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急激に経済成長するカンボジアの光と影、KnKの収入創出活動が果たす役割とは

報告:KnKカンボジア派遣員 永井 昌彦

KnKの収入創出活動(IGA)

KnKではストリートチルドレンやトラフィッキング(人身売買)の被害に遭う子ども、極度の貧困状態で暮らす子どもたちの保護に取り組み、就学や職業訓練といった青少年の自立を目的とした支援活動を行っています。カンボジアでも、子どもたちに適切な衣食住と教育、職業訓練の機会を提供し、社会的自立を促すために精神的なケアや就職のフォローアップを行っています。その一環として収入創出活動(IGA)は、職業訓練と伝統産業を結びつけ、製品を販売して青少年の収入向上や独立を支援する目的で2007年 に始まりました。絹などの織物を製作するグループ、服飾やバッグなどの縫製をするグループ、籐を利用した家具などを製作するグループの3つがあり、現在は約30人の青少年が活動しています。

カンボジアのバッタンバンでKnKが活動を始めたのは、今から14年前の2000年でした。当時は内戦後のゲリラ紛争が終わりを迎えて間もなく、国情は不安定でした。旧ポルポト派の兵士が最後まで居残ったのがバッタンバン州を含むタイ国境付近で、今も地雷汚染が最も深刻な地域です。そのような環境下でKnKは、2006年から青少年に対して職業訓練を行ってきましたが、技術を身につけるだけでは実際の仕事に就くことは難しいという現実に直面しました。そのため、製品を販売することで直接的な雇用を生み出し、青少年たちに就業機会を提供して収入を得られるためのメカニズムが必要でした。このような背景から始めたのがIGAです。

織物グループの作業中の様子

縫製グループの作業室内

急激な経済成長とその陰で

近年、カンボジアは急激な経済成長を続けています。2000年前後には一人当たりのGDP(※)は300米ドルに満たなかったものが、2012年には900米ドルを超えました。GDPの年成長率は2004年から4年連続で10%代を記録し、近年も毎年7%を超えています。

KnKカンボジア/一人当たりの名目GDP推移(1997-2014)

(出展元URL:http://goo.gl/6i1jy3)
※GDP(国内総生産)とは、その国で1年間に新しく生み出された生産物やサービスの金額の総計です。2012年の日本の一人当たりのGDPは46,530米ドル(カンボジアの約50倍)です。

日本企業の進出も相次いでいます。今年6月、日本の小売業大手イオンがプノンペンにショッピングモールを出店したことに象徴されるように、日本企業の進出、投資も増加しています。

経済成長を遂げたものの、未だ貧困状況下にあるのがカンボジアの実態です。カンボジアは、現在も後発開発途上国の位置づけであり、所得水準は低くて人的資源も乏しく、経済は脆弱です。国連開発計画(UNDP)によると、最新の調査結果で、貧困に喘ぐ人の数は総人口の45.9%、約670万人に及びます。国内の不平等の格差も拡大しており、一部の権力者や裕福層がより豊かになる一方で貧困層の人の生活は厳しいままです。都市部と地方農村部の経済的な格差も大きくなっており、貧困層の約9割は地方農村部で生活しています。

KnKカンボジア

カンボジアでは、長期にわたる戦乱のため多くの人が命を落とし、社会や経済のインフラに大きなダメージを受けました。国際社会からも孤立し、発展の道が途絶えてしまっていました。内戦の終結から20年以上が経過し、経済が成長を続ける現在も貧困から抜け出せていない状況なのです。

物乞いをするストリートチルドレン

急激な経済成長とその陰で

バッタンバンの青少年の多くは、厳しい状況で暮らしています。過酷な過去を持つ青少年も珍しくありません。彼(女)らは学校にも通えず、農家の仕事やごく単純な仕事を手伝うなどして小額のお金を稼ぎ、家計を助けたりしています。少しでもいい収入を求めてタイなどへ出稼ぎに行く人もいますが、トラブルに巻き込まれるケースが後を絶ちません。 いい仕事に就きたくても、とても難しいのが現状です。バッタンバンでは産業の規模が小さく、そもそも就業機会が少ないのです。とりわけ職業的スキルや知識を十分に持たない若者の就業機会は、かなり限定されてしまいます。

籐を編み家具を製作する

IGAの現状と今後

恵まれない幼少期を過ごした多くの人々には、自立して生活をしていく力がありません。IGAではそのような青少年に対し、シルクなどの織物製作、服飾やバッグなどの縫製、籐家具の製作など職業訓練を通じて知識や技術を学ぶ機会を提供しています。研修の修了時には、自宅などでも仕事ができるよう一時的な支援もしています。希望者は研修期間終了後もKnKで仕事をすることができます(一部)。日本から専門家をお招きして直接指導をしていただくこともあり、スキルアップが図られています。

今年8月に行われたワークショップ

職業的なスキルを磨けば就業できる可能性が広がり、将来は独立して自分の事業を営むこともできます。技術を持っていてもそれを収入に結びつけることは容易ではありませんが、IGAでは販売まで行うことにより事業の一環であることを認識し、プロフェッショナルな知識も得ることができます。2007年からこれまでの約7年間でおよそ、延べ約200人の青少年がIGAの研修を受け、卒業生たちは各地で活躍しています。

織物の指導を受ける様子

時代は変化し、格差社会がじわりじわりと忍び寄る状況の中で、恵まれない青少年をとりまく社会は厳しさを増しています。IGAの活動は未だ道半ばで、今後の取り組みが大切になってきます。 この活動を継続していくためには、どうしても、皆さまからのご支援が必要です。カンボジアの子どもたちのより良い将来のためにも、引き続きのご協力を切にお願いいたします。

カンボジアの収入創出活動は、公益財団法人日本国際協力財団(JICF)の助成と日本の皆さまからのご寄付で実施しています。

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