活動ニュース

海辺のワークショップ

2014/08/15
報告:KnKカンボジア派遣員 永井 昌彦

8月6日から8日までKnKカンボジアは、拠点があるバッタンバンではなく、遠く離れた海辺の町シアヌークビル(コンポンソム)でワークショップを行いました。いつもKnKで職業訓練に励むIGAの子どもたちのほか、「若者の家」のみんな、スタッフ、トレーナーなど総勢約60名とともに過ごす2泊3日の小旅行で、年に一度実施しています。 6日の早朝、まだ夜が明けきらないうちにバッタンバンを出発。あいにくの天気でしたが、車の中には絶えず子どもたちの元気な声が響きました。

 KnKから出発する直前の様子

KnKから出発する直前の様子

子どもたちもスタッフも皆、この日が来るのをとても楽しみにしていました。今回は遠くシェムリアップのアンテナショップで研修中のソバンナリー、チャントーンも参加しました。久しぶりの仲間との再会に笑顔がはじけます。

途中の休憩時にくつろぐソバンナリーとチャントーン

途中の休憩時にくつろぐソバンナリーとチャントーン

カンボジアの道路事情は決して良好とはいえず、一部の道はデコボコで、さらに雨でぬかるんでいて大変でしたが、カンボジアの人たちは慣れたものです。昼には持参した弁当を途中の空き地で食べました。カンボジア人はゴミをポイポイとどこにでも捨ててしまう人がほとんどです。しかしKnKのみんなは、自分たちのゴミは自分たちで集めて捨てました。

 昼過ぎに到着したのがコンポンスプー州にあるキリロム国立公園です。カンボジア国内では木々が茂る森林地帯は減少してきていますが、ここには稀少な野生の動植物が多く生息しています。バッタンバンの町とは異なる山間地域の景色を背に、子どもたちは仲間と記念撮影をしたり、遠くを眺めたりしていました。悪天候のため他に予定していたところを見られず少し残念な思いをしながらも、夕方に無事シアヌークビルへ到着。この日はそのまま就寝となりました。

ポーズをとるソバンナリー

ポーズをとるソバンナリー

キリロム国立公園で仲間と写真撮影をするチャントーン

キリロム国立公園で仲間と写真撮影をするチャントーン

 翌7日の朝、意気込む子どもたちをよそ目に大雨が降り続きました。それでも予定通りお寺を訪問し、お寺の僧侶から説法を受けて気持ちを整えます。

 お寺で僧侶から説法を受けるKnKのみんな

お寺で僧侶から説法を受けるKnKのみんな

その後お寺の境内で持参した朝食を食べ、いよいよワークショップです。KnKのスタッフが子どもたちを幾つかのグループに分け、『安全な移住』について議論が始まりました。どうして移住をするのか、そのリスクや理由、法律や制度のことなど、各グループで1つのサブテーマを担当し、大きな紙に発表内容を記入して順番にプレゼンをしました。みんなの前に立つと照れてしまう人や、張り切って冗舌になる人もいて、絶えず笑い声が響く中で次々と発表をしていきました。
タイなどに出稼ぎに行く人が絶えないカンボジア。KnKにはタイへ出稼ぎに出ていたことがある子どもたちもいて、みんなにも現実的で切実なテーマです。
ソーシャルワーカーによる総括で、活気のあるワークショプは終了しました。

ワークショップの開始、スタッフから説明を聞く子どもたち

ワークショップの開始、スタッフから説明を聞く子どもたち

グループ毎に議論し、紙に記録していく

グループ毎に議論し、紙に記録していく

成果のプレゼンをする各グループ

成果のプレゼンをする各グループ

エデュケーター、ソーシャルワーカーが総括

エデュケーター、ソーシャルワーカーが総括

そしてこの日の午後は、みんながお待ちかねの海です!天気も回復してきました。海を見るのが初めてという子どもたちもいて、車の窓から見える景色に歓声があがりました。

待望の海に到着!

待望の海に到着!

 はじめは浜辺を歩くだけだった子どもたちも、いつの間に全身がびしょ濡れに。トレーナーやスタッフも混じって大はしゃぎの水遊びがはじまりました。子どもたちのいきいきした表情はとても印象的でした。海で遊ぶ子どもたちのはしゃぎぶりは、日本もカンボジアも、他の国の子どもたちも全く同じ、あらためてそんな思いを抱かせてくれました。境遇は違っても同じ仲間であることを意識できたように思います。

服を着たままズブン。。。

服を着たままズブン。。。

トレーナーも子どもたちもびっしょり

トレーナーも子どもたちもびっしょり

仲良しの3人、せっかくのおしゃれな服も。。

仲良しの3人、せっかくのおしゃれな服も。。

 今回が4回目の参加となるネイン。この地を良く知る彼女も、この時ばかりは仲間といっしょに歓声をあげていました。以前、彼女は義理の両親の元で暮らしていましたが、度重なる暴力をふるわれ、家を出て孤児になりました。KnKの「若者の家」に来てから8年以上になります。勉強を続け、今回の旅行の直前には高校卒業の学力試験を受けました。彼女は、今回が最後の参加になりそうだと話します。秋にはシェムリアップの大学に行って勉強をしたい、そんな希望が彼女にはあります。もうすぐ「若者の家」から卒業するであろうネインには、今回がKnKの仲間たちと過ごす最後の旅行になるかもしれません。彼女と仲の良いチェインも同じようにシェムリアップの大学に行きたいと話します。その同じ志を持つ友だちや、違うグループの仲間などとも親交を深めながら浜辺で過ごす楽しい時間は、日が暮れてからも続きました。

今回が最後の参加となる見込みのネイン

今回が最後の参加となる見込みのネイン

8日の早朝、バッタンバンへの帰路に就きますが、みんなまだまだ元気です。道の途中、最後に立ち寄ったのは、コンポンスプー州のプレトノー川岸にある休憩所です。昼食をとり、少しの休憩時間の間にみんなで川に架かる吊り橋を渡りました。対岸にはお寺があり、数匹のサルが出迎えてくれました。食べ物をあげる人、怖くて逃げ回る人など、反応はさまざまです。一段落してから再び車に乗り込み、一路バッタンバンへ向かいました。バッタンバンに帰着する頃には陽が暮れはじめていました。

サルのそばでたたずむ

サルのそばでたたずむ

 手作り感のある吊り橋を渡る

手作り感のある吊り橋を渡る

普段は職業研修や仕事、勉強などにいそしむ子どもたち。辛い過去を抱えながらも前を向いて懸命にがんばっています。つかの間の楽しいひと時は過ぎてしまいました。でもこのワークショップ旅行が、KnKカンボジアの子どもたちにとってかけがえのない思い出として心の中にずっと残るだろう、そんな確信を得た今回のイベントでした。

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