活動ニュース

つながっている日本とフィリピン/KnK会長インタビュー

 

昨年12月からKnKはフィリピン支援を目的としたクラウドファンディングに挑戦しています。
頻繁に現地を訪れているKnK会長の寺田朗子に話を聞きました。

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フィリピンとの関わり

フィリピンに初めて行ったのは、今からもう15~6年ほど前かな。私が前に会長をしていたMSFのプロジェクトが行われていて、日本人スタッフが派遣されていた時に訪問しました。その時、KnKは既に立ち上がっていて、ちょうどフィリピンでどのような活動ができるか調査をしていたころだと思います。

当時の記憶で最も印象に残っているのがカラオカンの路上や墓地での子どものケアプロジェクト。ストリートチルドレンと呼ばれる路上で生活している子どもたちを集めて健康診断をするという活動に立ち会いました。

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墓地で暮らす少年たち(2003年8月)

ただ健康診断をするといっても、子どもたちは集まってくれないので、彼らが喜んで参加してくれるようにプールに連れていったり、お腹いっぱいご飯を食べさせたり。ご飯の後はみんなでビデオを見て衛生面や道徳の勉強をしました。それから健康診断をして、最後に運動会みたいなお遊び会をして解散。

子どもたちが参加しやすい取り組みは、KnKフィリピンの活動に大きな影響を与えていて、現在につながっていると思います。

 

ひとりの少年との出会い

プールに入る前にみんな石鹸とタオルをもらってシャワーを浴びて、身体中をピカピカに磨き上げます。口から泡をブクブク出してはしゃいでいる子もいました。そして、シャワーの後はみんな嬉しそうにプールに入っていきました。
そのプールで「誰か見て!誰か見て!」とはしゃいでいたのが当時9歳のライアン。彼はプールから上がると私の傍から離れようとしませんでした。話をする中でポロッと「お母さんが欲しい」という言葉を聞きました。「お母さんは妹3人とアメリカに行ってしまった」と話すけれど、後でスタッフから聞くと彼の記憶の中のイメージと実際の話はちょっと違う。ただ、ライアンの主観では、「家族に捨てられておばあさんのところに身を寄せたけどうまくいかずに施設に預けられて、そこも厳しい施設だったから飛び出して墓地で暮らしていた」ということでした。
墓地で暮らしていたライアンとの出会い、それが最初のフィリピン。

あれからもう何度もフィリピンには行っています。KnK活動国の中でも一番多く訪問しているかもしれません。2010年にKnKが運営する自立支援施設「若者の家」がリニューアルオープンした時にも行ったし、ライアンの卒業式の時も。あの時ライアンは21歳だったかな。ようやく小学校卒業資格を取得したというのでお祝いにかけつけました。

ライアンからもらった手紙と子ども時代の写真

ライアンからもらった手紙と子ども時代の写真

キャプション

ライアンの卒業式(2011年3月)

 

東日本大震災後、そして1ペソキャンペーン

東日本大震災が起きた時は、直後にフィリピンの「若者の家」で暮らす子どもたちから「Don’t Give Up」の大きなバナーが届いてとても勇気づけられたのを覚えています。

それからすぐに1ペソキャンペーン*を始めたと連絡がありました。
日本からの支援を受けた青少年たちが中心となって、空き缶で東日本大震災向けの募金箱をつくって小学校や中学校に配って歩いてくれたのです。この子たちが自分たちで行動を起こしてくれたと思うと、すごく嬉しかったです。

1peso

1ペソというと日本円で約2円でしょ。フィリピンの中でも最も貧しい地域で、それこそ1日100円とか200円以下で生活しているような人たちが、日本のことを心配して、率先して寄付してくれたのです。

2011年の秋に受け取りに行きました。

募金贈呈式にはフィリピンメディアもかけつけた

フィリピンで行われた1ペソキャンペーン募金贈呈式(2011年10月)

 

*1ペソキャンペーンには小学校から高校の生徒、そして現地NGOや企業等が参加してくださり、合計39,000ペソ(約74,000円)ものご寄付が集まりました。フィリピンの子どもたちの想いが詰まったご寄付は東日本大震災被災地において、日本の子どもたちの教育支援に充当されました。

 

どんなによじ登っても越えられない高い壁

フィリピンという国は基本的にはちゃんとしている国だと思います。お金があって教育を受けられる人は数多くいるけれども、一方パヤタスなどで暮らしているすごく貧しい人たちもたくさんいる。恵まれている人たちは教育水準もすごく高いし、豊かな生活を送っているけれど、学べるチャンスがほとんどない子どもたちも大勢います。

格差の大きさがあまりにひどいということ。

その壁は高くて、どんなによじ登っても越えられない。そういう社会って何なのだろうと思うんです。
自分の国の子どもたちのことなのに「ストリートチルドレン」の存在を無いものとして扱う人もいます。

路上で暮らす子どもたち

路上で暮らす子どもたち

実際は、ひどく大変な状況にあるにも関わらず、子どもたちが明るいですよね。ある意味で救いは感じるけれども、本当の意味では救われていないですよね。

支援を受けて学校に通い仕事に就けた子どもはいいけれども、途中でドロップアウトしてしまう子もたくさんいるのが現実です。だけど、そこであきらめたら終わり。

ごくわずかでもいいからドロップアウトせずに学校を卒業し就職して、社会の一員となってくれれば、そして彼らが自分をロールモデルとして後輩を育ててくれれば、少しずつ状況は改善していくと信じています。

フィリピンの子ども支援を目的としたクラウドファンディングに挑戦中。

~拝啓 十五の君へ~ フィリピンの自立支援施設で暮らす子どもたちの未来を支えたい!

目標金額は100万円=フィリピン「若者の家」の子ども5,000人分*の食費です。
クリスマスにKnKフィリピンチームに良い報告ができますよう、100人以上の方のご賛同とご支援を目指しています。ぜひご参加いただけますようお願いいたします。(*のべ人数です)

子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています


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 imakihu
5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。

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