報告:ヨルダン プロジェクト・コーディネーター 磯部香里

女子クラス長と校長先生(後列中央)との集合写真
KnKが活動をしているザアタリ難民キャンプの学校では、昨年度から「クラス長制度」を導入しています。クラス長とは、日本の学級委員長のような役割で、クラスの意見をまとめたり、クラスメイトをリードしたりする存在です。男女ともに7年生から10年生の学年で取り入れられ、各クラス1名、男子10名と女子12名の生徒が参画しています。KnKスタッフは、生徒たちが「学校や同級生のために何ができるか」を話し合い、形にしていくプロセスをサポートしています。
男子クラス長:学校環境を良くする取り組み
今学期、男子シフトのクラス長たちが掲げた目標のひとつは、校内を清掃してくれる清掃員の方々を手伝うことでした。しかし、休み時間がないため物理的に手伝うことが難しいこと、また清掃は職務として決まっているため、生徒が直接たずさわることができないことがわかりました。そこで、クラス長たちは「学校をきれいに保つための意識を高めるポスター」を作成することにしました。

クラス長たちが用意したポスター

KnKスタッフの職員室へ見せに来てくれました


ポスターには、「清潔にしておくことは、感染症などの広がりを防ぐうえでとても大切」「ご飯を食べる前には手を洗うことが大事」「衛生的に過ごすことは、健康と安心の土台になる」「清潔にすることは、信仰の一部である」といった内容が書かれています。完成したポスターは、クラス全員に内容を説明したうえで教室に掲示。自分たちで考え、形にし、クラスメイトに発信する姿はとても誇らしげで頼もしく感じられました。クラスメイトもポスターを掲示する際に積極的に手伝ってくれました。
女子クラス長:休み時間を求めて校長先生と交渉
一方、女子シフトのクラス長たちは、「休み時間を設けてほしい」と校長先生に相談する活動を行いました。キャンプの学校は1限目から7限目まで授業が続き、午前が女子、午後が男子と同じ施設を使用するため、授業の間に休み時間がありません。
クラス長たちは、生徒が学校にいる間に軽食を食べる時間を十分に取れないこと、授業中の飲食が許可されていないことから、休み時間が必要だと主張。クラス全員の名前とサインを集めた請願書を作り、校長先生に直接説明しました。

請願書の内容を校長先生(手前)に説明

校長先生とのディスカッションの様子
校長先生は生徒たちの訴えを理解しつつも、授業時間はヨルダン教育省の規定で変更できないと説明。そのうえで、生徒たちの希望を受け、支援団体から毎日配布される軽食(パンなど)を食べるための10分間を配布時に設けることが決まりました。授業を一時中断するため先生方にとっては負担もありますが、生徒たちは以前より落ち着いて軽食をとれ、空腹を抱えずに勉強に集中できるようになりました。あるクラス長はこの経験を振り返り、「KnKの活動が私の考え方を変えてくれた」と話してくれました。

他にも、朝礼でポジティブに生きることをテーマに発表

ガーデニングも行っています
先の見えない環境で、子どもたちに「役割」を
シリア前政権の崩壊からまもなく一年。冬を目前に、ザアタリ難民キャンプからシリアへの帰還の動きはゆるやかになり、多くの人々が「もう少しシリアの様子をみてから帰還を決めたい」と考えていると聞きます。先行きが不透明ななか、不安を抱える子どもたちも少なくありません。
そのような環境だからこそ、クラス長制度を通じて子どもたちが役割を担うことが、学校を少しでも楽しい場所にし、日々の励みにつながるのではと考えています。クラス長だけでなく、周囲の生徒も「次は自分も挑戦したい」と思えるような良い循環が生まれると良いなと思っています。
クラス長たちの取り組みは、自分たちで考え、決め、行動するプロセスの連続です。そこで得られるリーダーシップや主体性は、授業だけでは身につけにくい学びです。私たちKnKは、これからも生徒たちが安心して挑戦できる環境づくりを続けていきます。
子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています
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