活動ニュース

ポルトガル語の公用語化

2010/04/23
報告:プロジェクト・コーディネーター 水谷 陽子

日本NGO連携無償資金協力
助成事業

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2月に東ティモールの第3期の事業が始まって以来あっという間に2ヶ月が過ぎました。今回の事業では4県のユースセンターにおける青少年を対象にしたスポーツ指導、英語および識字教室等を通じた支援の実施とともに、当事業が終了した後も現地スタッフたち自身によって活動が継続できるよう、現地スタッフの能力向上を目的としたセミナーの開催も活動の中心となります。彼らに予算の獲得や管理、資機材の管理やコースの運営についてそのやり方を伝えるだけでなく、彼らとともに学び経験し、共に成長していけるよう日々を過ごしています。

センターの識字教室に参加する子どもたち

センターの識字教室に参加する子どもたち

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ところで東ティモールの公用語が何か、みなさんはご存知でしょうか?人口は100万人強とけして多くはないにも関わらず東ティモールでは16の固有の言語が話されているといいます。その中で一番広く使われているテトゥン語とポルトガル語が公用語となっています。この決定に伴い子どもたちは小学校からポルトガル語をならうことになったのですが、このことが教育現場に大きな混乱を引き起こしています。1976年から1999年までのインドネシア統治時代、ポルトガル語は徹底的に排除されインドネシア化が進められました。この間に教育を受け教師になった人々はポルトガル語を話すことができません。生徒に教える前に、まず教師たちが研修を受けポルトガル語を勉強しなければならない状況にあるのです。そのような状況で十分な教育を行うことは非常に難しく、生徒も教師も困難を強いられているのです。

人口の9割以上がカトリック教徒であることもポルトガルの影響を強く受けている

人口の9割以上がカトリック教徒であることもポルトガルの影響を強く受けている

ポルトガル統治時代を象徴する  キリスト像

ポルトガル統治時代を象徴する
キリスト像

授業内容に加えて施設にも問題があります。子どもの数の増加に教育施設の整備が追いつかず、午前、午後の二部制をとっているところも多くあります。それでも学校によってはいすや机の数が十分ではなく、床に座って授業を受ける子どももいると聞きます。ポルトガル語の公用語化政策による教師の能力の問題やこうした施設の問題のため、十分な教育が行われているとは言いがたいのが東ティモールの現状です。

机はたくさんあるのに、  椅子が1つしかない教室もある

机はたくさんあるのに、
椅子が1つしかない教室もある

こうした背景を受け、ユースセンターにやってくる子どもたちからは「勉強がしたい」、という気持ちがひしひしと伝わってきます。先日訪れたユースセンターでは、授業開始までは30分以上あるというのに待ちきれずに集まってきた子どもたちのために、開始時間を早めることになりました。先生の合図とともに我先にと教室に駆け込んでくる子どもたち、黒板に近い席からあっという間に埋まっていきます。予想以上の数にこの小さな村のどこにこんなにたくさんの子どもたちがいたの?と圧倒されてしまいました。

授業が始まる30分以上前には集まってくる子どもたち

授業が始まる30分以上前には集まってくる子どもたち

センターでは、実用に適した英語クラスが人気

センターでは、実用に適した英語クラスが人気

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必死に英語問題を解く生徒

必死に英語問題を解く生徒

  自己紹介は、もちろん英語で

自己紹介は、もちろん英語で

2002年に独立したばかりの東ティモールには解決すべき問題が山積みです。中でも教育現場に混乱をもたらしたポルトガル語の公用語化は、世代間の言葉の断絶を生み出すことになり、今後の発展における不安要素の一つであると言われています。だからこそこの国の未来を担う子どもたちへの教育支援はこの国の将来を考える上で非常に大切であると思います。

勉強したいと願う子どもたちにより多くの笑顔をもたらすためにも、今後もKnKの活動に支援していただけるようよろしくお願いいたします。

 

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