活動ニュース

一歩ずつ、誇りを胸に

2010/09/21
報告:プロジェクト・コーディネーター 岩城 美奈子

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【絵画コンテスト開催】
チルドレンセンターでは基礎教育のほかレクリエーション活動を通して子どもたちが情操力を身につける機会を提供していますが、その中の大きなイベントになっているのが絵画コンテストです。8月25、26日の2日間に渡り、村の合同で合計47名の子どもたちがコンテストに参加しました。

子どもたちが教室に集まり、指定された場所に座ると画用紙と色鉛筆、クレヨンが配られ、あらかじめ教室の先生との相談の上で決定した5つのお題を子どもたちに公表します。

用意にとりかかる子どもたち

用意にとりかかる子どもたち

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1日目の開催で与えられたお題は「国の霊碑」「国旗」「日本の国旗」「国花」「国の風景」、一方2日目は「国の霊碑」「動物・鳥」「国花・国産の果物」「バングラデシュ・日本の国旗」「朝の風景」です。2時間の制限時間の間にこれらのお題すべてを描き上げなければいけません。

発表された5つのお題

発表された5つのお題

自分の絵に集中する子どもたち

自分の絵に集中する子どもたち

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参加した子どもたちは10歳ほどの年齢ですが、コンパスや定規も上手に使い、熱心に自分の絵に集中します。2時間もの間教室がしんと静まり返るほどの集中力には驚かされました。

もうすぐ完成間近・・

もうすぐ完成間近・・

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制限時間が過ぎると絵はすべて回収され、採点に入ります。
1つのお題につき20点、合計100点をつけ、上位3位までが表彰されますが、それぞれの絵に子どもたちの個性がよく出ています。
慎重に採点を終え、上位入賞の3人の子どもたちに賞品として筆箱が渡されました。

入賞した子どもたち

入賞した子どもたち

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【裁縫技術訓練生への卒業証書授与式】
村の方では特に競争意識が高く、今回受賞できなかった子どもたちはとても悔しそうな表情を浮かべていましたが、コンテストを通して子どもたちが精神的な強さを身につけていることを感じさせられました。

職業訓練センターのうち裁縫教室では6ヶ月間のコースで村の女の子たちが裁縫技術を学んでいます。ラックスマンカティ村、カマルカティ村の2村にてコースを終了した卒業生への修了証書授与式が行われました。コースに参加する前は家事に従事するほか選択肢がなかった生徒が職業訓練センターに通うようになり、今では約20通りの服飾デザインを自分たちで制作できるようにまでなりました。
修了書を受け取る生徒に今の心境を聞いてみると「今度からは自分が身に着けた技術で収入を得て家族を養うことができる」ととても嬉しそうな声を聞くことができました。卒業後は皆別々に働くことになり、少しでも家計を助けることを望む彼女たちにとってはここからが本当のスタートとなります。コースで一緒に学んだ仲間や先生にときには相談しながら、これから厳しい環境に遭遇しても力強く乗り越えていってほしい、と修了生に呼びかけ授与式は終了しました。

授与される職業訓練センターの生徒たち

授与される職業訓練センターの生徒たち

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卒業おめでとうございます!

卒業おめでとうございます!

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【一歩ずつ、誇りを胸に】
職業訓練センターの卒業生が働く協同組合は今、カマルカティ村、アシュア村の2村で運営されています。カマルカティ村では4月末から、アシュア村では7月中旬からスタートし、近隣の市場からオーダーをとり生産数を徐々に重ねてきています。バングラデシュでは宗教上女の子が外で自由に働く環境を得ることが難しく、物を市場で販売する仕組みなどは全く知らない、ゼロの地点からスタートしました。もともとグループで何かを一緒に作っていくという習慣がない彼女たちにとっては、根本的な協同組合の目的を理解することさえ難しく、当初は家族からも同意をなかなか得られず組合で働くことに反対もされたそうです。それでも運営・販売・裁断・縫製の4つのグループに分けてそれぞれのグループの役割を認識してもらい、組合員による市場調査や服飾専門家からのトレーニング等を重ね、少しずつオーダーの数が増えてくるようになりました。市場で販売する対象となるものを今までに作ったことがなかったため、特に品質の面では市場が求めるクオリティを追求することが難しかったようです。

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協同組合設立当初のもの。 見た目は良いが細部にあらがある

協同組合設立当初のもの。
見た目は良いが細部にあらがある

それぞれでデザインを考えた後はサンプルルームに移動し、型紙を用いて布の裁断を行うトレーニングが行われました。裁断の時点では、ペンや鉛筆でなくチョークを使用すること、2枚のパーツを同時に切る際に下側の生地がずれないように注意して裁断することが大切です。裁断方法に加えてアイロンの使用方法についてもアドバイスされました。

品質については特に厳しく改善点を挙げ続け、何度も修正を行ってもらいました。生産と販売を何度も繰り返すうちに組合員が少しずつ自信をつけ、協同組合の運営に対する自覚を持ち始めた様子がうかがえました。

協同組合に対する意識を組合員に聞いてみました。

Q. 最初に協同組合を始めたとき、どんな風に感じていましたか。
協同組合を始める時点では不安があり、この先どのように組合の運営を進めていくのか難しく感じていた。ただ、自分たちが技術力を上げれば結果として家族の収入を助けることができると信じてやってきた。(カマルカティ村)
技術力を上げることで将来的に自立できるので、わりと前向きに考えていた。(アシュア村)

Q. 協同組合を運営していく上で一番難しいと感じることは何ですか。
宗教上女性は外で自由に働くことを歓迎されていないので、とくに市場への売り込みが難しい。市場でどんなものが人気があって販売されているのか知らないので、最初に市場に行ってクオリティを自分の目で確かめてからサンプルを制作していくべきだと思う。(カマルカティ村)
市場で販売をすることがとくに難しいが、最後の仕上げを丁寧にすることが必要。(アシュア村)

Q. これまでの運営の中で改善したと思う点を挙げてください。
デザインや配色、縫製の技術について学び、市場が求める価値が分かってきた。(カマルカティ村)
デザインや流行しているファッションについてのアイデアが増えてきた。縫製の仕方が市場に販売することを重視して慎重に行うようになった。(アシュア村)

Q. 最後に、これから将来的にどのような協同組合を作り上げていきたいですか。
まずは品質を改善すること。品質が変わればオーダーの数も増えるはずなので、力を入れていきたい。組合員の中で常に助け合う気持ちを忘れず、お互いのグループの役割を尊重して働いていきたい。(カマルカティ村)
今の組合員にとても満足していて、今後もずっと一緒に働いていきたい。お互い困ったときには助け合いながら運営していきたい。(アシュア村)

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生産を重ね、ここまで上達しました

生産を重ね、ここまで上達しました

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協同組合は個人ではなく常に仲間と一緒に運営をしていきますが、設立した頃に比べるとお互いを敬う姿勢と協同組合が自分たちの仕事であるという自覚が強くなっていることをはっきりと感じさせられました。
技術力の改善はもちろん大切で、まだまだ改善の余地はありますが、自分たちが組合員の一員であり、村の生活を支えていく自覚と誇りをもって活動を続けることが、末永く継続するために最も大切なことです。今の気持ちを忘れずに協同組合の成功を目指してほしいと心から願っています。

カマルカティ村、組合員

カマルカティ村、組合員

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アシュア村、組合員

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