活動ニュース

健康状態が改善したストリートチルドレン(バングラデシュ、ダッカ)

2015/08/27
報告:KnKスタッフ 久野 由里子

2011年9月から開始したストリートチルドレンを対象としたドロップインセンターもまもなく5年目を迎えようとしています。センターで子どもたちがどのような時間を過ごし、子どもたちにどのような変化があったのか活動の評価・振り返りを行いました。

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DICの子どもたち

ドロップインセンターでの活動

ドロップインセンターはバングラデシュ首都ダッカにある大きな船着き場ショドルガットにあり、平日(日~木)の9時から17時までオープンし、以下のような活動をしています。

【1】朝食・昼食の提供
ストリートチルドレンの多くは物乞いや路上の不衛生な物を食べるなど、栄養価の高い食事を毎日3食食べることが難しい状況にあります。そのため、彼らの健康状態は悪く、さまざまな病気に対して免疫力が低いことがあります。センターでは4、5種類の野菜と肉か魚、卵など日替わりで食事を提供しています。

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【2】基礎教育と課外活動
センターに来る子どもたちの多くは、小学校を低学年で中退した子や小学校に通ったことのない子どもで、読み書きや計算ができる子どもは限られています。読み書きができれば新聞や張り紙などから必要な情報を得て、自分の身を守ることにもつながります。また、課外活動として社会見学で国立美術館に遠足に行ったり、センターでは絵画や演劇なども行います。絵画、演劇、ゲームなどを通し、子どもたちは新たなスキルを身につけるチャンスを得、また友人を作ること、他者を尊重する機会も得られます。

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【3】応急処置、定期的な健康診断
危険な路上で生活しているストリートチルドレンはケガをすることも多く、毎日のようにケガの手当をしています。子どもたちにとっては、センターは心配してもらえたり、髪や爪を切ってもらえたり、家族代わりにケアしてもらえる大事な場所でもあります。

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【4】啓発活動
子どもたちに対して衛生、健康、社会問題や道徳など生きていく上で必要な知識に関連するセッションを実施しています。また、ストリートチルドレンには働いている子どもも多く、その雇用主は子どもたちへの影響も大きいため、雇用主を含むコミュニティの方々にもセンターの活動を紹介したり、子どもの権利について啓発セッションを行っています。

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映像で見るドロップインセンター

ドロップインセンターの成果

2011年9月から2015年7月まで延べ約35,000人のストリートチルドレンがセンターを利用しています。1日だけ来た子どももいれば、センター開所以来通い続けている子どももいますが、35,000人の子どもたちに何らかのサービスを提供できたことは大きな成果として挙げられます。

子どもの健康状態の改善

スタッフに身長を計ってもらう子ども

センターに定期的に通う子どもたちをセンターに来ている期間ごとに3グループに分類し、身長と体重の変化を比較しました。(グループ 1は2年以上、グループ 2は1年以上2年未満、グループ 3は1年以下の期間センターに通っています。グループ 3はグループ 1に比較し、センターに来る頻度も頻繁ではありません。)

測定データの結果、2年以上センターに通っているグループ 1の子どもは安定した体重増加が見られ、継続してセンターに通い、安定した食事を食べられることが体重の増加に貢献していると考えられます。

さらに、センターでは風邪や皮膚病など症状がある子どもたちに対して応急手当や薬を提供していますが、センターに引き続き通い続けている子どもは、そのような病気になり応急処置を受けることが減るという事もわかりました。
 
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ストリートチルドレンの意識変化

センターに来ている子どもたちにグループインタビューを行いました。その結果、センターに通うことで、子どもたちの健康状態、食と健康に関する知識や意識の向上があったと子どもたち自らが自覚していることが分かりました。

Q1:センターに来る前の食生活について教えてください。

「センターに来る前はお金がなく路上の不衛生な物を食べていた。手も洗わずに不衛生な場所で食事もとっていた。3食とれない日もあり、物乞いをして生活をしていた」

Q2:センターに来るようになってからの現在の食生活について教えてください。どのように変わりましたか?

「センターに来て自分の食生活は大きく変化した。今は朝ご飯と昼ご飯を時間通りに食べることができている。食事の前はいつも手を洗い、外での路上の食べ物や不衛生な物は食べないようにしている。店の物には蓋がかぶっているか、いないかを見てから買うようにしている。蓋がしていない物は埃が入っているので、腹痛と下痢の原因になる」

Q3:センターに来る前と今の状況を比べて、自分の健康面でどのような向上がありましたか?

「センターに来る前は、健康状態は良くなかった。僕たちほとんどは皮膚病を持っていて、長い皮膚病に苦しんでいた。そのときは不潔でやせ細って見えていた。体は弱く、腹痛にも苦しんでいたが、センターに来て健康状態が良くなった。薬を飲み、栄養のある物をいつも食べ、今は皮膚病もなくなった。体が弱いと感じることもなく、前よりも健康的に見えるようになった」

Q4:センターに来る前と今の状況を比べて、自分の気持ちにどのような変化がありましたか?

「センターに来る前は、一人で寂しくなり、家族の事を考えて泣いたこともあった。センターに来るようになってから、スタッフとも仲良くなり、たくさん友達もできた。今は話をする人もできたし、スタッフからアドバイスをもらえる事も嬉しい」
「何かあった時に、調理担当の人に話をして気持ちが楽になった」
「センターに来る前はとても憂鬱だった。今は自分の気持ちをセンターにいる兄弟のような友達に全てを打ち明ける事ができる」
「前は病気になった時にも行く所がなく、とても悲しかった。今はセンター行って食事を食べたり遊んだりすることができるので希望がでて気持ちが強くなった」

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ドロップインセンターのみんなで遠足に行きました!

 

義父の暴力でお母さんが亡くなってしまった子ども、両親を病気と事故で同じ日に亡くしてしまった子ども、生きるために他人のお金を盗んで生活している子ども、性的虐待から逃げてきた子ども、色々な子どもがセンターには通っています。彼らに共通していることは、子どもらしい時間を与えられず、毎日生きるために必死に生活をしていることです。センターが、彼らにとって毎日の厳しい時間を少しでも忘れられ、家族のように愛情を感じられる場所であるよう、今後も活動を続けて参ります。

子どもたちが、あなたのサポートを必要としています


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例えば1,500円のご寄付で、KnKほほえみドロップインセンターのストリートチルドレン15人に朝食と昼食を提供できます。「毎日の力!50円」にご参加いただくことで、年間180人のストリートチルドレンを栄養面でサポートできます。
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。

※ バングラデシュ、ダッカの「KnKほほえみドロップインセンター」運営は、株式会社味の素、フェリシモ地球村の基金からの助成と日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

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