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楽しく丁寧な物作り (前編)

2012/09/04

今年1月のボランティア専門家派遣に続いて、今回は桑沢デザイン研究所非常勤講師の佐藤裕子さん他2名が、バッタンバンの「若者の家」で働く生産者グループの女性を対象に、縫製指導のワークショップを行ってくれました。
講師アシスタント、守谷麗さんから届いた報告を前後編でお送りいたします。

報告:講師アシスタント 守谷 麗

【ワークショップ参加者】
講師:SEMPRE 専務取締役/桑沢デザイン研究所 非常勤講師 佐藤裕子
通訳兼アシスタント:桑沢デザイン研究所 ファッションデザイン科夜間部2年 守谷麗
撮影:守谷知恵子
受講者:「若者の家」生産者グループの女性(12名)

<はじめに>

私たちは、2012年8月15から23日(計7日間)にKnKカンボジアの生産者グループに縫製指導のワークショップを実施しました。
事前に現時点での縫製レベルを知るために、日本でのミーティングの際、商品の状態を見せていただきました。その結果、縫製自体のレベルはむしろ高いのではないかと判断しました。しかし、同じデザインの商品内で、サイズがそれぞれ著しく違っていたり、ポーチなどの角が丸くなっていたり、ミシン糸がきれいに切られていないなど、縫製以外の面で欠陥が目立っていました。
縫製というのはミシンと糸だけで成り立っているように見えますが、実はさまざまな道具を用います。例えば、中表に縫った後、角をきれいにひっくり返すには、目打ちやヘラなどの道具が欠かせません。布を正確に裁断するには、方眼定規やよく切れる布ばさみが必要です。細かい糸を切るには小ばさみを使います。
もしかしたら、そもそも裁縫道具が十分に揃っていないのでは?と思い、裁縫に必要な最低限の道具を日本で購入して持参しました。

<ブログラム前半(1-4日目)小物を作る>

・縫製(洋裁)道具
初日はまず縫製(洋裁)道具とその使い方を説明しました。
グループのメンバーが使っている道具をチェックしてみると、やはりちゃんとした道具がほとんど揃っていませんでした。
そのため、私たちが持参した道具は、彼女が初めて見るものばかりでした。すでにあるものにしても、彼女たちが使用していた布ばさみは刃の間に隙間があったり、定規も曲がっていたり、役割を成していないものばかりだったので、全部入れ替えました。道具はしっかりした商品を作る基盤となるものです。

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・パターン
道具が揃った上で、実際に自分たちでパターンを引き、型紙を作ることから始めました。
パターンを引くには、方眼定規、1mmの誤差も出ないように先が尖った鉛筆、紙がずれないような重りを用意します。まず方眼定規の使い方を教え、縫い代の付け方、地の目の方向、ファスナーの付け位置などの印の付け方を実際に書きながら説明します。
この後、バッグや巾着を含め計3種類のパターンを全員に引いてもらいましたが、最後には方眼定規も使いこなせるほどになっていました。
彼女たちにとってパターンを自分で引くという経験は初めてのようで、講師のかたわらで同じように線を引き始め、熱心にメモを取っていました。
自分でパターンを引くことを体感することで、デザインや縫製についての仕組み、知識もより備わったと思います。また、パターンはデザインと裁断の間に来るものなので、“自発的に行う”という感覚が彼女たちのやる気をさらに盛り上げたようです。

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・裁断
正確なパターンができて、正しく裁断すれば、でき上がりサイズが狂うことはありません。少し雑だったため、日本向けの製品を生産するのであれば、どんな作業においても正確さと丁寧さは絶対欠かせないことだと強く訴えました。裁断もアバウトにやるのではなく、丁寧にゆっくり行うこと、そして何より地の目の方向を誤らないようにすることを伝えました。
特に服のパーツを裁断する際、地の目方向を誤ると大変なことになります。生地の上に型紙を乗せ、重りを置き、方眼定規を使ってチャコペンで印を付けてからハサミを入れるという講師の丁寧な手つきを彼女たちは身を乗り出すようにして見ていました。正確であり、少しでもずれたら修正するという丁寧な作業姿勢を間近に見た事は彼女たちにとって一番の勉強になったのではないかと思います。

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楽しく丁寧な物作り・後編へ続く

*カンボジアにおけるIGAの活動、ならびに今回の専門家派遣は、公益財団法人日本国際協力財団のご支援により実施しています。

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