2013/04/09
カンボジアでの取材を終えた友情のレポーターから現地報告が届きました。
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2013年春休み友情のレポーターの水谷涼香です。
4月2日(火)
今日の午前はパラの家庭訪問をしました。パラの実家は車で1時間くらいのところにあり、そこではパラの叔父、叔母、いとこが生活していました。絶対に行くことのできない距離ではないが、勉強などが忙しく年に1,2回しか帰ることはできないそうです。パラの家は段ボールの壁だったりして、雨などが降れば生活が大変そうだと思いました。以前はパラもそこで生活をしていたが、生活が辛くなり勉強をするためにホームランドという施設に行き、その後にKnKに行くことを決めました。今パラは会計士になるために一生懸命勉強をしています。なので家を離れることはさみしかったけど、後悔はしていないと言っていました。
午後はソッチェンの家庭訪問をしました。ソッチェンの家はKnKの「若者の家」からとても近くにあり会いたくなった時には自転車で会いに来るそうです。そこではソッチェンの叔父、叔母、いとこが生活をしています。ソッチェンの両親は病気で亡くなってしまったため叔父、叔母のもとで生活をしていました。けれど叔父の収入で家計を支えるのが難しくなり、学校へ行かせるためにKnKの「若者の家」に行くことになりました。
歳の近い子どもたちが学校へ通うために家族の元を離れる。私にはなかなか想像のつかないことでした。両親がいて、学校へ通うことができる、ということはどれだけ恵まれた環境であるのかとても考えさせられました。そして今自分はそんな恵まれた環境にいてどれだけ本気で勉強をしているのか、今までの自分を振り返るともっとできたのではないかと思うことがたくさんあります。
4月3日(水)
今日は午前中にバッタンバンの刑務所に行きました。KnKは刑務所内でのサポートも行っていて、縫製の訓練と学習(識字、英語、絵画)をしている様子を見せてもらいました。KnKは、貧しさが原因で、万引きなどの罪で刑務所に入った子どもたちが、刑務所を出たあとに自立できることを目指しています。
刑務所ではすべての年代の人々がたくさん生活をしていました。中には受刑者の子どももいました。刑務所という場所は日本でも入ったことがないので少し緊張しました。刑務所というのは罪を犯した人が入る所、私のイメージではすごく暗く、悲しいような雰囲気で笑顔がないところだと思っていました。けれども実際に足を踏み入れてみると、私のイメージとは異なり笑顔もたくさんあり、目が合うと笑ってくれてとても嬉しかったです。暑い日差しの中それぞれ畑仕事や学習、掃除、縫製など一生懸命やっているのがとても印象的でした。
刑務所に行った後はKnKの「若者の家」に行きました。今日で「若者の家」のみんなとはお別れです。ピアップにもう一度インタビューをして話を詳しく聞かせてもらいました。前回のアンコールワットでは自分が聞くのを避けてしまったことがたくさんありました。聞くことでピアップを傷つけてしまうのではないか、怖くなってしまい聞くことから逃げてしまったのです。でも私には「友情のレポーター」として話を聞き伝えていく役割があります。ピアップにはアンコールワットでは聞くことができなかったことをたくさん質問しました。
家庭のこと、母親、父親のこと。ピアップの母は今タイに働きに行っているそうで、家では姉が農業をして家計を支えているようです。ピアップの父親はピアップが小さいころに亡くなってしまいました。父親がいない分ピアップは家計を支えなくてはなりませんでした。けれど勉強がしたかったので、姉妹のいる家を離れて学習のサポートをしてくれるホームランドやKnKに来たと言っていました。たくさん大変なつらい過去について話してくれました。
私はピアップに「話を聞かせてくれてありがとう。ピアップはとても大きな壁を乗り越えてきてとても強いと思う。たくさんの経験があるからこそ、そんなにも人にやさしくできるんだね。」と伝えました。
ピアップは泣いていました。きっとその理由は1つだけではないはずです。ピアップは初めて会った時からいつも笑顔でした。でもその笑顔の裏につらい過去やさみしさを抱えながら生活をしていたのです。そんなピアップの姿を見て私も泣いてしまいました。
「泣かないで」とピアップが私の涙を拭いてくれました。
最後のお別れ、とても悲しくてもっと長く一緒にいたいと思いました。KnKの「若者の家」のみんなが私たちに手紙を書いてくれました。そしてたくさんの女の子が私に髪飾りやストール、指輪、キーホルダーをプレゼントしてくれました。買うものよりもずっとずっとずっと心に残る大切なお土産ができました。もの以外にも「若者の家」のみんなには、笑顔の大切さ、優しさ、友情、たくさんのことを教えてもらいました。笑顔でお別れをするつもりだったけれど、泣いてしまいました。するとみんなが私に「スマイル!スマイル!」と声をかけてくれました。
本当にあっという間の4日間でした。
けれど4日間とは思えないほどたくさんのできごとがあり、みんなとも仲良くなりました!
オークン!(ありがとう!)
昨年の友情のレポーターは春休みにフィリピンを取材しました。その際のレポート全文(PDF)はこちらからご覧いただけます。