活動ニュース

英語と東ティモール

2009/07/21
報告:プロジェクト・アドミニストレーター 藤本 文也

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東ティモールは最近乾季が本格化してきました。雨がまったく降りません。おかげで今まで山を覆っていた緑もなくなり、どんどん茶色くなってきています。 首都ディリの川も涸れてしまい、街全体がカラカラです。農作物は大丈夫かと心配になってしまいますが、市場にたくさん野菜や果物が並んでいるのを見てホッと一安心しました。これぐらいの乾燥ぐらいならなんともないようです。

さて、今回はKnKの英語コースについて紹介したいと思います。 その前に、まず東ティモールの言語事情からお伝えしたいと思います。

現在東ティモールの公用語はティトゥン語とポルトガル語です。ティトゥン語は現地語で首都の人々はティトゥン語を喋っています。 しかしティトゥン語も数多くある現地語の一つに過ぎず、地方では通じない場合もあるようです。 ポルトガル語は植民地時代の影響ですが、話せる人は年配の人か政府関係者に限られており、あまり実用的ではありません。
同じようにインドネシア語も植民地時代の影響で使用されていますし、通じますが、こちらは現在撤廃の動きが強まってきているようです。学校の教科書などもインドネシア語だったのですが、現在ではポルトガル語のものが使用されています。しかし今までインドネシア語の教科書で教えていたものを急にポルトガル語に変更した影響は大きく、ティモール人教師達はポルトガル語の勉強をしなければいけないそうです。
大学などの教科書は未だにインドネシア語のものが使用されているそうですし、東ティモールの日常からインドネシア語を撤廃していくのは非常に難しい問題だと思います。
現状としては、小・中・高に通う生徒はポルトガル語の教科書で勉強しているが現地語(ティトゥン語か地方語)しか使用できず、20代の人々はインドネシア語を使用できるが、レベルは人により様々、30代以上の人はほとんどがインドネシア語を使用できるが、ポルトガル語は一部の人だけに限られるという状況のようです。 勉強や情報を得る為に使用する言語というのは非常に大きな問題です。ティトゥン語で書かれた資料などが多くない現状からも、東ティモール人にとってどの言語を使用していくかは今後とも大きな問題です。

このような状況を抱えた東ティモールの言語事情の中で、近年現地の人々の学習意欲が非常に高いのが英語です。首都ディリだけでなく、他の地方でも多くの英語学校がオープンしています。

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 教室はいつもあふれんばかり

教室はいつもあふれんばかり

立ち見状態で授業を受ける生徒も多い

立ち見状態で授業を受ける生徒も多い

 レベルに合わせてクラス分けされている

レベルに合わせてクラス分けされている

日常的に援助機関などで働く外国人などと接する機会が多いことや、英語が話せるようになることで仕事が見つかったりすることも手伝って東ティモールでは英語が今最も必要とされる言語とされています。

■英語クラスでインタビューしてみました

Q. KnKのプロジェクトはどうですか?

すごく良いと思います。フリーだし、友達もたくさんできたし、ここで人間関係も含め多くのことを学んでいます。
東ティモールには就職できない若者がたくさんいるので彼らに英語を勉強する機会があることは非常に重要なことだと思います。

Q.将来の夢は?

英語をもっと勉強して国連で秘書として働きたいです。

ゼリア マリア デ ファティーマ/初級クラス

ゼリア マリア デ ファティーマ/初級クラス

Q. KnKのプロジェクトはどうですか?

ここで英語を勉強し始めて6ヶ月になりますが、今ではだいぶ喋れるようになりました。先生も一生懸命教えてくれるし、周りの友達にも影響されます。フリーなので誰でも通いやすいし、若者にとって素晴らしいと思います。

Q.将来の夢は?

通訳になりたいです。

ポウリーノ ドス サントス/中級クラス

ポウリーノ ドス サントス/中級クラス

Q. KnKのプロジェクトはどうですか?

毎回非常に多くの参加者があり(多いクラスで60人)、1人ではコントロールできない時があるのでグループを分けて会話練習などをしています。
ティモールの若者は英語に非常に興味があるし、英語を学ぶことで仕事を獲得できるのでKnKが英語のクラスを支援していることは非常に大事なことだと思います。
クラスの卒業生の多くが雇用状況の厳しい中、英語が話せるようになったことで仕事が見つかっています。 仕事に直結した英語ということで、最近では履歴書の書き方や、手紙の書き方なども授業で教えていますが、ティモールには教材が少ないので、まだまだ充分とは言えません。

Q.支援者の方々に伝えたいことはありますか?

日本の方々には本当に感謝しています。
生徒も言っているように英語がフリーで学べるというのは東ティモールの若者にとって非常に大きいことです。 たくさんの生徒から今後もずっと支援を続けて欲しいという意見を聞きますし、私自身も長く続いてくれるようお願いしたいです。

ジュリオ デ デウス/英語教師

ジュリオ デ デウス/英語教師

今回インタビューでは先生に通訳をお願いしようと思っていたのですが、生徒が自ら英語で答えてくれました。まだまだ荒削りな感じはありましたが、充分内容はわかりましたし、短期間で自分の思っていることがしっかりと伝えられるというのは、本当にすごいことだなと思いました。これも彼らのやる気のなせる業なのだと思います。

今回インタビューしてみて、英語の習得というのは東ティモールの若者の人生にとって重要なことで、センターで提供している英語活動はたくさんの生徒の役に立っていることを再認識しました。楽しそうに英語を学ぶ生徒の姿を見ていると上達が早いのも納得だなと思いました。
東ティモールでも非常にニーズの高い英語ですので、もしかすると将来英語が公用語になったりするかもしれませんね。

 

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