活動ニュース

がんセンターでボランティア

2010/04/20
報告:プロジェクト・コーディネーター 加藤 香子

100420_001

マルカでの事業開始から約1年半、同年代の仲間との学びを通じ、責任感や協調性、リーダーシップを身に着けていくピア・エデュケーター(PE)プログラムを実施してきました。今回、そのPEのうち女子12名が、アンマン市内にあるキング・フセイン・がん・センター(King Hussein Cancer Center)を訪問し、幼少年の患者と触れ合いました。この訪問が特徴的なのは、企画から実行までを彼女たち自らが主体的に進めていった、PEによる初めての地域コミュニティーでのボランティア活動であったという点です。 当日は、約100名にものぼる患者の子どもとその家族が会場に集まっていました。その様子を目の当たりにしたPEは最初、会場の雰囲気に飲まれ込みそうなほど、緊張をしている様子でした。しかし、いざステージに立ち、マイクを握ると、その緊張はどこへやら、司会役は立派に大役をこなしていきました。

100420_002

準備に余念がないPE

100420_003

会場の様子をビデオに収めるPE

100420_004

KnKやPEについて説明する司会役。

100420_005

人前で物怖じせず話せるようになりました。

次は、段ボールで作った動物たちが登場するショートストーリー。
ある日、らくだと象、羊が山頂まで競争をすることになりました。らくだは足を怪我し、速く歩くことができません。のんびり歩くらくだを尻目に、像と羊はどんどん先へ進んでいきます。しかし、途中羊は頂上から落ちてしまい、像は頂上まで上ることができませんでした。そして最終的には、らくだが頂上に最初に到達することができたのです。

そこには、病気をしていても、それが原因で他人に劣ることばかりではない、あきらめないで闘病生活を送ってほしい、とのPEから病気と闘う子どもたちへの応援メッセージがこめられています。 さらに、会場にはピエロ役のPE2名が登場しました。これもPE自らのアイデアです。その姿に、会場全体が笑いに包まれ、子どもたちの顔にも笑みがこぼれました。そして次に、歌やクイズ、ゲームを一緒に楽しみました。クイズ解答者を選ぶ際には、皆が公平に参加できているか、注意を払いました。また、体の不自由な子には、手助けをしながら、ステージまで誘導しました。PEは、誰に言われるでもなく、助けを必要とする子どもへ自然と手が差し伸べられるようになっていました。

100420_006

らくだが主役という点はヨルダンならでは

100420_008

クイズに答えたくて列を成す子どもたち

みんな公平に参加できているか確認中

みんな公平に参加できているか確認中

参加した患者の子どもたちは、同年代や年上のお姉さんと一緒に遊ぶことが本当に楽しいといった様子で、PEの訪問を歓迎してくれました。そして、PEにとっても、普段のセンターでの活動とは一味違う、地域の人々との直の触れ合いから学ぶ貴重な機会となりました。

100420_007

似合っているでしょう?

このボランティア活動に参加したPEの声を聞いてみましょう。

人間にとって大切なことは、健康かどうかではなく、心がどのような状態にあるかだと思います。がん・センターで出会った子どもたちは、病気と闘う患者でした。私とPEの仲間は、悲しみ続けるのではなく、希望こそが大切であることを伝えたかったのです。今日の訪問を通し、そのメッセージが伝わっていると嬉しいです。
(14歳/ヨルダン人)

会場へ着くまでは、不安でいっぱいでしたが、ステージに立ち、私たちの訪問をとても喜んでくれている子どもたちの表情を見ると、その不安もすぐにかき消されました。また、子どもたちの多くが、クイズに答えたり、きれいな歌を歌ったりすることができる才能を秘めていることに気づきました。病気を抱える子どもたちのことが忘れ去られないであってほしいです。
(19歳/イラク人)

 

訪問を通し、PEの成長には目覚しいものを感じました。PEプログラムに参加し始めた頃には、周りから言われて初めて行動を起こすことが多かった彼女たち。しかし、約1年半、KnKの提供するPEプログラムを通して、自主性やリーダーシップ、他者との協調性を学んだ彼女たちには、今では仲間と協力しながら、自ら企画し、行動に移すという主体性が育まれていることが実感できます。彼女たちの新たな成長の姿を垣間見ることができた訪問となりました。

寄付する
寄付する
資料請求

カテゴリー

月別アーカイブ