報告:シリア難民支援 現地事業総括 松永 晴子
コロナの蔓延に伴い、子どもたちとのやりとりがオンラインのみとなったことで、メッセージに加えてたくさんの写真やビデオが送られてくるようになりました。
特にコロナ禍の子どもたちにとって、誰かに何かを伝えたり、説明したり、表現したりするのには、写真が一番身近な方法になっていることが分かってきました。
活動先の学校側や子どもたちのニーズに合わせ、特にコロナ禍では勉強や心理ケアに焦点を当てたアクティビティを続けてきましたが、元々は音楽や演劇など、何かを表現するためのツールとなる教科を実施してきました。
写真が今の子どもたちにとって身近なツールなのであれば、そのツールをもっと自由に、もしくは楽しく使えるようになったらいいのではないか、という思いで始めたプログラムです。
また、キャンプでの活動報告では、しばしばスタッフや教員が写真を撮ります。ただ、ヨルダン人も日本人も、難民ではなく、キャンプに住んでいるわけでもありません。個人的には、カメラを構えるたびにどことなく後ろめたさを感じることも多いですし、撮った写真をどこでどのように使うのか判断に困ったりする場面がしばしばありました。もし、子どもたちのことを伝えるのであれば、子どもたちが自分で写真を撮ることで、彼らの写真や言葉をそのまま、誤差なく、伝えられるのではないか、と思ったというのも理由の一つです。
当初は、インスタグラムなどのSNSで写真を公開していく予定でしたが、子どもたち、またキャンプ事業に関わる先生やスタッフとの話し合いの末、団体ページでの掲載にとどめることにしました。理由としては、知らない人々と繋がることに対して警戒心が強い人たちが多く、特に女性に関しては、生徒本人もさることながら、保護者の方々から懸念の声が上がることが予想されました。また、Facebookがヨルダンやシリアでは一番一般的なSNSですが、Facebookもまた、コメントやリアクションに悪意のあるものが出てくる可能性が少なからずあり、特にアラブ圏では匿名のアカウントも多いことから、子どもたちを守れない可能性が拭いきれなかったことがあげられます。もし、写真に対してご感想やご質問がありましたら、お問合せからお寄せいただけますと幸いです。可能な範囲で答えて参ります。子どもたちのために良識のあるコメント、ご質問をいただけますようお願いいたします。
名前についても、本名を使っている子どもと、そうではない子どもがいます。
プログラムを通して同じ名前を使うことのみ、決めていますが、個人の希望で本名を使わない子どもたちはニックネームでの投稿となります。
写真プログラム ―食事の写真を撮ってみようー
今回はトライアルとして、撮りやすいテーマを設定してみました。
今まで、オンラインで送られてきた写真を参考に、必要と考えられるとても基本的なルール;携帯電話の影が入らないように撮る、何を撮りたいのか決めてから撮る、フラッシュはたかないでブレないように撮る、などのみを設定し、撮ってもらいました。
シンプルなルールのはずでしたが、当初ルールから外れる写真も多くて、何度かやりとりをしつつ、最終的に先生たちが選んだものが、今回の写真です。
写真のコメントに、栄養素などの話が多いのは、アクティビティ内でのメッセージでしばしば、食事のバランスの良いとり方について、説明していたからのようです。また、写真の募集期間には3月21日の母の日がありました。そのため、母の日の写真を撮って送ってくれた子どもたちもいます。
1:サラーム
2:シドラ
3:ユスラ
4: アンファル
5:ブシュラ
6:月の涙(ニックネーム)
7:ルシュディ・アル・アブダッラ
8:ムハンマド・スウェイダーン
9:アハマド・スウェイダーン
10:アブダルラハマーン・ハリーリー
11:アブダルジャッバール・シャディディー
12: アッマール・カーシム
13:ムハンマド ・アリ・ジュンディ
(ヨルダンは2月からの2学期も、オンライン教育が継続されることになりました。3月上旬には全学年が対面教育を再開する、という教育省からの通達を受けて、3月上旬までプログラム開始を遅らせましたが、残念ながら2月末から一気にコロナの感染者が増えたことを受けて学校が開かないことが最終的に決定されました。そのため、やむをえず対面でのプログラム説明を待たずに3月上旬からプログラムの募集を始めています。現在のところ、オンライン上での団体のアクティビティグループからの呼びかけに応じ、プログラムの趣旨をよく理解した子どもたちのみがトライアルに参加しています)
他にも素敵な写真はたくさんありました。少しだけですが紹介します。
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