2013/02/13
期間:2012年12月22日(土)~29日(土)
講師:中川るな(造形作家)
アシスタント:大沼文香(2007年友情のレポーターとしてカンボジアを訪問)
*カンボジアにおけるIGAの活動、ならびに今回の専門家派遣は、公益財団法人日本国際協力財団のご支援により実施しています。
12月28日(金)
トレーニング5日目
木綿糸の染色
昨日のチェックデザインから選んだ柄に含まれる3色を染めます。染めムラがあるものの、そのままで織ってもらうことに(絣のような効果がでるかも??)。
コットンクロマーは手織りですが、現地では200円程度で日常品として多く売られています。他と同じものを作っても…という思いがよぎりました。他との差別化、それはシルク製品においても言えることです。
日本のクロマー、手ぬぐいの絞り染めをしよう!
木綿を自分で染めてみること、2色掛け合わせの色を考えること、新しい技法を体験すること、自分のものを自分で作ってみること、それを最後の実習としました。
日本の晒し布を1mに切り分け、色は赤、青、黄色の染料のみで掛け合わせます(紫が欲しければ赤+青、緑なら青+黄色という具合)。染める部分と染まらない部分をビニールテープで縛り(織の絣と同じ原理)、多色染めに挑戦しました。
サンプルにない柄や独創的な色使いが生まれたり、あえて手間のかかる方法でやりたいという声があったり、それぞれの「手ぬぐい」が染まり上がりました。
いつの間にか、何人かが縫製部屋のミシンの前に。今染め上がった手ぬぐいにアイロンをかけ、端を三つ折りにして縫っていたのです。手ぬぐいの端をほどいて房にする子もいました。作ったものを自分のものへと変える感覚、言われたままで終わらないところまでやる姿勢が発揮され、より良いもの作りへつながることを切に願う最終日となりました。
今を一生懸命生きる子たちも、何年後かにここを出て行く日がくるでしょう。その日のために力をつけることが、ここにいる最終的目標と思います。しかし、それにはまだ大人の手、周りの助けが必要。その「出口」をどこにおくのかをはっきり見据え、それに向かって道筋をつけることが「入口」を作った者の役目ともいえます。研修を終えて:今後への問題点と展望とともに…。
5日間の「トレーニング」はそれなりにハードでしたが、参加者はいつも「大丈夫!」「いける!」と若いエネルギーで返事をしていました。
このトレーニングが、日々の仕事や作業にどう取り込まれていくか…。一番大事なことは、「色を考える」ことでも「お客さんの好みを知る」ことでも「やわらなか布を作る」ことでもなく、あなたたち自身が「続けること」「考えること」「自分の力を信じること」よ(you can do it!!)。
今、ものを作って生きることは、日本でも簡単ではない状況にあります。しかし、もの作りにはお金だけでは片付けられない「何か」があります。彼女たちがどういう経緯で織をやってみようと言うことになったか、そこまで聞くことはできませんでした。が、少なくとも嫌いではできない仕事です。カンボジアの糸や技術を活かしつつ、逆に新しい独自のものを生み出す、そしてそれが少しでも収入・生活向上につながるなら、それは理想であり喜びでもあります。
ちょっとオシャレもしてみたい、おやつの甘いお菓子大好き、カメラを向ければピースの彼女たちは、日本の若い子たちと同じ。環境や生い立ちは違うかもしれないけれど、一生懸命若い日々を生きています。ありがとう、若い力!そして、ここへ来る道をつけてくださった方々へ、ありがとうございました。
道はまだまだ続きます。
*カンボジアにおけるIGAの活動、ならびに今回の専門家派遣は、公益財団法人日本国際協力財団のご支援により実施しています。