です。今日のザアタリ難民キャンプの授業は興味深かったですー!
音楽の授業だと聞いていた時間、いつも通り子どもたちがはしゃいで一斉に教室に入ってきました。みんなワイワイ・ガヤガヤ、あっという間に席が埋まって教室が満杯です。さあ授業の始まりは、挨拶からです。
日本でもやりますよね。
先生「おはよう!」
生徒みんな「おはようございます!!!!!!!」
あれ、この先生、音楽じゃないよな?と思っていたら、他の先生たちの姿が見当たりません。どこに行ったのかなあ?と思っていたら、みんな一斉に教室のドアから入ってきました。

…だけどなんか様子が変

入るや否や、教室の前で押し合いへし合い。イスを取り合ったり、乱暴に物を置いたり、あっちこっちと落ち着かなかったり。近くにある楽器をイタズラで触って音を出したり、他の先生たちにちょっかいをかけたり。

!?!?!?!?!

一方、子どもたちは大爆笑!みんな好奇心満々で食い入るように見ています。

一緒にいたスタッフに、「ねえねえ、これ何なの??」と聞いてみると、
そのスタッフも大爆笑中。「いやね、子どもたちがいつも教室に入ってくるときの様子を再現してるのよ!」

そうなんです。
子どもたち、元気いっぱいなのはとっても素敵ですが、いつもちょっと元気がありあまりすぎて、他の子ともめごとにになったり、落ち着いて授業を受けれなかったり、とこんな光景がここザアタリ難民キャンプではよく見られます。
もちろん難民キャンプの中でエネルギーを発散できる場所がないということもありますが、きっと心の中にいろいろあって、落ち着かないということもあるのでしょう。またきちんと教えてくれる大人が周りにいない、というのも大きな一つの要因だと思います。

先生たちの寸劇はさらに続き、子どもたちに扮した先生たちが殴り合いのケンカを始めてしまいました。
「お前が先にやったんだろ!」「お前が悪い!」と収拾がつかなくなってしまいました。

先生役の先生が、ちょうどその日授業を見学に来ていた保護者の方まで巻き込んで、本当に保護者役になってもらい、ケンカした生徒の親御さんとして呼び出して…と本格的です。

さて、終始大爆笑の寸劇が終わったところで、ここからが大事なところ。

先生「この劇に込められたメッセージはどういうことだ?」

生徒「悪ふざけはしないこと、ケンカしないこと、他の人を思いやることです」

他にも授業中に許可なく外に出たり、水を飲み過ぎて何回もトイレに行かなくちゃいけなくなったりすることなど、いろんなことについて話がありました。

その後通常の音楽の授業があり、帰りどうなるかな…と期待半分・心配半分で見ていたら、いつも時間がきたらみんな一斉にドアに向けて走り出し押し合いへし合いになるのに、今日はみんな落ち着いて列に並んで教室から出て行っていました!!!

先生たちの工夫を凝らしたアイディア、大成功です!!!!

この寸劇、元気いっぱいの男の子たちのクラスで何回か行われたのですが、その1回に、こんな素敵なエピソードがありました。

寸劇が始まる前、実際に1人の男の子が問題を起こしてしまいました。

「はじっこに立ってなさい!」と先生の厳しい対応です。
でも全然反省した様子はなく、はじっこで風船をいじって遊んでいます。

全体での挨拶が進んでいくころ、他の先生がきて、さらに教室の角に連れて行かれ、こっぴどく怒られました。
そしたら、さっきまでの態度はどこへやら。ぐすぐすと泣き始めてしまいました。

怒られ終わった後も涙は止まらず、教室のみんなの後ろに、イスを置いて授業に参加することになりました。

しばらく、涙は止まらず、あらあらと思って見ていたものの、先に書いた先生たちの寸劇が始まると、その子も思わず大爆笑!
授業そのものが終わるころにはすっかり笑顔に戻っていました。

そして、教室から出るとき、教室の1番後ろにいたのですが、クラスの子がみんな並んでゆっくり出て行くのをちゃんと待って、最後に照れくさそうに教室から出て行きました。

これからのいいきっかけになるといいな、と微笑ましくなった1日でした。

 

 

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