2011/04/25
報告:プロジェクト・アドミニストレーター 清水 恭代
年に一度開催される「Special Day Observance」が本日、非公式教育(NFE)を行っている教室で開催されました。これは、“絵画”、“ハンドライティング”、“エッセイ・ライティング”の競技の中からNFEの教師が一つ競技を選択し、それを生徒が競うというイベントで、バングラデシュの独立記念日(3月26日)を祝う目的で開催しています。
今回は、カマルカティ村のハンドライティング競技をリポートします。
お題は、バングラデシュを代表する詩人であり、ノーベル文学賞受賞者でもあるラビンドラナート・タゴール作の、「Amar sonar Bangla (我が黄金のベンガル」です。我々が初めてこのクラスを訪問したとき子どもたちが歌ってくれたのがこの歌であり、村のあちこちで度々耳にする、バングラデシュ人誰もが愛する国歌です。
Amar sonar Bangla |
我が黄金のベンガル 私はあなたを愛しています。 いつも、あなたの空、 あなたの風が私の心に 笛の音を響かせます。 母よ、早春にはあなたのマンゴー畑に、 香りが満ち溢れ私を高揚させます。 |
上記の写真は、教師が書いたお手本です。生徒は、これに基づいて、どれだけ美しくこのベンガル語を書けるかを競い合います。
参加者は、非公式教育に通うグレード3、4の生徒28名です。この28人の中から最も奇麗に書けた上位3名を選びます。
競技はほぼ20分と短時間ではありましたが、いつも大きな笑い声が聞こえる教室は、この間、シーンと静まりかえりました。みんな真剣です!
20分後、ぞくぞくとハンドライティングを完成する子どもたち。みんな満足したライティングができたのか、カメラを向けると満足気な表情を見せてくれました。
緊張のフィールドコーディネーター、フィローズさんによる採点の時間。審査の基準は、1.文字のきれいさ、2. つづりの間違いはないか、 3.ラインが曲がっていないか、 4. 上書きをしていないか、の4点です。
採点後、生徒に結果が戻されました。みんな、自分の点数を隣の子と見比べっこしています。
さぁ誰が一番上手く書けたでしょうか。
いよいよ結果発表の時間です。
堂々1位は真ん中の男の子、8歳のムイン君。10点満点中、文句なしの満点をとりました。2位が右側の女の子、8歳のディアムニちゃん9点。3位が左側の女の子、9歳のシャルミンちゃん8点。
競技中、1位をとったムイン君は、みんながハンドライティングを終えても、なおも真剣に黒板の見本と自分の書いたものを見比べ、丁寧に、何度も確認していました。その姿がなんとも印象的だったため、この結果は我々一同も納得の結果となりました。
日々、親の仕事の手伝いや家事に追われている生徒たちにとって、この日は、自身の能力を開花または発揮できる貴重な時間となりました。
帰り際に自身の作品と共に写真をバチリ。家に帰る彼の姿はとても誇らしげでした。
一般的に、公立学校ではこのような催しものはほとんど行われていないのが現状です。我々が行っているNFEでは、このようなイベントの他に、通常ベンガル語、英語、数学、社会科学、そして歌やダンスのレクリエーションを5つの村、およそ500人の子どもたちに提供していますが、生徒だけでなく、保護者やコミュニティーからは大変好評価を得ています。
地元の人々の支援が必須なNFEの活動では、このような活動がコミュニティーの人々が積極的にNFEに足を運んでもらう一つの動機づけにもなっています。