2010/11/19
報告:プロジェクト・コーディネーター 加藤 香子
ヨルダンの首都アンマンにて、政府機関の青少年高等評議会(Higher Council for Youth: HCY)とのパートナーシップのもと、ユースセンターでの青少年育成及び教育支援のための事業を開始しました。
ヨルダンは、19歳以下人口が全人口の約5割を占めるという若年層国で、その8割が都市部で生活していると言われています。その若者たちが抱えているのが貧困です。その背景には、そもそも天然資源に乏しく、外国からの短期的な資本流入の動向や中東の治安情勢などに左右されやすいという経済の脆弱性が起因しています。さらに、こういった貧困層に属する青少年は、暴力行為や薬物使用、学校からの中退など、様々なリスクにさらされやすくなっています。
KnKでは、2007年よりヨルダンにある3地区のHCY管轄ユースセンターにおいて教育支援を実施、いずれのセンターにおいても多くの裨益者を集め、成果を上げてきました。今回、事業継続を求める地域からの声へ応えるべく、ジャバルアンマンのセンターへ移動、(1)ノンフォーマル教育、(2)ユースプログラム、(3)コミュニティープログラムを展開していきます。特に、創造的思考や情操面での表現力、コミュニケーションスキルの向上を通じた、青少年の健全育成を目指します。
センター開校2週間にして、既に近隣地区へKnK活動開始が口コミで広がり、定員数を超える参加生徒が登録しました。依然、登録希望の声が後を絶たないため、3ヶ月後の次学期に行われる再登録を待ってもらっています。また、KnKが活動を開始後、たくさんの女子が継続的にセンターでの活動に参加するようになっています。以前は、男女対象のセンターでありながら、センターで見かける女子の姿は数名に過ぎませんでした。
ヨルダン政府は、情操教育やライフスキルのための活動充実を掲げていますが、公教育におけるクラス定員数の飽和や知識詰め込み型授業の踏襲など、未だその取り組みには課題が山積していると言えます。また、課外活動などの青少年活動を担当するHCYにおいても、予算や人材の不足を理由に、日常的な活動実施は難しく、学校の長期休みに併せた夏の活動へ集中しがちです。そのため、青少年への効果も一過性に止まりやすく、各生徒を継続的にフォローアップしていくことには限界がありました。
今回、KnKがHCYと協力しながら、日常的に課外活動を活発化させることで、青少年のより望ましい健全な成長を長期的にフォローアップしていくことが期待されます。さらに、青少年が潜在能力やスキルを開花させ、社会的または経済的活動へ参加していくためのレディネス(readiness)を高めていくことが望まれます。
これまでのヨルダン事業への温かいご支援に感謝すると共に、引き続き、皆様からのご協力をお願い申し上げます。