活動ニュース

ユースセンターで学んだことを活かして

2009/11/25
報告:プロジェクト・コーディネーター 水谷 陽子

ジャパン・プラットフォーム
助成事業

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1月に開始したユースセンターでの各プログラムも、11月ですべてのカリキュラムが修了します。プログラムに参加することで、観光業に関わる仕事に就きたい、縫製工場に就職したい、自分の店を開きたいなど、若者たちは様々な夢を抱くようになりました。そしてすでに多くの若者が身につけた知識や技術を活かして夢を実現させています。今回はプログラム終了後の進路についていくつか紹介したいと思います。

■教育支援コース
インドネシアでは小学1年生から年度末に進級試験があり、合格点に達しないと留年することになります。また卒業試験の結果によって進学先が決まるため、進級試験や卒業試験の前には塾や家庭教師の需要がぐっと高まります。そのため英語コースの参加者は身につけた英語力を活かして子ども向けの家庭教師を始めました。しかしただ商売として始めたわけではありません。この生徒は「自分の村は貧しく保護者にとって子どもに塾や家庭教師を用意することは難しい。しかし試験の結果が悪いと子どもたちは勉強への興味を失い学校を楽しめなくなってしまう。自分はユースセンターのプログラムによって英語を勉強することができ、語学を勉強する楽しさを知ったから、子どもたちにも勉強することの楽しさ、喜びを伝えたい。」と相場に比べてずっと安い料金で教えています。また今後開催される予定であるユースセンターでの子ども向けの英語教室にも、ボランティアとして参加したい、と話してくれました。

 ユースセンターで楽しみながら勉強する子どもたち

ユースセンターで楽しみながら勉強する子どもたち

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いつも熱心な英語の先生

いつも熱心な英語の先生

英語は様々な利用価値があります

英語は様々な利用価値があります

■職業訓練コース
活動地であるバントゥル県近郊には小規模なものから大規模なものまでたくさんの縫製工場があります。裁縫コースで学んだ生徒のうち5名が、ミシンを使って衣類を作成するスタッフとしてこうした工場で働くことが決まっています。すでに家庭をもち子どものいる生徒の何名かは、工場に通って働くのではなくこうした工場からミシンを借りて自宅で作業を行なう下請けの仕事を始めています。また下請けではなく自分で衣類の修理や製作を請け負う仕事を始めたいと考え準備をしている生徒もいます。生徒の一人は「仕事をしたくても子どもが小さいうちはなかなか外へ働きに行くことができないし、技術がなければできる仕事も限られてしまう。しかし裁縫技術を身につけることで、自宅で下請けの仕事をできるようになった。仕事量も仕事時間も自分で調整できるから、安心して行なうことができる。」と話してくれました。また「裁縫の技術は、縫製工場への就職だけではなく自宅での内職や自分での開業をも可能にしてくれるから、結婚や出産など環境が変わってもそれに合わせて仕事の仕方を変えて、長く続けられるのが嬉しい。」という声も聞かれます。

縫製の技術を身につけ収入を増やしたいと願う女性たち

縫製の技術を身につけ収入を増やしたいと願う女性たち

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この地域では縫製や刺繍の内職で収入を得ている人たちも多い

この地域では縫製や刺繍の内職で収入を得ている人たちも多い

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■スポーツ活動
合気道はスポーツを通して他地区との交流を活性化し、若者たちに安定した精神状態をもたらすことを目的として始められました。コーチの厳しい指導の甲斐あって、参加者には技の上達だけではなく時間を守る、規律を守るといった変化が見られています。参加者の一人はこうした自己管理能力や武術の心得を身につけたことは警察や軍隊への応募の際に有利であるから、今後もトレーニングを続け、学校卒業後にはこれらの採用試験に挑戦したいと考えている、と話してくれました。また精神面での鍛錬は子どもたちにとっても大切なことであるからと、指導を認められる級を取得した後には、子どもたちに合気道を教えたい、と話してくれた生徒もいます。

最初に先生がお手本を見せます

最初に先生がお手本を見せます

力を入れなくてもこの通り、「イテテテ!」

力を入れなくてもこの通り、「イテテテ!」

女の子だって負けていません

女の子だって負けていません

 厳しい練習は日々続くのです

厳しい練習は日々続くのです

このようにすでに多くの生徒たちが、プログラムを通じて得た知識や技術を活かして新しい道を歩き始めています。生徒から笑顔で「○○に就職が決まったよ!」「○○に進学する!」などの報告を受けるたび、スタッフ一同10ヶ月間彼らの活動を支えてきて良かったと喜び合っています。またプログラムで得た成果を自分自身の将来のためだけに活かすのではなく、自分の村のこと、子どもたちのこと、などより大きな視点で将来を考えている生徒がいることがとても嬉しく思えます。

 旅行会社に就職した少女 ユースセンターで学んだ 日本語を活かしています

旅行会社に就職した少女
ユースセンターで学んだ
日本語を活かしています

11月29日には修了証書と記念品を配布する閉講式が予定されています。今回のプログラムはこの閉講式をもって終了となりますが、今後もユースセンターでの活動は継続されます。皆様のこれまでのご支援にお礼を申し上げるとともに、今後ともKnKへの温かいご支援をいただけますようお願いいたします。

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