報告:KnKスタッフ 清水 匡
東日本大震災の発生から9年が経ち、震災の年に生まれた子どもたちの多くは小学2年生になりました。高学年児童の中にも当時の記憶がはっきりしないという子どもも少なくありません。しかし、仮設住宅での生活や地域の復興と共に成長している世代でもあります。
スポーツ少年団への支援
岩手県沿岸部では、震災の影響や過疎化により少子化が深刻な問題になっています。釜石市のスポーツ少年団では、少子化以外の理由でも各チームの統合が進んでいます。昨年1月、全日本軟式野球連盟は、小学生投手の投球数を一日70球までと制限を設けました。このルールの影響により1試合に3人の投手が必要となりました。さらに高学年が投手になる場合が多く、チーム単体で投手3人を確保することが難しくなり、チームの統合が一段と進みました。そのため練習場所が毎回変わり、保護者の送迎に負担がかかるようになりました。
一方でメリットもあります。6年生の福士來南(ふくしらない)君は、3年生でスポーツ少年団に入りました。当初は、両親に送迎の負担をかけるので迷っていたそうですが、相談して入団を決めたそうです。「前よりもチームの人数が増えて楽しくなりました。中学校に行っても野球をやりたいです」と、色々な地域の子どもたちと触れ合う良い機会にもなっているようです。
厳しい寒さに負けず、体育館の中は活気にあふれている。
保護者の声
送迎に来ていた3人のお子さんを持つお母さんに話を聞いてみました。
「下の2人は津波の記憶がありませんが、長男は保育士さんに抱っこされて逃げたので、津波の光景を目の当たりにしていて、地震や警報をひどく怖がります。自宅は全壊しましたが今は大きな苦労を感じていません。親同士で津波の話を口にすることはほとんどなくて、ほかの家庭の事情はよく分かりません」と現在の状況を教えてくれました。
KnKは震災以降、さまざまな支援を通じて、子どもたちの居場所作りに力を注いできました。これからも地域の方々とのつながりを大事に、復興を見つめていきます。