2010/12/06
報告:SUF副事務局長 ティプ スルタン
世界で最も人口密度が高い国のひとつであり、人口そのものも非常に多いバングラデシュですが、ここでは児童労働が大きな問題となっています。推定で700万から2000万もの子どもたちが労働に従事していると言われています。
子どもたちはフルタイムで働いている者もいれば一日数時間だけ働いている者もいますが、子どもたちの労働から得られる収入は、平均して家庭収入の四分の一に達しています。親はその収入を期待し、子どもたちを学校に通わせないのです。 親元を離れ出稼ぎに出ている子どもたちの環境はもっと悲惨で、ひどい時には住居のみが提供され無給で働かされている子どももいます。
子どもたちは親に会えることを心待ちにして日々を過ごしますが、雇用主から精神的・身体的な暴力を受けることもあります。 このような状況下にある子どもたちは、クリスマスや新年を祝う余裕もなく、家族と共に楽しい時を過ごせる子どもは限られています。家族と一緒に過ごせる子どもも、どこかに出かけることはできず、着飾ることもできません。子どもたちの人権は無視され、健全な成長は望めないのです。
このような状況がバングラデシュの将来を明るくするとは思えません。 そこで私たちは、日本のNGOである「国境なき子どもたち(KnK)」と共に子どもたちを支援する活動を続けています。
都市部への出稼ぎを予防する目的で職業訓練活動を提供しており、そこでは農村部にいても生活に困らないように縫製や機織りなどの技術を教えているのです。
経済的な理由で公立学校に行けない子どもたちに向けては、算数や国語などの基礎教育コース(非公式教育)を開催しています。いずれの活動も親の理解なくして子どもたちは参加できませんので、親や村の有力者に対する啓発活動も同時に行っています。
子どもが子どもらしい時を過ごせるように、これからも支援を続けていきます。