パレスチナ事務所の福神です。
パレスチナは今、イスラム教の断食月であるラマダンの最中です。
イスラム教徒は1ヶ月間、日の出から日没まで、日中は飲食を控える生活をしています。空腹を感じることで貧しい人たちの気持ちを理解したり、世界中のイスラム教徒が同じ時期に断食をすることによって、イスラム教徒としての共感や一体感を感じるためと言われています。
イスラム歴(ヒジュラ歴)の9月が断食月とされていて、今年は5月の初旬から始まり、30日間続きます。
日中の飲食が禁止されているため、この時期は日没後から町が賑わいます。
子どもたちも遅くまで起きていて、家族と食事に出かけたり、モスクにお祈りに行ったり、日本の大晦日のような、楽しい夜の時間が1ヶ月続きます。
パレスチナでは、イスラム教徒以外の人たちは日中飲食しても構わないのですが、特に子どもからは「あなたも断食しているの?」とよく聞かれます。私自身は、朝起きて水を飲んでから出勤する日や、週末に朝から普通に飲食をしている日もあるので、本当に断食しているわけではないのですが、ゆるーくラマダン体験中です。先日、子どもから断食をしているかを聞かれたので「しているよ!」と答えたところ、「舌を見せて!」と言われました。舌の様子や、指をつまんで皮膚が戻るかどうかで、体内の水分量を見て(?)、断食をちゃんとしているかどうか、テストし合うそうです。私は3人の子どもたちからチェックを受け、「うん、ハルカはちゃんと断食しているね」と合格をもらいました。
事業地のジェリコは、日中の気温が40度を超す日が続いているので、特に水を飲めないのはかなりつらいのですが、日が暮れてから飲む1杯目の水のおいしさは格別で、また、異国で暮らす外国人の私からすると、現地の文化に触れることができる、貴重な1ヶ月になっています。
モスクから日没後のお祈りの時間をお知らせするアザーンが鳴ると、夜の時間の始まりです。
日没後、断食が明けてから食べる食事のことを、イフタールと呼ぶのですが、ラマダンの時期は、どの家庭でも豪華なイフタールが用意され、家族や親せき、友人たちと一緒に食卓を囲むのが一般的です。日の出前には、スフールと呼ばれる簡単な食事を取ります。スフールの時間になると、もうすぐ日が昇ることをお知らせするために、太鼓を叩いて町を練り歩く人たちが登場することもあります。
先日KnKでも、キッズセンターのスタッフとKnKスタッフでイフタールを開催しました。
料理は、各自が持ち寄りました。スタッフ自ら料理したものや、お母さんが作った料理など、美味しいアラブ料理が揃いました。ちょうど当日と、その前日がスタッフの誕生日だったこともあり、ケーキやクレープも登場して、楽しい会となりました。
ラマダンは残すところあと数日となりましたが、最後までゆるーく断食をしながら、ラマダンの雰囲気を楽しもうと思います。