2013/07/04
2013年3月に、カンボジアで2回目の指導をしてくださった造形作家、中川るなさんの現地レポートを2回に分けてご紹介します。
期間:2013年3月22日~27日
講師:中川るな(造形作家)
*カンボジアにおけるIGAの活動、ならびに今回の専門家派遣は、公益財団法人日本国際協力財団のご支援により実施しています。
3 月、乾期のカンボジアは気温が40℃近くにもなる暑い暑い季節。
それでも結婚式の季節です。
道路にイスを並べて三日三晩も行われるカンボジアの結婚式は雨が降ってはだいなしです。
「June ブライド」ならぬ「Dry(乾期、歓喜!!) ブライド」??そんな、一年で一番暑い季節にバッタンバンにあるKnKの「若者の家」を訪問しました。 2012年12月に続いて二度目の訪問です。
今回のトレーニングの目的
・Natural Dye(地元の天然染料による糸染め)
・Indigo(藍の試し染め)
・絵の具の使用によるデザイン
・前回の講習後の問題点の改善他
Natural Dye(天然染料による糸染め)
(1)今回のトレーニングの第一の目的はカンボジアの地元の天然素材を使った染め(ナチュラルダイ)。現在若者の家では桑を育て、蚕を育て、糸をひくことが始まり自家製の糸がとれるようになりつつあります。糸が自家製であればそれを染める色も自家製で、最終的には原料となるモノもそれに手を加えるヒトもカンボジアmade で、という理想への一歩です。
また、色の組み合わせは感覚の違いもあり日本人向けにといってもすぐには難しい事ですが、天然染料どうしの場合けんかをせず組み合わせをしやすいという事があります。まずはここから落ち着いた色の組み合わせのものを目にしていって欲しいということです。
Natural Dye(天然染料)染色の手順:絹糸
(1) 材料の調達(採取したり市場で購入)=今回はプロフット(樹の皮、黄色系)、カレー粉、お茶(茶系)、ラック(虫の巣、赤系)、黒豆(赤系)を使用
(2) 材料を煮出して色を抽出する。
(3) 糸(絹糸)を浸して煮染め、その後一晩放冷。
(4) 媒染をする
敷地内にあるマンゴーの樹、ノニ(ヤエヤマアオキ)の樹、市場で買って食べたマンゴスチンの殻、鉄液(釘をさびさせて作る)なども今回使いました。染めの手際はよく、普段食べたり見慣れている身近なものというまだまだ試した事のない“色の素”は身の回りの樹や葉っぱや市場に沢山隠れていて、それは日本から来た私にはわからない、そこで暮らす人にしかわからないもの、その中から沢山の色の素をみつけ、カンボジアならではの色が広がっていったなら!!

黄色を染める樹の皮「プロフット」

市場で購入のカレー粉はこんな色に

虫の巣「ラック」

カーキ色っぽいのが鉄媒染

4色×4媒染の色見本が完成

一緒にmy ストールも染め満足!
Natural Dye( 天然染料による糸染め)
木綿糸の染色
さてさて、ここで絹糸の染めがキレイにあがりましたが、カンボジア伝統の手拭いであるクロマーには木綿糸が欠かせません。ところが、天然染料というのはタンパク質によく染着するので絹や羊毛といった動物繊維はよく染まるのですが、木綿や麻のような植物繊維は色が薄くしか染まりません。そのため木綿にタンパク質をくっつけてあげることをします。ここで一番手近に手に入るタンパク質、、、大豆(豆乳)です。最初市販の豆乳で試しましたが、甘みがついているのと割高な為、大豆を一晩水に浸し後はジューサーでひたすら豆乳作り、、、。糸を浸しておけば、後は絹と同じ手順で染められます。
My エコバック制作
今回、染めは天然染料の穏やかな色がメインであったので、各自の手元に残るモノの制作として無地のエコバックを「自分の好きな色に染めていいよ!」(ただし条件は後でスタンプを押して柄をつけるので、その為の白場を残しておく事)ということで化学染料の自由な染めをしました。と、出てきた色は「赤」「オレンジ」「鮮やか紫」!青、緑系も淡い色もだれもおらず、しかも「もっと濃く、濃く」と。「好きに!」というとパワー爆発の感じ!
何のかんの言っても自分の好きな色と商品として作るものの色は違うのね、、、を実感した染め色でした。

木綿糸を豆乳に浸す

黒豆の色

余った豆乳には葉っぱの絞り汁と 砂糖を入れて・・・

いつの間にかおいしい豆乳飲料に! みんなペットボトルにつめてお持ち帰り

“すごく” きれいな紫。。。

これまた“すごく” きれいな赤。。。

通訳のダイさんも我を忘れて? マイバッグ作り!?