活動ニュース

心の声を音楽にのせて

2014/1/30
報告:プログラム・オフィサー・アシスタント ダナ・サレー

KnKヨルダンは現在、ヨルダンのマフラック県にある、ザアタリ難民キャンプにて、非常に大切なプロジェクトを実施しています。キャンプ内のある学校で、演劇、音楽、物語の創作クラス等の特別活動を行っているのです。 同時に、小学校および中学校のスポーツや芸術のクラスで使用する、さまざまな用具も提供しています。3つのクラスにはそれぞれ、これらの分野を専門とする、優れた資格を持ったヨルダン人講師が配置されており、各講師にひとりずつシリア人アシスタントがついています。シリア人アシスタントは皆、キャンプ内で生活している難民であり、かつて母国シリアでは、それぞれの分野に関連した仕事をしていた人たちです。彼らは、生徒たちと同じ状況で暮らしているため、誰よりも、生徒たちを理解し、的確に対応することができるのです。 このプロジェクトの最大の目的は、正式な教育カリキュラムの枠外にあるクラスを提供することです。想像を超える苦しみを背負った罪のない子どもたちは、これらのクラスで、お気に入りの活動を通じて自分を表現する機会を与えられます。これらの子どもたちのほとんどは、シリア国内の紛争のさなかで、ヨルダンへの脱出の最中に、または現在のザアタリキャンプでの暮らしの中で、恐ろしい経験をしてきました。彼らの心の傷はまだ癒えておらず、単なる会話の中でその不満や悲しみを押し出すことは、容易なことではありません。彼らはまだ、ほんの子どもなのです。傷ついた心を癒し、すべてを吐き出してしまうには、歌ったり、演技したり、物語を書いたりすることが、最善の代替策なのです。

スポーツのクラスで、サッカーの試合に熱中

スポーツのクラスで、サッカーの試合に熱中

KnKの先生が教室に入ってくるのを見るとき、または、子どもたちに渡すサッカーボールやクラスで使用する画材を探そうとして倉庫に入っていくKnKのスタッフを見つけて、興奮して駆け寄ってくるとき、子どもたちの顔には、かけがえのない、うれしそうな表情が浮かびます。

芸術のクラスでは、フェイスペインティグを

芸術のクラスでは、フェイスペインティグを

子どもたちにとって、これらのクラスは、子どもらしく楽しく過ごせる時間です。過酷な状況に置かれていても、彼らには、他の子どもたちと同等の機会を得る権利があるのです。
これらのクラスではよく、生徒たちが自分の才能をクラスメートに披露することができる、「オープンフロア」と呼ばれる機会が与えられます。

演劇のクラスで、「オープンフロア」の時間に、ブレイクダンスをする生徒

演劇のクラスで、「オープンフロア」の時間に、ブレイクダンスをする生徒

音楽のクラスにてギターを演奏

音楽のクラスにてギターを演奏

 

生徒たちの多くは、歌ったり詩を朗読したりしますが、それはたいてい、彼らの母国であるシリアに関するものです。演劇のクラスで、すばらしい美声の持ち主である、ある5年生の生徒が、故郷に焦がれて傷ついているシリアの人々の歌を歌ってくれました。その歌の中の、

「敵が、私たちの家を、モスクを破壊してしまった今、イスラムの仲間たちはどこにいってしまったのだろう。」

というフレーズにさしかかると、彼女の声は震え始め、ついにその顔に涙が伝い始めました。歌が終わり、他の生徒たちが拍手をし始めたときの彼女の笑顔は、とても言葉では言い表すことができません。こんなに悲しい歌を、こんなに幼い少女が歌っているのを見ると、真に胸が張り裂けそうなほどの悲しみを覚えます。しかし、これが彼らの現実です。実際に起こっていることから目を背け、何も起こっていないようなふりをすることは、私たちにはできません。この少女が、どのくらいの間、この感情を秘めていたのかは、誰にも分かりません。しかし、子どもたちの自己表現のためにKnKが用意したクラスの中で、彼女は、自分の気持ちをすべて吐き出すことができたのです。

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