活動ニュース

パレスチナの子ども合唱団がCDをつくるまで(1)

2014/07/03

5月1日から、パレスチナの子どもたちによる合唱団のCD作りを目指して、READYFORでチャレンジを行いました。 目標金額は25万円。
おかげさまで目標達成し、7月1日に無事終了しました。ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。
CD作りはこれからですが、READYFORで日々アップされていた、パレスチナ駐在員、
佐藤による現地レポートを、数回にわけてご紹介します。


パレスチナ通信vol.1
ユースセンター「希望の家」 
2014年05月01日

こんにちは。
認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)の佐藤です。
いよいよプロジェクトがスタートしました。 早速ご支援を頂いたみなさまありがとうございました。
みなさまのご協力に応えられるよう、努力して参りますので、今後とも見守っていただければと思います。

さて、本日はKnKがパレスチナ自治区西岸地域アルザリア村で運営しているユースセンター、
「希望の家 (House of Hope)」をご紹介します。

アルザリアの位置(Wikipediaより)

アルザリアの位置(Wikipediaより)

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私たちが現地NGOであるVision Association for Culture and Arts (VACA)と運営している「希望の家」では、
子どもたちを対象に音楽や工作などの非公式教育、学校での勉強のサポートをする課外補習授業、
大学生や若者、女性を対象とする職業訓練を実施しています。

歌の練習風景

歌の練習風景

今回の私たちのプロジェクトはその中でも音楽の普及に力を入れたいと考えています。パレスチナの子どもたちは音楽が大好きです。ラップに興味がある子やダンスミュージックで踊るのが大好きな子もたくさんいます。ただ、学校では設備の不足や教えられる先生もいないことから、ほとんど教えられていません。

母の日のイベントではお母さんへの日頃の感謝をこめて合唱しました

母の日のイベントではお母さんへの日頃の感謝をこめて合唱しました

そんな中で、私たちがこのプロジェクトを始めたのは「希望の家」の音楽の先生たちの思いに応えたかったからです。厳しいパレスチナの政治状況の中でも子どもたちは歌うことで元気を取り戻してきました。このプロジェクトを通じてより多くの子どもたちが、音楽に触れるきっかけを持てるよう、みなさまのご協力をお願いいたします。


パレスチナ通信vol.2
パレスチナの伝統楽器 2014年05月06日

こんにちは。
国境なき子どもたち(KnK)の佐藤です。
さて、本日はKnKがパレスチナ自治区西岸地域で運営しているユースセンター「希望の家(House of Hope)」での伝統楽器の授業について紹介します。
パレスチナでよく演奏されている伝統楽器はウード(Oud)とタブラ(Tabla)の2つです。ウードは琵琶のような弦楽器でタブラは太鼓のような打楽器です。これらはパレスチナに限らず中東全域で演奏されています。もちろん、西洋の楽器も人気で、オルガンやギターなどを習いたいという子どもや若者も多くいます。

ウードの練習風景

ウードの練習風景

「希望の家」に通う子どもたちに人気なのはタブラです。子どもたちがセンターにやってくる午後2時以降は子どもたちがタブラを練習する音でいっぱいです。話によるとセンターから少し離れた家からでも練習の音が聞こえるとのこと。子どもたちが楽しそうに通っている姿を見ているからでしょうか、それでも、近所に住む皆さんは私たちの活動を優しく見守ってくれています。

タブラの練習風景

タブラの練習風景

私もこのタブラの練習をしたことがありますが、ちゃんとした音を出すのもなかなか難しく、奥が深い楽器だなと思いました。皆さんもご存知のように楽器の演奏を習うにはたくさんの練習時間が必要ですが、子どもたちの家には楽器はなく、センターでしか練習できません。そんな中でも、子どもたちは熱心に練習し、成果発表会などで練習の成果を見事に披露してくれます。

成果発表会での演奏風景

成果発表会での演奏風景

子どもたちにとって「希望の家」は日頃は触れることのできない楽器で遊べる貴重な場所なのかもしれません。これからもそうであれるよう、また、このプロジェクトを通じて更なる発展をできるよう、努力していきたいと思います。引き続きご支援のほどよろしくお願いします。

キ—ボードで遊ぶ子どもたち

キ—ボードで遊ぶ子どもたち


パレスチナ通信vol.3
アルザリア村と分離壁 2014年05月10日

ご支援いただきありがとうございます!
プロジェクトスタートから1週間が経過しましたが、皆さんのおかげで目標額の80%を超えるご支援を頂くことができました!
昨日スタッフの1人と話しましたが、今年の夏の一大イベントとしてプロジェクトを盛り上げていきたいと意気込みを語ってくれました。

さて、今回は私たちの運営するユースセンター「希望の家」のあるアルザリア村についてご紹介します。

アルザリア村は元々東エルサレムの端に位置する村でした。
しかし、2003年からイスラエル政府によって建設が開始された「分離壁」により東エルサレムと切り離されてしまったのです。それにより、以前は車で10分もかからなかった東エルサレムが壁を避けて遠回りをする必要ができたことで、30分近くかかるようになりました。

高さ約8メートルの分離壁。向こう側が東エルサレム。

高さ約8メートルの分離壁。向こう側が東エルサレム。

また、その遠回りのルートの途中にはイスラエル軍による検問所があり、人々は毎日そこを通らなくてはならなくなったのです。
もちろん、検問所を通過するには通行許可証が必要です。
私のような外国人はパスポートやビザで問題ありませんが、パレスチナ人は違います。
通行許可証はなかなか手に入らず、中には子どもが東エルサレムに住んでいるのに、お母さんはアルザリア村に住んでいて、なかなか会えない、などというケースもあるのです。
もちろん、以前、東エルサレムで仕事をしていた人の多くも壁の影響で仕事を失いました。
それによる経済的打撃もかなりのもので、子どもたちの生活にも直接影響を及ぼしているのです。

手前にあるのがオリーブの木。パレスチナではとても大切にされている。

手前にあるのがオリーブの木。パレスチナではとても大切にされている。

アルザリア村は新約聖書にも登場し、ナザルスというイエス・キリストによって復活した人のお墓はキリスト教徒にとっては是非たずねたい場所の1つだそうです。
確かにエルサレムの一部といっていい地域なのでそれも当たり前かもしれません。
昔はイエス・キリストが徒歩で訪ねることができたほどの場所が、今はバスで30分。
日々通勤で検問所を通り、観光バスでアルザリア村に訪れる人々の姿を見ていると歴史の複雑さに思い悩まされます。

アルザリア村にある教会。旅行者がよく訪れる。

アルザリア村にある教会。旅行者がよく訪れる。


パレスチナ通信vol.4
「希望の家」の成果発表会
 2014年05月16日

皆さん、こんにちは。 国境なき子どもたちの佐藤です。
本日は私たちが運営するユースセンター「希望の家」で行われる活動の成果発表会についてご紹介します。「希望の家」では音楽だけでなく、演劇、伝統舞踊、絵画などさまざまな授業が行われています。
絵画や工作などはギャラリーのように「希望の家」の中に展示していますが、音楽や演劇、伝統舞踊はそうはいきません。せっかく練習したのですから、多くの人に見てもらいたい。そんな思いで私たちは定期的に成果発表会を実施しています。

演劇の成果発表

演劇の成果発表

成果発表会のテーマは時期によって異なります。例えば、3月は女性の日を記念してお母さんへの日頃の感謝の気持ちを込めたイベントを実施します。12月はクリスマスです。パレスチナというとイスラム教のイメージがあるかもしれませんが、キリスト教徒も多いのです。もちろん、イスラム教徒の子どもたちもお祭り好きですからクリスマスフェスティバルには参加するのです。

お母さんの人生を表現した演劇

お母さんの人生を表現した演劇

また、「希望の家」で実施するだけでなく、別の地域のお祭りに参加することもあります。こちらは「希望の家」で演技するよりもずっと緊張するようですが、それでも子どもたちはがんばって練習し、大勢の人の前で最高のパフォーマンスを見せてくれます。

招待されたフェスティバルでの演技

招待されたフェスティバルでの演技

お祭りでは主催者側のリクエストもあり、伝統舞踊を披露することが多いのですが、今度は是非、合唱も披露できないかと私たちは考えています。成果発表会を通じて子どもたちは大きく成長してくれます。何かをやり遂げたという自信が子どもたちを変えるのかもしれません。このプロジェクトもそんな成長のきっかけとなるよう努力していきたいと思います。


パレスチナ通信vol.5
目標達成しました! 2014年05月20日

こんにちは。
国境なき子どもたちの佐藤です。
皆さまのご支援のおかげで目標を達成できました!
プロジェクト開始から20日もたたない内に達成できるとは思ってもいませんでした。
多くの方々にご賛同いただき、子どもたちや現地スタッフもとても喜んでいます。
さて、私は、日曜日にラマッラにあるパレスチナの教育省を訪問してきました。
用件は別のものでしたが、パレスチナの学校での文化活動を管轄する部署で音楽活動を担当している方ともお話しさせていただいたので、このプロジェクトについても話をすることができました。

パレスチナの政治の中心ラマッラ

パレスチナの政治の中心ラマッラ

音楽担当の方は、「現在は予算の不足でなかなか実現は難しいが、合唱などを始めとする音楽教育をもっと広めたい」とおっしゃっていました。
このプロジェクトのことに関しても非常に関心を持っていただいています。
今のところのCDの制作枚数は500枚で、私たちのセンターがある地域の学校などを中心に配布する予定ですが、
もしもっと作ることができるなら、教育省を通してより多くの学校に配布することも可能です。
パレスチナに合唱という文化を根付かせるために、私たちは少しでもできることをしていきたいと考えています。
引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

ラマッラのダウンタウンの中心のラウンドアバウト

ラマッラのダウンタウンの中心のラウンドアバウト

(つづく)

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