活動ニュース

新しく生まれ変わるフィリピンの「若者の家」

報告:KnK日本・駐フィリピン代表 中村八千代

■新しくなる若者の家

昨年から、伊藤忠商事株式会社よりご支援をいただき、“若者の家”プロジェクトのための施設用の建物を購入することができました。この場をお借りし、伊藤忠商事株式会社をはじめ、今までこのプロジェクトを支えてくださった支援者の方々に心よりお礼申し上げます。

古い建物のため、修繕工事が必要です

この貧富の格差が顕著なフィリピンで、最も危険にさらされている子どもたち、そして実の親やまたは親戚と暮らすことができない、行き場のない子どもたちを保護しケアしている施設“若者の家”が新しく生まれ変わります!
北部カロオカン市に位置するグアダノービルという場所に閑静な住宅街があります。その中の一角にあるKnKの新しい家の門をくぐると大きな白い建物や木々がきれいに茂っている庭があります。果物もなっている大きな木もいくつかあり、静かに流れる時の中で自然と共に子どもたちはここで安心して暮らせることができるようになります。将来は、庭で野菜なども栽培し、子どもたちの栄養面を配慮した食事の提供ができるように計画しています。
しばらく施設の収容人数に限りがあったため、子どもたちの受け入れを削減せざるを得なかった過去数年間でしたが、これからこの家のプロジェクトを拡大し、さらに多くの子どもたちに生活の場を提供することが可能になります。子どもたちが生活する場はこの建物の2階に位置しています。
そして、1階には青少年を対象に職業訓練を実施するスペースを設けました。現在、行政との話し合いを行いながら、KnK独自のカリキュラムを検討し、コンセプト・ペーパーを作成しています。教育を受けた子どもたちが手に職をつけ、将来、就職または起業できるように導いていくことを目的としています。

新しい環境に慣れさせるために子どもたちを何度かこの施設に連れて行きました。
昨年より準備を行い、様々な手続きを経て、いよいよ4月から修繕工事が始まりました。雨季の6月末までに間に合うように急ピッチで工事が進められます。
今後も進捗状況をお伝えしていきます。

■非公式教育 / ALS (Alternative Learning System)

貧困ゆえ学校を中退する子どもたちが後を絶たないことは以前よりお伝えしていますが、残念ながら未だにこの数は減ることなく、多くの子どもたちが教育を受けることができずに児童労働させられるケースも少なくありません。そこでKnKでは引き続き、教師の資格を持つ専属のスタッフを現地に派遣し、公式学校で教える内容(5科目)をKnKの被益者に無料で教えています。午前の部か午後の部どちらかに所属することになっているので、授業のない時間は家族を支えるためパート的に仕事をしたり、両親のお手伝いをすることも可能になっています。

年少のクラスと

年長のクラス

また、子どもたちや青少年たちの健康診断やカウンセリングも行っており、一人一人のケアを大切に行っています。ソーシャルワーカーと4名の教師たちがプラニングしながら打ち出しているカリキュラムに沿って、10月の試験に臨めるよう準備を進めます(以前、2月に実施されていた大学進学のための進級テストである“A&E Test”は、6月の大学の入学式に間に合うように、2008年より10月実施に変更されました)。
KnKフィリピンのALSに参加している生徒たちは、以前、教育へのアクセスを一度断たれてしまったため、一定のレベルに追いつくのは非常に困難ですが、再び勉強できるようになった機会を活かすため、必死に学んでいます。10月の試験変更に伴い、KnK ALSは8ヵ月コースに調整し、より充実した内容に工夫しました。2008年度の生徒たちは一生懸命学んできた結果、Bagong Silang(バゴンシーラン)では3月7日に約180名が、Payatas(パヤタス)では3月13日に約120名がALSの修了式に出席し、修了証書を授与することができました。一度は学問から離れてしまった子どもたちや青少年たちが、再び勉強し始め、このような晴れ舞台で修了証書を受け取れることは奇跡に近い感動の出来事なのです。

照れながら修了証書を手にするALSの生徒たち

彼らはいつも喜びをダンスで表現します

■ストリートチルドレン

今回、久し振りにBalintawak(バリンタワック)の路上で暮らす子どもたちに会いに行ってきました。少し大人びた子どもたち、10代で妊娠してしまった女の子、新しくこの地に移ってきた子どもたち・・・、本当に様々な背景でここに辿り着き生き延びている彼らです。この苦しい路上生活にも関わらず、久し振りに会った私に笑顔で話しかけてきてくれましたが、しばらくすると空腹を抑えきれずラグビーというシンナーを吸い始め、空腹を少しでも感じさせないようにしている姿に、虚しさを感じました。私たちにできること・・・、彼らの将来を守ってあげられたら・・・と心の中で祈る思いは、以前にも増して強くなりました。将来、彼らを収容できるドロップ・イン・センターの立ち上げが実現できるよう、現地スタッフと引き続き検討しています。

長年の路上生活で足はボロボロ

笑顔で迎えてくれたストリートの子どもたち

■日本からの訪問者

以前より、KnK日本事務局でお手伝いしてくださっていたボランティアの学生さんがフィリピンの子どもたちに会いにきてくれました。被益者の子どもたちと一緒に記念撮影です。遠いところまで、ありがとうございました。 この日は、一番下の子が保育園を卒園したばかりで、みんなでお祝いをしました。6月からはお兄ちゃんたちと一緒に同じ学校に進むことになっています。

■現地スタッフの吉報

長年KnKフィリピンで献身に勤めてくれたソーシャルワーカーのレオニーが結婚し、KnKを退職することになりました。彼女が今までKnKを通して行った仕事は計り知れず、子どもたちや地域住民の方々からとても信頼されていた存在でした。
彼女がいなくなってしまって、皆、寂しい気持ちでいっぱいですが、彼女の幸せを心から祈っています。

お疲れ様でした。そして今までありがとう!

 

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