報告:パレスチナ現地代表 福神 遥
コーディネーター オルファット サワフタ
新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大している中、ここパレスチナでは、3月初旬に初めての感染者が確認され、翌日には都市間の移動や不要不急の外出を控えるよう、緊急事態宣言が発令、現在はさらに14日間の外出禁止令が出ています。緊急事態宣言以降、学校は休校となり、子ども支援センターも休館、私たちの研修や活動はすべてストップしています。
本日は、パレスチナでコロナウイルスの感染が確認される前、2月にマジシャンの福田さんがパレスチナに来てくださったときのことを福神とオルファットがお伝えいたします。
福田さんは今まで様々な国を訪れて現地の子どもたちにボランティアでマジックを披露しており、KnKではヨルダンのザアタリ難民キャンプやパレスチナのアルザリア、そしてジェリコの子ども支援センターでもマジックショーをしてくださったことがあります。
今回は私たちパレスチナ事務所からのお願いで、ヨルダン渓谷の学校と、パートナー団体であるナブルスのAwtar(アウタール)という団体にて、子ども向けのマジックを披露していただきました。
ヨルダン渓谷はジェリコ市の北側に位置し、ヨルダン川に沿って南北に伸びている渓谷です。イスラエル政府が治安管理しているエリアB、行政、治安ともにイスラエルが管理しているエリアCと呼ばれている地区が多い地域(※)で、子ども向けの施設が少なく、公園や広場といった、子どもたちが安全に遊べる場所はほぼありません。また、ユダヤ人入植地が入り組んでおり、ヨルダンとの国境やヨルダン川、幹線道路と山に挟まれている地域のため、地理的にも子どもたちが遊べる場所が少ない地域となっています。
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ヨルダン渓谷
「子どもたちの笑い声が大きく響き、キラキラした目からは喜びや驚きが感じられる」
福田さんのマジックを見て私たちが最初に思ったことです。ヨルダン渓谷ではまず、Marj Al Ghazal(マルジアルガザル)小学校にて、1年生~3年生の30人の子どもたちにマジックを披露していただきました。
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Marj Al Ghazal(マルジアルガザル)小学校にて
その後、KnKの事業の対象校でもあるMarj Na’je(マルジナジェ)校でも2年生50人を対象にショーが行われました。子どもたちは興味津々にショーを見ながら、時に驚き、笑い、福田さんの動きをひとつも逃さないように、真剣にマジックを見守っている姿が見られました。
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Marj Na’je(マルジナジェ)校にて(1)
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Marj Na’je(マルジナジェ)校にて(2)
恐らく、2つの学校の生徒とも、目の前でマジックショーを見るのは初めての子どもたちがほとんどだったと思います。
ショーを見ていて驚いたのは、アラビア語を話さない福田さんと子どもたちが笑顔だけでコミュニケーションを取っていたことです。福田さんは笑顔を絶やさずにマジックを披露してくださったのですが、その笑顔だけで色々なメッセージを子どもたちに伝えているように見え、また子どもたちもそのメッセージを受け取り、笑顔になっていると感じました。
福田さんには、半ば無理にお願いをして、私たちのパートナー団体であるナブルスのAwtarでもマジックショーを披露していただきました。Awtarは、子ども向けの絵画教室や音楽教室を行っている団体で、センターには、放課後毎日子どもたちが遊びにやってきます。事前にマジックショーについてお知らせを流してもらっていたので、この日はたくさんの親子が集まりました。
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ショー開始前に福田さんから輪ゴムを使ったマジックを教えてもらう
元々オリーブオイルの製油工場として使われていた歴史あるセンターが、マジックショーの会場に大変身。子どもたちだけではなく、保護者やAwtarのスタッフたちも身を乗り出し、期待を膨らませて福田さんのマジックを見守ります。
どういう仕掛けなのか知りたいというよりは、次に何が起こるかわからないから一瞬でも目を離したくないという感じです。
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Awtar(アウタール)にて
子どもたちの真剣な表情と笑顔が、順番にどんどん引き出される福田さんのマジックショー。ショーの終わりにみんなで記念撮影をしましたが、なかなか帰らずに福田さんのマジック道具を見てみたり、福田さんにお礼を伝えたり、「あれはどうしてあんな風になったの?」と種明かしを聞いてみたり。子どもたちがこの日を楽しみにしていて、ショーを思う存分楽しんだ様子が伝わってきました。
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みんなで記念撮影
今回、福田さんのマジックを見た子どもたちにとって、このショーが幸せな時間として、いつまでも記憶に残ってほしいなと思います。