2013/11/08
報告:KnKスタッフ 清水 匡
ビデオワークショップのもう一つのテーマは「壁」です。
この分離壁は、前回ご紹介したようにアルザリアとエルサレムを分断するだけでなく、パレスチナの水源をも奪う形で数百キロにも及ぶ長さでパレスチナ自治区内を囲っています。壁の内側にいるパレスチナ人は特別なIDがないとエルサレムに入ることさえできず、仕事を失い家族とも離れ離れになってしまった人たちも少なくありません。そんな壁のすぐ隣で生活している子どもたちにとって、この分離壁をビデオのテーマに選ぶことはごく自然なことでした。
テーマが決まり撮影を進めていくと、生徒たちはこのテーマがいかに難しいかということに直面していくのです。分離壁にはパレスチナ解放へのメッセージから、アート絵画、いたずら描きまでさまざまな絵が描かれており、とてもインパクトがあります。しかし、壁だけを撮影しても作品としては面白くありません。そこで町の人にインタビューをすることにしました。
そこには分離壁によって苦しめられている人々の声がありました。
それでも壁とインタビュー集だけでは作品として何かが足りないのです。壁チームは撮影を進めれば進めるほど、作品として表現することの難しさを実感していきます。
インタビューを終えたあと、「皆さんの話を聞いてどう感じたの?」と聞いてみました。すると「よく現状がわかりました」と誰かが言いました。「それじゃ、今のままでいいの?このままだと何も変わらないよ」と言うと、通訳の人が「そんなこと言ったら政治的な批判を言うことになるわ」と目くじらを立てながら言いましたが、13歳のアラーさんが「私は教育こそが武器だと思うの」と答えてくれました。
彼女のこの一言が、今回のテーマにヒントを与えてくれたのです。
この後どんな展開になっていくのでしょうか。次回に続く…