2013/01/31
期間:2012年12月22日(土)~29日(土)
講師:中川るな(造形作家)
アシスタント:大沼文香(2007年友情のレポーターとしてカンボジアを訪問)
*カンボジアにおけるIGAの活動、ならびに今回の専門家派遣は、公益財団法人日本国際協力財団のご支援により実施しています。
12月25日(火)
トレーニング2日目
実習(1)
数日で色を「修得」することは難しいため、そこで見てすぐわかるMYチェックシートを各自制作。
色の「簡単チェックシート」
原色の輪は、向かい合った色同士が補色になり色合わせは難しいとされています。日本では販売しづらいそのような色使いも大まかに説明。
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2日目とは思えないスケジュールにも関わらず、みなついてきてくれました。昨日の復習をかねて「一目で分かる色チェックシート」を作り、見てわかる仕組みを各自が持つようにした。微妙な色の違いを見分け、製品の色を統一すること、同じ注文があれば微妙な違いでも許されないこと、そして何より自分の好きな色、周りにある色以外の「未知の色」を使えるように指導します。
参加者の一人Khenaは耳が聞こえません。しかし作業を一つ一つよく考え、自分の方法に置き換えて行おうとする子です。コンパスなしで円を描くときも、他の子がフリーハンドで描く中、紙の両端に穴をあけ、一つを支点に、もう一方に鉛筆を入れぐるっと回し、きれいな円を描いていました。
もしかしたら、各自にオリジナルデザインをさせてみたら面白いものが出てくるかもしれない!!という気にさせられました。
12月26日(水)
トレーニング3日目
小さな色見本試染
250ccのペットボトルを切り、50ccごとに目盛りをつけ代用にしました。熱いお湯を一気に入れるとへたるのが難点。みんなも少しずつお湯をそそぎます。
プノンペンで事前に購入した絹用染料では一切染まっておらず、日本から持参した木綿用染料を使用。
手袋はしてね。お湯の中にも素手で、というのはワイルドすぎ。 |
絹の柔軟のテスト
織り上がった製品が「固い」という声がありました。糸の打ち込みの問題か、織る前の糸の「練り(絹のセリシンを落とす)」具合が足りないのか???ここではまず糸ののり抜きを試しました。
まずお湯(50℃)につけ、その後お湯を交換、ソフナーにつけ置き、アイロンがけ。
柔らかくなったものの、色落ちもありました。お湯につけると色が落ちるということは、「柔らかく」する前に染色をキチッとする必要があるということ。スカーフなど肌に触れるものは柔らかな質感が必要で、この質感(テクスチャ)は色柄とともに布製品の大事な要素の一つなのです。最初の段階からきちっとしていかなければ最後の良いものへはいきつかない…ということがわかってもらえてればよいのですが。
12月27日(木)
トレーニング4日目
コットンクロマー試作のためのデザイン制作
糸染めからデザインまで自前で行うコットン100%のクロマー(カンボジア手ぬぐい)を製作するため、一人一枚チェックのデザインを考えることに。もしかしたら何か面白いものが出てくるのではないかという期待もありました。
デザインの条件は
- 自分の好みで作らない
- 使う人(お客さん)のことを考える(今回は日本人向け)
- ダルカラー(シックな落ち着いた色味)かペールカラー(淡いトーン)を使う
以上、昨日染めた試染布やカラーチャート、日本の雑誌などを参考に制作。この中から翌日染める木綿糸のデザインを選びます。
デザインの作業は、基礎知識の修得と同時に感覚の視点もあり、「やり方がわかりましたからできます」とはいきません。様々な要素のからむ難しさもあり、まさに「千里の道も一歩から!!」というデザインの入り口でした。
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*カンボジアにおけるIGAの活動、ならびに今回の専門家派遣は、公益財団法人日本国際協力財団のご支援により実施しています。