2013/07/05
報告:現地代表 佐藤 健太郎
国境なき子どもたちは、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の支援を受け、2011年より、パレスチナで子どもや青少年を対象とした教育支援事業を行っております。特に子ども向けの活動では、5歳から16歳までの幅広い年齢層の子どもたちを対象に非公式教育を提供しています。
パレスチナの学校に通う子どもたちには6月から約3ヵ月の長い夏休みがあります。しかし、教育熱心な家庭の多いパレスチナの子どもたちのほとんどはサマースクールという制度で夏休み中も勉強を続けます。サマースクールとは多くの若者向けNGOが開催する夏休み中だけの学校で、日本の塾のように勉強だけをするのではなく、各団体の特色を活かし、通常の学校生活では体験できないようなことを学べます。もちろん、私たちが現地NGOであるVACAと共同で運営している「希望の家」でもサマースクールを実施しています。
このサマースクールでは5歳から16歳までの子どもたちが学んでいます。主な学習内容は「希望の家」でいつも行われている、音楽、絵画、工作、演劇、伝統ダンス、英語、アラビア語ですが、サマースクール向けの特別講座も設けられています。
スピーチプログラム
子どもたちに自信をつけてもらうため、人前で話す訓練を行っています。ビデオなどを利用して自分が話している姿を見ることなどを通じて、よりよいスピーチを行うために学んでいます。
卓球
パレスチナの日差しは強く、夏の間は屋外での活動がしづらい状況にあります。そのため、室内でもできる卓球を導入しました。ほとんどの子どもたちにとって初めての経験であり、みんな楽しんで取り組んでいます。運動場などの設備がほとんどなく、スポーツをする機会が非常に少ないパレスチナの子どもたちにとって、身体を動かし、ストレスを発散する機会は非常に重要だと私たちは考えています。
グラフィックデザイン
15、16歳の子どもたちには将来の就業に向けたスキルアップの機会として、グラフィックデザインの基礎を教えています。まだ、入門といったところですが、子どもたちからの反応は「学校で学べない内容なので楽しい」といった好意的です。
ラップ
「希望の家」では伝統的な音楽を中心に教えていますが、サマースクール向けにラップの授業も行っています。子どもたちにとってもラップは人気であるため、ボランティア講師の説明に熱心に聞き入っている姿がとても印象的です。
事業2年目もほぼ半ばとなり、徐々にセンターの活動も地域に根ざしたものとなってきました。今後も子どもたちを初めとして地域に希望を与える存在となれるよう、活動内容の充実を目指し、支援を続けてまいります。