報告:カンボジア プロジェクト・コーディネーター 武田望
国境なき子どもたち(KnK)がカンボジアで運営している自立支援施設「若者の家」の設立当初から、25年間調理師として働いてくれていたドラさんが2026年1月をもって勇退されました。
「若者の家」が始まってからこれまで、若者たちと毎日顔を合わせ、彼らの成長を見守ってきたドラさんに、「若者の家」での日々についてお話を伺いました。

調理師として働いてくれていたドラさん
Q:「若者の家」では、いつから働き始めましたか?
2001年から働きはじめました。「若者の家」は2000年に始まり、当初は男子の宿泊棟のみでしたが、2001年に女子の宿泊棟ができ、そのタイミングで調理師として働き始めました。
当時は食事の準備だけではなく、ランチの後に女の子たちへのクメール語の授業を毎日2時間行っていました。女の子たちは12人ほどいて、KnKに来る前は学校に通う機会がなかった子どもたちばかりでした。彼女たちはKnKに来てから、学校に行ったり、職業訓練も受けたり出来るようになりました。

食堂で昼食を食べる子どもたち
Q:ドラさんが「若者の家」で働かれていた頃の1日の仕事の流れを教えてください。
毎朝4時に起きました。寝坊すると子どもたちに食事の準備が出来ないので、携帯電話で必ずアラームをかけていました。食事の準備をしたら、キッチンを掃除して、6時ごろ子どもたちのために食事を配膳しました。昼食と夕食も、若者たちが学校から帰ってくるタイミングで作りました。
多いときには、子どもたちに加え、収入創出活動の女性メンバーを含めて約50人分の食事を作っていました。


キッチンの様子
食べたいメニューを毎週、子どもたちに書いてもらい、希望を書いた表を確認しながら献立を決めていました。毎食、2種類ほどのおかずを準備します。子どもたちに人気なのは、グリルチキン。やはり彼らはお肉が好きですね。魚はあまり人気がありません(笑)


今週の献立表とおかず
Q:思い出に残っている子どもとのエピソードはありますか?
働き始めたころは、ランチ後にクメール語の授業をしていましたが、女の子たちはランチの後、「授業に出たくない」と言って、テーブルで突っ伏して寝てしまうこともありました(笑)起こして授業に参加してもらうのは、とても大変でした。
また、毎朝若者たちの部屋を回り、誰が学校に行ってるか、誰が休んでいるかを確認し、月末にレポートを提出していました。学校に行かないことについて注意すると、若者たちと喧嘩になることもありました。最初は難しいと感じましたが、時間が経つにつれて彼らと向き合いながら働く経験を積んでいきました。
Q:調理師として、子どもたちと接するうえで大切にしていたことは何ですか?
若者たちとの「話し方」を大切にしていました。ときには柔らかい言葉を使うことが必要ですが、私の性格上、思ったことをストレートに言ってしまい、理解してもらえないこともありました。
それでも、以前「あなたのことが嫌いだ」と言っていた若者が、「若者の家」を卒業した後に戻ってきて、当時のことを謝り、感謝を伝えてくれたことがありました。そのときは本当にうれしかったです。
Q:長年働く中で、若者たちにどのような変化を感じてきましたか?
以前は、生活態度があまりよくない若者もいましたが、最近の若者たちは毎日きちんと学校に通い、一生懸命勉強に励んでいます。
KnKは子どもたちにより良いチャンスを与えていると思います。ただ、そのチャンスを活かせるかどうかは、子どもたち自身にも委ねられています。
Q:勇退についてのお気持ちと、日本で「若者の家」を支えてくださっている皆さんへ、メッセージをお願いします。
言葉にするのが難しいですが、KnKのプロジェクトは子どもたちにとって本当に良いものだと思います。多くの若者たちが学校に通い、職業訓練を受け、大学へ進学する機会を得ました。
子どもたちだけでなく、私のようなスタッフも、KnKで長年働くことで子どもを育てることが出来ました。KnKには、心から感謝しています。

長い間、ありがとうございました!
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