スタッフ日記 認定NPO法人国境なき子どもたちブログ

アワビ漁について<後編>

こんにちは。岩手事務所の東です。
前回に引き続き、アワビ漁レポートをお届けします。

ポイントに到着し海中を探していると、ついに待望のアワビを発見です!
ここ釜石市では船上よりアワビを採るために、先がカギ状になった長い竿を使うのですが、
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このアワビを採るチャンスは一瞬です。というのも、アワビは外部からの刺激があると身を守るために、とても強い力で岩に張り付いてしまいます。一度張り付いてしまうと、そう簡単に岩からはがすことはできません。そのため、アワビが油断をしている一瞬の隙を狙って、竿の先についたカギをひっかけて岩からはがし、海上に引き上げます。
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しかし、採れたからといって、それで終わりではありません。貴重な水産資源保護のために採取していい大きさが定められており、9センチ未満のアワビは海に戻さなければいけません。漁師の方たちはいちいち定規で測るのも時間の無駄なので、規定の大きさを超えているかどうか一目でわかるように、専用の測りを携帯しており、アワビを採ってはその大きさを確認しています。

アワビの大きさが一目でわかる、漁師さん手作り定規!

アワビの大きさが一目でわかる、漁師さん手作り定規!

せっかく採ったものを海に戻さなければいけないのは残念ですが、これも乱獲を防ぎ守るべき自分たちの大切な資源として、継続的に漁を行っていくことができるように定めたものだと聞いています。しかし、採れたアワビの大きさを測って基準をクリアしたとしても、さらに今度は港で漁協の検査が入ります。ここで、アワビが痩せていないかどうか、傷がついていないか等、出荷に適しているかどうかのチェックが入ります。それをクリアしてはじめて出荷することができます。

今回乗船させていただいた漁師の方によると、残念ながら、その日はあまり採れなかったそうですが、アワビ漁は漁師の間では「冬のボーナス」と呼ばれるくらい、漁師の方たちの冬の間の大切な収入源になっているそうです。それを反映してか、アワビ漁が近くなると漁師の間では色々なうわさが流れます。たとえば「今年はタコが多い・少ない」という話が聞かれるのですが、これらも実はアワビ漁に関係しているそうです。というのも、タコはアワビも食べるため、タコがたくさん採れる→タコのエサが沢山あり、タコが増えた→エサとなるアワビが多い→豊漁が期待できる、という話が昔から伝わっているそうです。毎シーズン、漁期の前にこういう話が流れるのは、漁師たちのアワビ漁に対する期待の高さの表れだと考えています。

人間に牙をむくけれど、たくさんの恵みも与えてくれる海。

時に猛威を振るうけれど、たくさんの恵みも与えてくれる海。

震災のダメージは色濃く、アワビの水揚げ量はいまだ震災前の6割程度にとどまっていますが、それでも少しづつ回復の兆しを見せています。もしどこかで海産物のラベルなどに「三陸産」の文字を見かけた際は、ぜひ三陸の漁師の方たちのことを思い出していただければ幸いです。

 

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