中東地域で語り継がれている「千夜一夜物語」を知っていますか?
別名アラビアン・ナイトという、中世から伝わる物語です。語り続けることで自らの命を永らえ、他の人々の命も救ってきた主人公になぞらえて、難民となったイラクの青少年も、胸の内を語り合うことで明日へと向かっていく力を養おうというのがこのプロジェクト、「KnKの千夜一夜物語」の目的です。
2008年にヨルダンで行われたビデオワークショップは、イラク難民とヨルダン人それぞれの青少年が心の中にしまってきた思いを共有し、真の相互理解の第一歩を踏み出す大きなきっかけとなりました。
参加者の中に、イラクの首都バグダッドでの恐ろしい体験を初めて他人に語ることができたという少年がいました。
ある日、学校から帰る途中に、隣を歩いていた親友が銃に撃たれてなくなったという出来事を、彼は長い間言葉にすることすらできずにいました。しかし、このビデオワークショップの場で他の人の体験談を聞き、自分も話すという行為によってそのショックから立ち直ることができたのです。
同じような問題を抱える人同士が話し合い、互いに耳を傾け、経験や思いを共有することの大切さが改めて浮き彫りとなりました。
これを受け、KnKは「イラクの千夜一夜物語」というプロジェクトを計画し、2009年はヨルダンの活動地マルカでビデオワークショップが実施されました。
内容は実体験だけでなく自分で考えた物語、昔から伝わる伝説、哲学的な考え、あるいはおとぎ話のようなものなど、一人一人が伝えたいと思う喜びや悲しみ、驚き、意見、夢などを自由に選び、自由な表現方法で互いに共有できるようにしました。
今後も、中東にかぎらずKnKが活動している国の子どもたちに、このプロジェクトに参加してもらいたいと考えています。
ここにいるのは、これまでに自分の物語をビデオで語ってくれたヨルダンとイラクの子どもたちです。
それぞれ画像クリックすると、映像が見られますのでぜひご覧ください。