2013/12/27
報告:KnKスタッフ 久野 由里子
ジャパン・プラットフォーム
助成事業
11月末にKnKフィリピンチームがレイテ島、サマール島で調査を実施し、現在、事業対象地の最終選定プロセスに入っています。
日本からは12月19日にスタッフがフィリピンに渡航し、22日より被災地に入りました。
レイテ島のパロ、タナワン、サマール島のバサイ、マラブットをまわり、教育省、学校関係者、地域行政、子どもたちからの聞き取りを継続しています。
フィリピンの人は、大人も子どもも陽気で、目が合うと手を振り、笑顔を向けてくれます。家を失い、家族を失い、友だちを失うような体験をした後でも。
自分より幼い子どもたちを楽しませたいと、
友人たちとレクリエーションを開始した。
レイテ島パロで出会った子どもたち。目が合うと恥ずかしがって隠れてしまう愛らしい子どもたちです。自己紹介をして、他愛もない会話をして、子どもたちがクリスマス・ソングを披露してくれた後に案内してくれたのは、彼らが通っていた学校。安全だと思って避難した学校が被災し、60名以上が亡くなったと子どもたちが教えてくれました。
この地域では、幼い子どもたちに被災前と同じような楽しみを味わわせてあげたいと、15~17歳くらいの少年少女がグループになり歌やダンスなどのレクリエーションを開始したと少女たちが話してくれました。
彼ら自身、抱えきれない痛みや苦しみを抱えているはずだと想像し、それ以上質問はできなくなってしまいました。
サマール島バサイ、マラブットを訪問すると、コミュニティ全体が被災しているにも関わらず、まだまだ支援が行き届いていない状況を目の当たりにしました。
決して裕福ではない地域。木などの軽い資材で作られた家は、大人の身長ほどの高潮に襲われた後、骨組みだけになっているか、跡形もなくなってしまっていました。
車で事業対象予定地を回る途中出会ったのは、雨の中物乞いをする子どもたちでした。この地域ではココナッツを利用した製品(ココナッツオイル、石鹸、シャンプーなど)と漁業が主な生計手段でしたが、どちらも台風により大きな被害を受けました。家計が不安定になったとき、弱い立場に置かれるのは子どもたちです。
KnKはレイテ島パロ、タナワン、サマール島バサイ、マラブットのうち3ヵ所で各地域9歳から17歳の子ども・青少年200~250名を対象とし、大型テントを用いたチルドレンセンターを設置します。災害をきっかけに家庭の経済状況が逼迫したり、保護者が亡くなり青少年が労働を強いられたり、または親の出稼ぎによる家族離散などの背景から復学、通学継続が困難になりうることが懸念されるため、子どもたちの学習のサポート、補習授業などを実施し、子どもたちが復学、通学を継続できるよう促します。さらに、漁業・農業が中心の被災地域で保護者が生計手段を失った中、災害で学用品を流され復学が困難となることもこれまでの災害時に指摘されていることから、学用品の提供も行います。
また、被災後、雨が激しく降ると恐怖を思い出し、泣きながら逃げる子どもも多くいるそうです。子どもは遊びを通してできごとなどを表現し、心を整理すると言われていることから絵画、作文、ロールプレイなどの自己表現を可能とする活動も実施し、心的ストレス軽減を目指します。
教育とさまざまな活動を通し、子どもや青少年を犯罪や人身売買などのリスクから保護し、また彼らが児童労働などを強いられることなく教育を受け、子どもらしくいられる時間を確保します。
安全だと思って避難した場所が被災する、建物の壁が流されてしまって見えるはずのない向こう側が見えてしまう、波と砂にまみれた書類を並べて乾かしながら被災した事務所で次々と業務をこなす行政の職員…。これらの情景は東日本大震災の被災地を思い出さずにはいられません。
現在も岩手県で活動を続ける私たちKnKは、子どもたちにとって最も必要なのは、彼らの声に耳を傾け、寄り添う存在だと信じています。
皆さまからのご支援に感謝申し上げます。