活動ニュース

小さな学校に伸びてゆく若い芽

2012/05/01

報告:KnK会長 寺田 朗子

日本NGO連携無償資金協力
助成事業

高い山々を背負ってインダス川が悠々と流れ、長い文明の歴史を刻み続けている国パキスタン、確かその昔小学校で習いました。その憧れの国パキスタンで2005年の大地震、この後修復が遅れていた地方の学校の建設に国境なき子どもたちが関わっています。

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飛行機の降り立った首都イスラマバードは、平坦なそして広い畑地が広がる穏やかな風景の町でした。私たちの訪ねるマンセラ郡は、首都イスラマバードからかなり大きく山の裾野を迂回して北東方向に4時間近く走った先にありました。車が進んでゆくに連れ変化してゆく車窓の風景にはとても心をひかれました。ずっと広がる麦畑、菜の花がかたまって咲いているところもありました。まるで桜のような花が咲いていたり、棚田の続く風景もあり、山羊が移動をしていたり、ロバが荷を運んでいたり、ギンギラギンに飾り立てたトラックが走っていたり、道中は飽きることなく変化に富んだ楽しいものでした。
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私たちのここでの活動は、外務省の資金援助による学校の再建です。現地のNGO「Friends Welfare Association」と共にこの建築事業に携わっています。今回マンセラで訪ねた学校は7つでした。それぞれが直線で移動ができない谷間、山の中腹などに点在していて、車に揺られて曲がりくねった道を登ったり下ったりしながらたどり着く、というもので、一日に2校か3校を回るペースでした。ある学校はまさに日本の里山という風景の中にありました。またある学校は山のかなり高いところの嶮しい斜面にありました。また川の流れを車で越えて行ったところもありました。

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新しい学校はどれも遠くからでも一目でわかるような「赤い屋根、青い柱」のかわいい建物。日本で考える学校というイメージとはまったく違います。教室が2つか3つにトイレが別棟で付いている、というかたちです。平らな地面の少ないところに建てられているので、広い校庭というものはありません。それでも「ピカピカ」の校舎に、「地震のあとはあのテントで授業していた。やっとちゃんとした建物ができてうれしい」とある校長は話していました。男子校と女子校と2校の開所式に参列しましたが、どちらでも前庭でたくさんの子どもたちが待っていてくれました。控えめな眼差しも多かったのですが、キラキラと好奇心に燃えている笑顔もたくさん見られました。

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ことに印象の深かったのは女子の学校でした。この地域はイスラム教の世界なので、教育の場は基本的には男女共学ではありません。女子が教育を受ける機会は少ないと聞いていましたが、思っていたより式に来ていた少女たちの数は多かったのにうれしくなりました。女子校は先生もすべて女性です。少女たちは幼くてもほとんどが上手にベールをかぶっていました。

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教室に入った子どもたちと会話を交わした時、10歳くらいの少女が知りたくてたまらないという表情でたくさんの質問をしてきました。「日本の学校は同じような形なの?何を勉強するの?生徒は何人くらいいるの?」山の奥の小さな学校にも伸びてゆく若い芽がいくつも見えていました。 また、付け加えると、現地の習慣なのでしょうけれど、行く先々ではもてなしのために甘いミルクティー、パウンドケーキ、クッキー、野菜フリッターのようなものが用意されていました。

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毎日小一時間歩いて通う子もたくさんいる地域にできた「学びの場」は、子どもたちの夢と未来を育てて行くことを確信して、いつかまた訪問したいと願いました。

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※ パキスタンにおける学校建設プロジェクトは、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用と、日本の皆さまからのご寄付により成り立っています。

 

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