活動ニュース

教室で学べる喜び―パキスタン学校再建事業(前編)

2013/06/10
報告:KnKスタッフ 熊本 晃順

2005年10月に発生したパキスタン北部大地震から7年半が経過しましたが、学校など教育機関の復興はなかなか進展しません。 KnKパキスタン政府は、政府予算で再建を進める「Strategy校」と、予算が確保できず再建のめどが立たない「Non-Strategy校」を区分し、後者の再建支援をNGOなど国際機関に呼び掛けています。震源地に近いハイバル・パフトゥーンハー州(KP州)マンセラ郡では、現在そのニーズに応えている団体は、わずか2団体・・・。
私たち国境なき子どもたち(KnK)は、現地NGO「Friends Welfare Associations(FWA)」をパートナーとし、このNon-Strategy校の再建を支援する2団体のうちのひとつなのです(もうひとつはUNICEF)。

先月5月後半に、この学校再建事業のモニタリングとしてパキスタンを訪問しました。 同月11日に行われた選挙は国内に動揺をもたらし、2週間を経てもなおその余韻が残っているようでした。

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至る所に残っていた選挙ポスター

学校再建の事業地マンセラ郡は、パキスタン北西部に位置し、震源地から約60kmの場所にあります。郡の中心部は標高1,000mほど。そこからヒマラヤへ至る高い山々が連なり、移動は簡単でありません。学校再建の困難さはこのような地理上の原因もあります。

山々の合間に沿って続く道は、車道でもあり、子どもたちの通学路でもある。

山々の合間に沿って続く道は、車道でもあり、子どもたちの通学路でもある。

今回訪問したSusal Jhangar村の小学校は、2012年に開校したばかりの新しい女子小学校です。新校舎完成後、教室には120人もの生徒が集まり、机を共有しながら授業を受けています。再建前と比べ、生徒数は3倍に増え、急きょ廊下でも授業が執り行われていました。地震後、彼女たちは倒壊した校舎の横で、屋外での学習を6年も続けてきました。トイレなど衛生施設はなく、夏暑く冬寒い気候のもと必死に勉強を続けてこられたのは、「学びたい」という一心からに他なりません。

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「パキスタンのよいところは?」という質問をすると、「美しい自然」、「人」、「動物」という答えが返ってきました。
また「将来は何になりたい?」と聞くと、みな口をそろえて「先生」か「医者」と言います。

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山岳部では教育も医療も十分とはいえません。 さらに性別による制約を受けやすい状況に生きる彼女たちが語る「誰かのために何かをしたい」という夢は、彼女たちの強い思いの表れなのです。

しかし、この学校は初等教育まで。近隣には中等教育以降が受けられる女子校がなく、生徒たちの行先はまだ決まっていません。 「勉強したい」と強く思う子どもたちに、途切れることなく教育の機会を提供する必要性を、改めて感じました。

後編へ続く

※ パキスタンにおける学校建設プロジェクトは、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用と、日本の皆さまからのご寄付により成り立っています。

 

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