活動ニュース

【ヨルダン新規事業】子どもたちの「安心して学べる教室」をつくる取り組みを開始

報告:ヨルダン事業担当 佐々木恵子

2026年3月より、国境なき子どもたち(KnK)は、ヨルダンにて新たな教育支援事業を開始しました。本事業では、学校での日常的な学級活動を通じて、子どもたちの心の成長と安心できる学びの環境づくりに取り組みます。

なぜ今、この取り組みが必要なのか

ヨルダンでは、シリア難民の流入が長期化し、多くの公立学校では、教室の過密化や教員不足、学習機会の格差や学力低下、子どもたちの不安や孤立感の増加といった課題が続いています。実際に、2022年に実施されたPISA(生徒の学習到達度調査)では約11%の子どもが「教室で安全を感じない」と回答しています[1]。つまり、「勉強できるかどうか」以前に、安心して学校にいられるかどうか が大きな課題になっています。

私たちKnKのアプローチ「学級活動」

この事業では、日本の学校で行われている特別活動(学級活動)の考え方を応用します。

例えば;

学級会(みんなで話し合う時間)、日直・係活動(役割を持つ経験)、クラスでのルールづくり

こうした日常の活動を通じて、子どもたちは、自分の意見を伝え、仲間と協力する経験を積み重ね、「自分は大切にされている」という感覚を少しずつ育んでいきます。

学級会の様子

学級会の様子

どんな地域で実施するのか

本事業は、アンマン(都市部)、カラク(地方)、ザアタリ難民キャンプといったヨルダン国内の異なる環境を横断して実施し、 約3,400人の子どもたちや教員、行政関係者を対象に活動します。

本事業の柱

本事業は大きく3つの柱で進めます。

① 教員向け研修

教員、校長、教育行政職員を対象に、学級活動の実践方法を学ぶ研修を実施します。特に日本からの特別活動の専門家を派遣し、日本の教育における特別活動の理論と実践に関する専門的知見を現地教育関係者に伝えていきます。

② 学校現場での実践

小学1〜3年生を中心に、日常的な学級活動を継続的に実施します。ヨルダンにおいて担任制を採用している小学1〜3年生までの低学年という学校生活への適応段階にある子どもたちを対象とすることで、学級活動を通じた「学校生活の土台づくり」を勧めます。

③ 成果の共有と普及

本事業では、成果の共有と普及を重視しています。学級活動の実践や子どもたちの変化を事例として整理し、他校でも再現可能な形で蓄積します。教育省や教育局と連携した研修や共有の場を通じて、他地域への展開と制度的な普及を目指します。

教員研修の様子

教員研修の様子

目指すのは「安心して学べる教室」

この取り組みで私たちが目指しているのは、単なる学力向上ではありません。子どもが「ここにいていい」と思える教室、互いを尊重し合える関係、安心して挑戦できる環境、そうした土台があってこそ、学びは深まります。

未来につなげるために

本事業の先行事業として2018年から2025年まで実施してきたJICA草の根技術協力事業での取り組みをもとに、教育省、教育局とのさらなる連携、教員や校長が担い手となる仕組みづくり、他地域への展開モデルの構築を強化し、ヨルダン全体へ広がる仕組みづくりを目指しています。

教室の中の小さな変化が、子どもたちの将来を大きく変えていきます。国境なき子どもたちはこれからも、子ども一人ひとりが安心して学び、成長できる環境づくりに取り組んでいきます。

学校の環境美化活動に取り組む生徒

学校の環境美化活動に取り組む生徒

※ヨルダンにおける本事業は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用、ならびに日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

[1] https://www.oecd.org/en/publications/pisa-2022-results-volume-i-and-ii-country-notes_ed6fbcc5-en/jordan_d1c865b3-en.html

 

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