2010/04/02
報告:KnK カンボジア インターン 柴田 千恵子
3週間のバッタンバン若者の家での活動は、毎日色々なことに気づかされたり、子どもたちに元気をもらい、本当にあっという間に過ぎていきました。
今回は公立の学校の様子と、日本語クラス、KnKを卒業した子どもたちの様子について、
お伝えしたいと思います。
若者の家で暮らす子どもたちの多くは、家庭の貧しさから、働いたり、親の手助けを余儀なくされ、学校に通うのを途中で諦めてしまっています。
KnKでは彼らがもう一度学校へ通えるように支援をしています。
カンボジアでは、成績によって次の学年に進級出来るかどうか決まるので、卒業するのも大変で、スタッフが補習授業も行なっています。
決して整備されてるとは言いがたい、暑い教室の中で子どもたちは熱心に授業を聞いていました。
この3週間で、若者の家で子どもたちに簡単な日本語のクラスを開講しました。
それは英語クラスの先生が、新しいお仕事が見つかって急に辞めることになり、代わりに私が教えることになりました。
子どもたちは日本語という新しい言語に興味津々で挨拶、簡単な会話や自己紹介をどんどん覚えていって、こっちがびっくりするほどでした。
覚えたての日本語を早く使ってみたいようでセンター内で私を見る度に 「こんにちは」「お元気ですか」と笑顔で声をかけてくれます。
最後にテストをしたのですが、覚えた日本語を自信たっぷりに書く子どもの姿にこの子どもたちの今後の成長がとても楽しみになりました。
KnKの子どもたちは、職業訓練を受けた後、それぞれの社会へ帰っていきますが、KnKは彼らがうまく社会に戻って、生活をしていけるように、卒業後も一定期間支援をしています。
2週目の週末に、職業訓練を行なっている他のNGOへの訪問とあわせて、シェリムアップにいる、5人の卒業生に会いに行ってきました。
そのうち3人は、車の修理工場で働いていました。前はバッタンバンで働いていたけれど、社長がシュムリアップに工場を持っていて、誘われて移ってきたそうです。
もっと一人前になって、バッタンバンに帰りたいと言っていました。
あとの2人は、シュムリアップの大学に今年度から通っています。 なぜバッタンバンではなくシュムリアップにしたのか、と聞くと 「シュムリアップではアルバイトが見つけやすいから」と語っていました。
バッタンバンではサービス業の仕事を見つけるのはまだ、難しいようです。
彼らの一人はタイにトラフィッキングされ、KnKの支援で高校を卒業しました。今は学校でビジネスを学んでいて、いつか農業とマーケットを繋ぐ仕事をして、農業で暮らしている貧しい人の手助けをしたい、と自分の夢を、目をきらきら輝かせながら語ってくれました。
もう一人は、ストリートチルドレンとして働いていたところを保護され、他のNGOからKnKに移ってきました。
弟が行方が分からないままになっていると言い、早く卒業してお金を貯めて、家族の手助けをしながら、弟を探したい、と言っていました。
卒業後にしっかり自分の生きる道を見つけていくのは辛い過去を持ち、家族の支援を得られない彼らにとってはとても難しいことです。
KnKは彼らがしっかりと自立出来るよう、学費や開業の支援を行なっています。
また、最後の2日間に職業訓練を卒業した子どもたちに話を聞きに行きました。
裁縫の訓練を卒業した子どもは、自分の顧客を持ち、一日に2ドルから3ドルを稼いで、家族の手助けをしており、「自分がこんなふうに自立できるなんて、前は考えられなかった、KnKのおかげで、自分に自信が持てた」と語ってくれました。
絹織物の訓練を卒業した子どもは、父親が病気で、1年前になくなった母親が残した負債を払うため、毎日KnK内の工場に通い、少しずつ返済していました。
「早く借金を返して、絹織物を独立して続け、いつかお父さんが元気になったら一緒に暮らしたい」と語ってくれました。
彼女は過酷な運命を背負いながらも、ソーシャルワーカーや他のスタッフとともにしっかりと自分の将来に向き合おうとする姿はとても印象的で、いまでも心に残っています。
帰る前に、若者の家で暮らす子どもたちに、日本の支援者への手紙を書いてもらいました。
ここでその一つを紹介したいと思います。
私はソット・ニンといいます。19歳で、高校1年生です。
私は孤児なので、自分では学校に行けません。
KnKに3年住んで、色々なことをKnKで学び、
KnKの支援で公立の学校に行って勉強しています。
私が勉強出来るように支援してくれている全ての支援者に、
心から感謝しています。
そして、あたたかく支援してくれるKnKのすべてのスタッフにも。
本当にありがとう。
ニンより
3週間を振り返ってみると最初はカンボジア語も分からず、ちゃんとやっていけるか不安だったけれど、スタッフも、子どもたちも、とてもあたたかく迎えてくれて、この3週間は、ひとりひとりのスタッフの協力と、子どもたちの笑顔のおかげで、わたしにとってもかけがえのない時間になりました。
最終日に日本語クラスの生徒から心温まる手紙をもらったときは、思わず涙が出てきて、またいつかここに戻ってきたいという思いと、この子どもたちとKnKを通してずっと関わっていきたい
という決意の気持ちでいっぱいになりました。
最後になりますが、この貴重な機会を与えてくださった東京、カンボジアのKnKスタッフの皆さん、 辛い境遇に向き合いながらも、しっかりと前をむいて生きる子どもたち、そしてその活動を支えてくださる全ての支援者の皆さんに感謝の気持ちを記したいと思います。
ありがとうございました。