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【カンボジア】「子どもたちの幸せが一番に思い浮かぶ」 同等性教育職員インタビュー

【カンボジア】「子どもたちの幸せが一番に思い浮かぶ」― 同等性教育クラス担当職員への職員インタビュー

インタビュー実施:カンボジア プロジェクト・コーディネーター 後藤ゆき奈
インタビュー実施日:2025年12月8日

国境なき子どもたち(KnK)では、学校に通えないなどのリスクのある子ども・ 若者が、ノンフォーマル教育や職業訓練のプログラムに参加し、将来につながる教育や技術を習得できるよう、その環境 を整える支援をしています。同等性教育コースは、義務教育課程で中途退学した子どもに対して、学校外で教育を受けられる機会を提供するノンフォーマル教育プログラムです。プログラムを修了した子どもたちへは公教育卒業と同等の資格を授与しています。

プレネットプレア郡とトゥマポーク郡の同等性教育コース修了式の様子

2025年3月17日から同年10月31日にかけてバンテアイミエンチェイ州のプレネットプレア郡(Preh Netr peah)とトゥマポーク郡(Tuma purk)の2ヵ所で同等性教育クラスを実施しました。
プレネットプレア郡では18名中14名が同等性教育クラスを修了し、14名中13名は小学校に編入することができ、1名はプレネットプレア郡生涯学習センター(ライフ・ロング・ラーニング・センター、LLLC)の職業訓練コースに参加しました。一方、トゥマポーク郡は23名中15名が同等性教育クラスを修了し、15名中11名が中学1年相当となる7年生に、3名が小学校に編入することができ、1名はトゥマポーク郡生涯学習センターの職業訓練コースへ参加しました。

コース修了を経て、同等性教育クラスを担当した職員ウドムとシニヤンにインタビューをしてみました。

ウドム

シニヤン

Q:本活動を振り返った時に、何が一番に思い浮かびますか?

ウドム:子どもたちの幸せです。アウトリーチ活動(自宅や地域に直接出向いて同等性教育クラスの情報を伝える活動)を始めたばかりの頃、子どもたちは私たちを警戒し、学校へ行く意欲もありませんでした。しかし、活動を通して学ぶことの大切さを話し続けていくうちに、彼らの考えが変わり始めました。フォローアップ(定期的に授業に訪れたり家庭訪問をして様子を確認する)に訪れるとみんなうれしそうで、性格も明るく変化しました。笑顔が増え、私たちに積極的に質問もしてくれるようになりました。

シニヤン:本活動で子どもたちをサポートすることができて本当に良かったです。初めて会った時、彼らは私たちを恐れ、内気な様子でした。しかし、クラスに参加してからは、笑顔を見せ、自分に自信を持てるようになりました。中には、計算ができず授業についていけなかった子もいましたが、今では読み書きもしっかりこなせるようになり、見違えるほど成長しています。

Q:子どもたちが以前よりも自信がついた/明るくなったなと感じた瞬間はありましたか?

ウドム:開始から2か月ほど経ち、クラスを訪問した時に変化に気づきました。子どもたちの親からも「調子はどう?」と親しげに声をかけられるようになりました。特に印象的だったのは、修了式です。修了証書を受け取った時の子どもたちは本当にうれしそうで、次のステップに進むことに大きな喜びと期待を感じているのが伝わってきました。

シニヤン:子どもたちがワークショップや修了式に参加できた時、そしてその姿を見て親たちも喜んでくれたことです。そのようなイベントを準備するのは、私にとっても本当に楽しい時間でした。子どもたちは私たちを「ネアックルー(女性の先生)」「ローックルー(男性の先生)」と呼び、積極的に参加し、「もっとこんな機会が欲しい」と言ってくれました。親たちも仕事で忙しい中、都合がつくときは必ず参加してくれ、その姿はとてもうれしそうでした。

Q:学校や保護者、コミュニティの方々は本活動に対してどのような反応でしたか?

シニヤン:子どもたちも保護者も私たちの活動を心から喜んでくれています。実は、「もっと長く活動を続けてほしい」「クラスの期間を延ばしてほしい」という要望をたくさん受けました。また、村長さんやコミューン(行政区)リーダーたちも、私たちが同等性教育コースや職業訓練コースを開設していることに大きな期待と喜びを寄せてくれています。

ウドム:皆さんからの反応は、驚くほどポジティブなものばかりです。例えば、保護者の方々は「このプログラムが子どもたちの未来を守ってくれる」と信じてよろこんでくれています。私たちが提供しているのは、単なる授業ではなく学ぶ機会そのものだからです。時々、私たちのところにわざわざ「ありがとう」と感謝の電話をかけてくれる親御さんもいました。

Q:活動においてどのような困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?

シニヤン:子どもたち一人一人と向き合う中で、小さな困難はたくさんありました。中には参加をためらう子もいて、何度も粘り強く対話を重ね、モチベーションを高めるように努めました。また、私たちのクラスには来るけれど、公立学校へ行く自信がないという子もいました。そうした不安に寄り添い、自信を持たせることが課題でした。

ウドム:2つ大きな課題がありました。1つは「学習の遅れ」です。低学年で退学した子の多くは、母語であるクメール語の読み書きすら忘れてしまっています。私たちは先生をサポートし、基礎中の基礎からの復習を徹底しました。その結果、多くの子どもが読み書きを習得し、次のステップに進むことができました。もう1つは「継続の難しさ」です。家庭の事情や親の仕事に伴う転居によって去ってしまう子もいます。私たちは家庭訪問や学校訪問を繰り返し、親にも教育の大切さを説き続けました。

Q:本活動を通して個人的に学んだことや得たものはありますか?

シニヤン:本活動からは、本当にたくさんのことを学びました。同僚や特にチームリーダであるウドムからは仕事の進め方やクラスの運営、子どもたちや村のリーダーとの接し方を教わりました。また、英語も学びました。入職した当初は話せませんでしたが、日々の報告書作成やパートナー団体との対話を通じて、今ではしっかりとコミュニケーションが取れるようになりました。

ウドム:1年目はすべてが新鮮でした。KnKの活動は他団体とは異なり、中途退学した子どもたちに焦点を当てています。彼らと向き合う中で、今までになかった新しい視点を得ることができました。また、現地行政当局と連携し、信頼関係を気づきながら物事を進めるというプロセスを経験できたことも私にとっては大きな成果です。

Q:今後、どのような支援が子どもたちの成長につながると思いますか?

シニヤン:自転車やユニフォームが支給できたらいいと思います。なぜなら、学校に行くための自転車を持っていない子どももいるからです。また、我々のプロジェクトが終わっても継続して学習が続けられるように奨学金の支援もできたらいいと思いました。

ウドム:学校が家の近くになく、家から遠くの学校に通っている子どもたちは、お昼休みに帰宅して食事をすることができません。学校の近くでお昼を買うお金が必要になりますが、それが払えないため中途退学(ドロップアウト)してしまう子がいます。親の収入支援ができるプロジェクトの検討も必要だと思いました。また、公立学校に入ると生徒と先生の数が増え、特定の先生との親密な関係を築くのが難しくなります。コース修了後も精神的なサポートを継続し、我々が定期的に訪問し続けることで、子どもたちは安心して学校生活を送ることができるようになります。

シニヤン(中央)とウドム(右)。左は新職員のコサール

※ バンテアイミエンチェイ州における本事業は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用、ならびに皆さまからのご寄付で成り立っています。

 

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