2012/09/11
今年1月のボランティア専門家派遣に続いて、今回は桑沢デザイン研究所非常勤講師の佐藤裕子さん他2名が、バッタンバンの「若者の家」で働く生産者グループの女性を対象に、縫製指導のワークショップを行ってくれました。
講師アシスタント、守谷麗さんから届いた報告を前後編でお送りいたします。
報告:講師アシスタント 守谷 麗
【ワークショップ参加者】
講師:SEMPRE 専務取締役/桑沢デザイン研究所 非常勤講師 佐藤裕子
通訳兼アシスタント:桑沢デザイン研究所 ファッションデザイン科夜間部2年 守谷麗
撮影:守谷知恵子
受講者:「若者の家」生産者グループの女性(12名)
<ブログラム前半(1-4日目)小物を作る>
・縫製
最初に彼女たちがミシンで縫い始めた時に驚いたのは、縫い代を目分量で計って縫っていることでした。5mmまではミシンの押さえ部分を目印に縫えるのですが、それ以上はいくら慣れていたとしても縫っている内にずれてしまいます。サイズが違う商品が出てくる要因を一つ見つけました。
今のミシンは縫いガイド線がすでに付いているものがほとんどですが、彼女たちが使っているミシンは昔の足踏み式で付いていませんでした。そのため、厚紙で両面接着テープを貼り付けたスケールを作り、ミシンの押さえの脇にミシン針から正確に縫い代巾を決めて貼り付けました。こうして布端を沿わせて縫っていくと、一定の縫い代巾をキープして縫えます。
これは日本の縫製工場がやっているやり方で、今後何を縫う場合にも役立つ知恵です。生地の厚さによる縫い代巾の変更についても教えました。
・アイロンがけ
アイロンがけもいろいろなポイントを教えました。
1. 生地は裁断前にアイロンがけをし、しわを伸ばして地の目を整えること
2. 接着芯をつける際は上から押さえるようにアイロンがけをすること
3. 中表に縫ったものは縫い代をアイロンで折り上げてからひっくり返すときれいに仕上がること
4. カーブ部分や、バイアス部分はアイロンがけで生地を平らにすること
5. 仕上がった商品は最後にアイロンがけをすることでよりきれいな仕上がりになること、など。正確な商品作りのために、縫う合間にも細やかなアイロンがけを心掛けるように指導しました。
<プログラム後半(5-7日目)ファッションショーの開催>
今回のワークショップでは、彼女たちがワンピースを作る機会を設けました。
自分のサイズに合った一着を作るために一人一人採寸し、サイズをS・M・Lに分けました。
最終日にファッションショーを開催すると事前に発表し、各自が自分のための一着、スタイリングをするよう伝えました。
彼女たちは今まで販売向けの製品作りしかしたことがありません。自分のために、自分を魅せる一着を作り、このワンピースにはどんなバッグが似合う?と人前に出る姿を想像し心躍らせることで、自然とスタイリングも考えるようになります。デザインはそういう胸弾む気持ちから生まれるのだと知ってほしかったのです。
ファッションショーでは皆、満面の笑みで大変感動的でした。このようなイベントは彼女たちのやる気を上げるだけでなく、心をも豊かにするのではないかと思います。
<最後に>
今回は7日間のワークショップでしたが、彼女たちにとってとても有意義なものになったと思います。
それぞれの作業ポイントをしっかり押さえれば、すでに縫製レベルは高いため、より確実で正確で丁寧な商品作りにつながることと思います。
物作りの楽しさを胸に、これからも楽しく縫製を続けていってほしいと心から願っております。
彼女たちの純粋な心と笑顔に触れ、物作りを通して言葉を超えたコミュニケーションができました。
ありがとうございました。
*カンボジアにおけるIGAの活動、ならびに今回の専門家派遣は、公益財団法人日本国際協力財団のご支援により実施しています。